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2005年 > 5月の観察記録
5月の観察記録
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 すがすがしい気持ちの良い快晴の観察会になりました.集合場所のフジ(藤,マメ科)は既に花は終わっていましたが,代わりにニセアカシア(マメ科)の白い花が咲いていました.ニセアカシアの白い花の一部は既に散っていました.樹木の花は,短命のような気がします.元清風荘の赤と白の花のツツジ(躑躅,ツツジ科)も満開でした.ヒメウラナミジャノメもクローバー(マメ科)に翅を休めていました.新池には,カイツブリ,カワウ,アオサギ,シジュウカラが来ていました.カイツブリは,2羽の雛が巣立ったそうです.シジュウカラは盛んにさえずっていました.

ニセアカシアの花 元清風荘のツツジ ヒメウラナミジャノメ

 池のスイレン(睡蓮,スイレン科)などの水草が,水面のかなりを占めるようになりました.参加者は,最初は少なく,少数精鋭でと言っていましたが,出発するときは子供8名を含む52名でした.途中で参加した人達もいたようです.

 まず,いつもの集合場所で,先月の報告を見ました.写真が暗く出来が悪いという指摘がありました.曇りであったのとプリンターの調子がよくなかったようです.参加者がご自分の畑から持って来たスイバとギシギシを観察しました.先月は,葉が茎を抱いているのがスイバで,ギシギシは葉柄があるということでしたが,ようするに葉を食べてみて酸っぱいのがスイバというのが最も簡単な判別法ということになりました.

 次にウクライナからの留学生が自国から送ってもらった写真(ウクライナ語でヴェシナという木)を見て,これがサクラかどうかという話になりました.花を大きく写したものは,確かにサクラのようでした.チェホフの「桜の園」という小説もあるので,ウクライナにもサクラはあるのでしょう.

,【外部リンク】京都大学大学院 生物圏情報学講座−ウクライナ(2)−

ウクライナの桜

 参加者が多くなったので,自己紹介は感想会の時にすることにして,出発しました.カンゾウ(萱草,ユリ科)を採る予定でしたが,春の盛りで観察する草花も虫も豊富で,結局カンゾウにたどり着くことはできませんでした.

 元清風荘の裏の土手で,まず,ブタナ(豚菜,キク科)を観察しました.昨年も観察して,豚のサラダという意味のフランス語からこの名前の由来があり,背が高く茎が枝分かれているのでタンポポと見分けが付くという報告を書いた(なごや平和公園の自然p.34)のをすっかり忘れて,ロゼット状の葉を見てコオニタビラコかなと思ってしまいました.花は同じ黄色ですが,コオニタビラコは一重(舌状花)で花弁が6?9枚で,ブタナはタンポポのように八重でした.ブタナの近くに咲いていた黄色い花のニガナ(苦菜,キク科)は,葉はロゼット状になっておらず,5弁の花も離れていました.ニガナは,名前通り茎を折ると,非常に苦い乳液が出て来ました.近くには先端に赤い葉を持ったアカメガシワ(赤芽柏,トウダイグサ科)も沢山ありました.

ブタナ ニガナ アカメガシワ

 ある参加者がマツ(松,マツ科)の切り株の樹皮を剥がして沢山のシロアリを発見しました.ボールペンのインクの溶剤の中の物質(フェニルセロソルブ)がフェロモンの役割を果たすということで,紙にボールペンで線を書いて,シロアリを置くと本当に,線上を動きました.シロアリは歩くとき,常に「道しるべフェロモン」を道に残し他のシロアリはその後を好んで歩くそうです.人間もフェロモンで異性を引きつけることができるのかというような話題もありました.

 草花だけでなく虫も多くいて,コアオハナムグリ,カタモンコガネおよびシャクトリムシをここで観察しました.

 この所へ来たのは,実は,従来タラヨウ(多羅葉,モチノキ科,別名:葉書の木)と言っていたのが,実はセイヨウバクチノキ(西洋博打の木,バラ科)であることを説明するためでした.セイヨウバクチノキの葉には,タラヨウのような鋸歯がありませんでした.裏面にタラヨウと同じように文字を書くことはできますが,全く別物だということでした.バクチの木といわれる由来は,樹皮が灰褐色で,まるで木が皮をはがれたように見えるからであり,バクチに負けて身ぐるみ剥がれた姿を映し合わせたのであろうということでした.

【外部リンク】木々の移ろい

マツの切り株のシロアリ セイヨウバクチの木

 これで,やっと元清風荘の裏の土手から離れて,平和公園へ向かいました.途中で,オニタビラコ(鬼田平子,キク科),アメリカフウロ(亜米利加風露,フウロソウ科),モミジ(紅葉,カエデ科),トウカエデ(唐楓,カエデ科),タンポポ(蒲公英,キク科)の葉の虫えいなどを観察しました.モミジは,種類によって雌雄異株のものと雌雄同株など種々のものがあるそうです.

 平和公園の入口でアップルミント(Apple Mint,シソ科)を観察しましたが,香りはよくなく,ショウブ(菖蒲,サトイモ科)の方がずっとよいという参加者もいました.このあと,平和公園に入ってすぐのところで,クロバナロウバイ(黒花蝋梅,ロウバイ科)を観察しました.茶花として用いられるものです.「なごや平和公園の自然」の43ページを開いて説明がありました.黒茶褐色の花は,発酵したような酸っぱいにおいがしました.

