一日中曇りでしたが,歩くと顔から汗が噴き出ました.写真を撮っていると,目に汗が入って大変でした.集合場所も,背の高い草にすっかり覆われていました.新池も水草で覆われむっとする感じでした.周辺では,もうツクツクボウシだけが鳴いていました.集合場所の銀杏も少し黄色づいていました.今回は,クモの研究会と合同の観察会で,平和公園のクモを中心に観察することになりました.出発時には大人38名,子供5名になりました.なお,クモの観察ということで久しぶりに参加された方もおられました.
まず,いつもの集合場所で,参加者の持って来たオオケタデ(大毛蓼,タデ科),オガタマノキ(招霊の木,モクレン科),センダン(栴檀,センダン科)およびイヌビワ(犬枇杷,クワ科)の実を観察しました.オガタマノキは,神社などによく植えられる木で,1円玉の裏のデザインになっているそうです.シシトウ(獅子唐,ナス科)とトウガラシ(唐辛子,ナス科)の違いについても紹介がありました.
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銀杏 |
虫捕りの子供達 |
オオケタデ |
オガタマノキの実 |
先月の報告を見て,報告の中にあったヘチマ(糸瓜,ウリ科)の実を茹でて,甘みそで食べたという報告がありました.食感はサクサクとしてよかったそうですが,うまくはなかったようでした.一方,ニガウリ(苦瓜,ウリ科)をヨーグルト,牛乳,バナナを混ぜてジュースにして飲むと大変おいしかったそうです.一人の女の子が,捕ったアジアンイトトンボを見せてくれました.
クモの研究会の人から,観察に行く前に,クモについて一般的な説明がありました.日本のクモは約1,700種おり,平和公園では112種が確認されているそうです.目の位置によって,クモの分類ができるそうです.クモは網をはらない種類もいるそうですが,クモの糸は必ず持っているそうです.セアカゴケグモとの共生の話もありました.意外と,クモについての研究は,進んでいなくて,まだよく分からないことが多いそうです.
集合場所を出発して,平和公園の入口の木製の説明看板に蜘蛛の網をはったナガコガネグモを見ながら説明がありました.クモの周辺に隠れ帯がありました.何のために,白い隠れ帯があるかという議論になりました.鳥に食べられないように威嚇しているいという説と,花に見せかけて昆虫を捕るためという説が出ました.また,クモが下を向いていることに対して,どうしてかという話題も出ました.クモの脚にかかる力が圧縮になり,引張より楽であり,餌が網に付いたときに素早く動けるという意見がありました.ナガコガネグモは触ると,前後に蜘蛛の網全体を揺すりました.威嚇をしているのだろうということでしたが,ブランコのように単に遊んでいるのではという説も出ました.
近くの街路樹にジョロウグモが多くいました.雄は雌に比べ体は非常に小さく,雌から少し離れているそうです.近づきすぎると食べられてしまうことがあるそうです.交接(精子を渡すので交尾ではない)も,雌が食事中などにするそうです.脚の数は,8本ですが,取れやすく4本しかないジョロウグモもいました,脱皮をすると元の8本になるそうです.
道路の向こう側のクサギ(臭木,クマツヅラ科)に多くのカラスが留まって,実を食べていました.
平和公園に入って,緑色のハナグモを観察しました.近くで,ママコノシリヌグイ(継子の尻拭い,タデ科)がピンクと白の小さな花を咲かせていました.
ナガコガネグモが,巣にかかったアオバハゴロモを蜘蛛の糸でぐるぐる巻きにしていました.周辺でカニグモを見つけた参加者がいました.カニにそっくりの不思議な形をしていました.道ばたのカラスウリの根元を掘って球根を確認しました.
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ナガコガネグモ |
アオバハゴロモを捕らえたナガコガネグモ |
ママコノシリヌグイ |
カニグモ |
オオトリノフンダマシを,じっくりと観察に行きました.樹木の葉に付いている細長い茶色の卵嚢の近くの葉裏に,オオトリノフンダマシはいました.10mm より少し大きく,大きな目玉のような模様が2つ背中に付いており,不思議な形態のクモです.片側から一見すると小さなカタツムリのようにも見えました.鳥の糞と間違えるかどうかは,鳥の糞自体を見たことがない参加者が多いのでよく分からないという意見がでました.夜行性で,夜に蜘蛛の網を張るそうです.クモは,生きた餌しか食べないと一般に言われますが,ジョロウグモにカッパエビセンをやると食べてしまったそうです.
ワキグロフンダマシも近くで見つけて観察しました.
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オオトリノフンダマシ |
オオトリノフンダマシとその卵嚢 |
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2cm 大の灰褐色のオオゾウムシを見つけた参加者が皆に回覧しました.鼻の形がまさに象の鼻に似ていました.日本で最も大きなゾウムシだそうです.
コゲチャオニグモとオナガグモを見つけた参加者がいました.周辺のコナラとアベマキには,立派なドングリが沢山できていました.
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オオゾウムシ |
コゲチャオニグモ |
コナラのドングリ |
アベマキのドングリ |
もう少し先に進んで,トリノフンダマシとオオトリノフンダマシの両方がいる樹木がありました.トリノフンダマシの卵嚢は丸い形をしていますので,オオトリノフンダマシとの違いはすぐに分かりました.実がわれて黒い種が見えているコブシ(辛夷,モクレン科)にもオオトリノフンダマシの卵嚢がついていました.最近少なくなったニイニイゼミの抜け殻も見つけました.
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トリノフンダマシ |
トリノフンダマシの卵嚢 |
コブシの実とオオトリノフンダマシの卵嚢 |
ニイニイゼミの抜け殻 |
今年の平和公園の柿の実は豊作のようでした.採って食べると大変甘い実でした.柿の木の近くで,ビジョオニグモを観察しました.白い背中に,人の顔のような模様がありました.どちらかといえば漫画的な顔で,美女というにはほど遠いものでした.2本の樹木に張り渡した蜘蛛の網は,樹木の方へ信号糸をはり,ビジョオニグモは通常は葉の中に隠れていました.獲物がかかると信号糸沿いに伝って捕えると説明を聞いて,実際に網を揺すってやると,上手に信号糸を伝って網の中心にやってきました.何度も揺すって出てきたところを観察しました.いつも空振りに終わって,少しかわいそうでした.観察ビンの中に入れて,虫眼鏡越しにきれいな写真を撮りました.
ナガコガネグモとサツマノミダマシも近くで見つけました.最近は,コガネグモは非常に少ないそうです.平和公園でもなかなか見つからないそうです.
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ビジョオニグモ |
コガタコガネグモ |
ワキグロサツマノミダマシ |
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女の子が,ウマオイとクツワムシの間のような5cm 大の緑色のキリギリスの仲間を捕まえてきました.形はクツワムシで,大きさはウマオイのようでした.鳴けば分かる(ガチャガチャかスイッチョン)のにという感想がありました.結局,後でサトクダマキモドキ(ツユムシ科)だと分かりました.クダマキとはクツワムシの別名で,里に棲むクツワムシに似ているものという意味になるようです.
最後に,イオウイロハシリグモの大量の子グモ達のまどいを観察に行きました.この親グモは,まどっている子グモ達の近くにいて,子供達を守っていました.アマガエルなどを食べるそうです.今回,親グモは葉の裏に隠れていて脚しか見えませんでした.図鑑で脚の長い形を確認しました.ある時期に一斉に分かれる(クモの子を散らすように)そうです.
近くのモッコク(木斛,ツバキ科)に,サクランボ大の赤い実が沢山なっていました.
感想会を,芝生の上で行いました.日頃は気にしない,あるいは嫌っていたクモを探して,参加者が皆,クモ目(クモを探そうと熱心になっている様子)になってしまいました.元々クモが嫌いな参加者も多かったようですが,今回の観察会で非常に興味を持った参加者が多かったと思います.
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サトクダマキモドキ |
イオウイロハシリグモのまどい |
モッコクの実 |
感想会 |
平成17年9月の観察項目:オオケタデ,オガタマノキ,イヌビワ,センダンの実,銀杏,シシトウ,トウガラシ,アジアンイトトンボ,ジョロウグモ,ナガコガネグモ,クサグモ,ササグモ,ハナグモの幼体,オオトリノフンダマシ,カニグモ,トリノフンダマシ,ゴミグモ,イオウイロハシリグモ,ウズキコモリグモ,チリイソウロウグモ,オナガグモ,ビジョオニグモ,クロアナバチ,ニイニイゼミの抜け殻,オオゾウムシ,サトクダマキモドキ(概ね観察順)
(昨年度の観察会の記録は,「なごや平和公園の自然」(平和公園自然観察会発行)をご覧ください.)
著者 伊藤義人 監修 滝川正子
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