オニタビラコ モミジの雄花、両性花と実 アップルミント クロバナロウバイ

 テントウムシの成虫や幼虫もここで観察しました.また,アブラムシを捕まえた子供が,その娘(単性生殖で胎生)の出産を観察しました.お尻から生まれたそうです.残念ながら小さすぎて写真に撮ることはできませんでした.

 ここで,カモジグサ(髢草,イネ科)の実を手の皺に挟んで,超能力と言って子供の頃に遊んだという話も出ました.ハナムグリが,ハルジオン(春紫苑,キク科)の花に沢山付いていました.ダニやアリに食われたカマキリの卵嚢を見つけた参加者もいました.

テントウムシ(幼虫) カモジグサ ハルジオンに付いたハナムグリ

 向かえの畑でアヤメ(文目,アヤメ科)を観察しました.平和公園の中で,アヤメが開花しているのは,現在はここだけだそうです.綾目模様(メッシュ)が確かに,花弁の付け根にありました.綾目模様にちなんで,他のなんとか目模様にどんなものがあるかという質問がありありました.「蛇の目模様」や「のし目模様」などが代表的のようです.この畑では,これ以外に,ニンニク(大蒜,ユリ科),サヤエンドウ(莢豌豆,マメ科),カラー(サトイモ科)などを観察しました.ここまでで,11時10分になってしまい,後は,駆け足で観察しました.

 まず,先月見たスモモに2cm 大の小さな実が複数付いているのを発見しました.ただし,虫えいになっているものが多く,多分,食べられるまでになる実はないのではないかと思います.

アヤメ ニンニク スモモの実

 芝生広場前の日当たりの良い新しい水田の中のオタマジャクシを採って,その成長具合を見ました.まだ尾が付いていましたが,手足がはえているものもありました.その後で,ショウブ(菖蒲,サトイモ科)を見に行きました.しっかりした中脈が葉にありました.地味な棒状の花も少しありました.ショウブにマダラガガンボが留まっており,普通のガガンボと違って,翅と足に黒褐色のまだら模様がありました.胴体は4cm 長くらいでした.

 紫色の花のカキツバタ(杜若,アヤメ科)も観察しました.花はアヤメと同じ紫色ですが,綾目模様はありませんでした.また,葉に中脈はありませんでした.近くのキショウブ(黄菖蒲,アヤメ科)とも比較して観察しました.周辺のガマの葉は,断面の裏側が丸く盛り上がった形をしていました.周辺のウスノキは,既に花は終わっていましたが,参加者の1人が周辺のササを刈って日当たりを良くしていたので,多くの花が咲いたようです.今後,臼のような実を沢山期待できそうです.

マダラガガンボ カキツバタ キショウブ

 さらに歩いて行って,ノビル(野蒜,ユリ科)の蕾,サワフタギ(沢蓋木,ハイノキ科)の白い花やオオジシバリ(大地縛,キク科)の黄色い花を観察しながら,カラタチ(枸橘,ミカン科)のある所まで行きました.カラタチは,1cm 大の実を付け始めていましたが,脱皮回数の違うクロアゲハの幼虫が沢山ついていました.近くには,マーガレットのような白い花が咲いていましたが,土が合わないので小型化した園芸種のヒナギク(雛菊,キク科)であることを後で教えてもらいました.

 この場所で感想会をしました.自然観察会歴20年の参加者から,座った所に並んで群生しているカラスノエンドウとスズメノエンドウの説明がありました.中間の大きさのカスマグサ(カラスノエンドウとスズメノエンドウの中間の大きさで,頭文字を取ったものですが,カスマエンドウではない)もあるという話もありました.

 20年間も観察会をするとこのような知識もつくそうです.このような知識が人を幸福にするかどうかは分かりません.今回は,沢山の黄色い花やアヤメ,ショウブ,カキツバタなど判別しにくい草花を観察しましたが,来年になればすっかり忘れて,また,感動を持って観察できるという話も出ました.

オオジシバリの花とハナムグリ カラスノエンドウ(右)とスズメノエンドウ

平成17年5月の観察項目:アオサギ,カワウ,シジュウカラ,ヒメウラナミジャノメ,ツツジ,スイバ,ギシギシ,ウクライナのサクラ(ヴェシナ)の写真,モミジ,トウカエデ,ブタナ,ニガナ,アカメガシワ,カタモンコガネ,セイヨウバクチノキ,アメリカフウロ,オニタビラコ,シロアリ,アップルミント,テントウムシ,クロバナロウバイ,ジンガサカメムシ,コアオハナムグリ,アブラムシ,ハナムグリ,カモジグサ,ショウガ,ニンニク,サヤエンドウ,カラー,スモモの実,アヤメ,ヤマトシジミ,ゴボウ,オタマジャクシ,キショウブ,マダラガガンボ,シャクトリムシ,ウスノキ,カキツバタ,ガマ,ノビルの蕾,タンポポ,オオジシバリ,サワフタギの花,ヒナギク,カラスノエンドウ,スズメノエンドウ,カラタチ,クロアゲハの幼虫(概ね観察順)

平成16年6月の観察項目:キンシバイ,ビヨウヤナギ,クロバナロウバイ,カノコガ,ヒメジョオン,サクラバハンノキ,ミドリシジミ,スズメバチ,スズメバチの巣,ホタルガ,オオシオカラトンボ,キマダラセセリ,キリギリス,ササユリ,アカメガシワ,ヒメヒラタマムシ,キマダラカミキリ,ウスアオクチブトゾウムシ,ヒゲコメツキ,コフキゾウムシ,ハナノミ,クロアゲハ(写真は,観察会の本「なごや平和公園の自然」をご覧ください.)

伊藤義人

監修 滝川正子

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2008-7-19 1006

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