前日の夜に雨がかなり降り,集合時間の少し前まで,小雨が降っていました.枯葉や枯枝がしめっており,芋煮会ができるかどうか心配しました.12月中旬だというのに,ほとんど寒さを感じませんでした.新池のスイレン(睡蓮,スイレン科)は,すっかり姿を消し,アオサギ(青鷺,サギ科),コガモ(小鴨,カモ科)およびカイツブリ(鳰,カイツブリ科)がきていました.青色の羽根がみごとなカワセミ(翡翠,カワセミ科)も久しぶりにきていました.センダン(栴檀,センダン科)は,すっかり落葉し,1cm大のしわのあるクリーム色の実をたくさんつけていました.それを食べにムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)がきていましたが,うるさく鳴くヒヨドリ(鵯,ヒヨドリ科)がきて,追い払っていました.サクラ(桜,バラ科)の幹には,寒そうにしている小さなショウリョウバッタ(精霊飛蝗,バッタ科)がしがみついていました.集合場所の公園の端に背の低い1本のクワ(桑,クワ科)が,独特の2種の形の枯れた葉をつけていました.
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アオサギ |
ムクドリとセンダンの実 |
サクラの幹にしがみつくショウリョウバッタ |
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元清風荘のイロハモミジ(伊呂波紅葉,カエデ科)は,まだ,きれいに紅葉しており,サザンカ(山茶花,ツバキ科)も多くの花を咲かせていました.
集合場所に集まった参加者は,大人28名と子供11名でした.最終的に,芋煮会には愛護会の人たちも参加し,いつものように50名を越えました.
まず,集合場所のテーブルで,参加者の1人が,沖縄で卵を採取して幼虫になった2頭のクロマダラソテツシジミ(黒斑蘇鉄蜆,シジミチョウ科)を持ってきたので観察しました.2頭の幼虫の大きさはかなり違いました.ソテツ(蘇鉄,ソテツ科)の新芽が食草ですが,代用食の無農薬のサヤエンドウ(莢豌豆,マメ科)といっしょに透明な容器に入っていました.共食いをするので,普通は分けて飼う必要があるそうです.11月19日に沖縄で採取したもので,普通は2週間で羽化するそうですが,寒さのためかまだそのような様子はありませんでした.関連して,同じ参加者から,ツマムラサキマダラ(褄紫斑,タテハチョウ科)がオオゴマダラ(大胡麻斑,タテハチョウ科)の幼虫の体液を吸っている写真が回覧されました.数日後に体液を吸われた幼虫は死んでしまったそうです.ツマムラサキマダラは,アルカロイドを採取しているのだろうという説明でした.
マーキングされたアサギマダラ(浅黄斑,タテハチョウ科)が長崎から台湾へ,2000kmも飛んだという新聞記事が次に話題になりました.また,灯火採集の講演がサイエンスカフェで3月19日にあるという情報提供もありました.このとき,一部の空に青空が見え,日差しも少し差してきました.
先月の報告を見ながら,3種のセキレイ(セグロセキレイ,ハクセキレイ,キセキレイ)の説明がありました.また,報告写真のツブラジイ(円椎,ブナ科)のドングリに穴があいており,平和公園では見られないゾウムシの可能性があるので,どこから持ってきたドングリかという質問がありました.残念ながら,平和公園のものではありませんでした.ドングリで子供たちが作った2つのかわいい工作が披露されました.
その後,ミルワーム(mealworm,ゴミムシダマシ科)を電車でばらまいた新聞記事と,蚕の幼虫をシルワームと称して,10頭500円で餌として売っているということも話題になりました.
ここまでで,10時過ぎになってしまい.急いで芋煮会の場所へ向けて出発しました.
里山の家のリヤカーに,なべや水などの芋煮会に必要なものを積んであったのが,愛護会の人が別の用件でリヤカーを使うため,荷物をすべて下ろされていました.仕方ないので,とりあえず必要なスコップなどだけを持って出発しました.他のものは,後でリヤカーを使って運ぶことにしました.
芝生広場を過ぎて,タブノキ(椨の木,クスノキ科)がある斜面で芋煮会の準備を始めました.枯葉はしめっており,集めても燃えない可能性が高いので,枯枝を集めました.今回は,焼き芋はあきらめました.まず,芋煮のかまど用のU字溝ブロックを置くために,スコップで斜面を少し掘り平らにしました.U字溝の中に枯枝と新聞紙を入れて火をつけました.
すぐ横で,2台のバーベキューグリルを準備して,同じく枯枝を燃やし始めました.パンとバームクーヘンを焼くためのものです.熾(お)きを作らないといけないので,かなり太い木の枝も燃やしました.団扇で風を送ってやらないと,すぐに消えてしまいそうでした.
グリルから少し離して机を広げてバームクーヘンの生地づくりを始めました.卵10個,バター300g,マーガリン200g,砂糖500g,および薄力粉500gが用意されていました.わかりやすいように,作り方のレシピも用意されていました.まず,卵を割り,黄身と白身を分けて容器に入れました.子供たちも大人にやり方を教えてもらってやりました.バター,マーガリン,砂糖および黄身を混ぜましたが,粘りがあり子供たちは苦労をしていました.別の2つの容器の白身を攪拌して泡をたてようとしましたが,簡単ではありませんでした.少し暖めてやると何とか泡立ちました.男の子たちが大変活躍しました.自宅では手伝いをしていないと思いますが,教えれば興味を持ってやるようです.
細かくクリーム状に泡だった白身を,バームクーヘンの生地に入れて,泡がなくならないように切るようにして混ぜました.この後,薄力粉も混ぜました.この生地の準備が終わって,丁度1つ目のグリルの準備ができました.まず,子供たちがパン生地を巻き付けた竹をグリルに差し出して,焼きました.焼き上がったパンは,シャシャンボ(小小坊,ツツジ科)のジャムとカボス(臭橙,ミカン科)のマーマレードをつけて食べました.シャシャンボのジャムは,2人が用意していましたが,どちらも甘すぎずよいジャムでした.いつも食感が悪くなる種も,今回は気になりませんでした.
2つ目のグリルの準備ができた時に,その横に太い2本の竹を交差させて地面に刺し,交点をフジの蔓で巻いて,バームクーヘンを焼く竹を支えるようにしました.1層ずつ,薄く生地を塗り,グリルの上で竹を回しながら,焼きました.最初は,生地がたれないように早く回し,ある程度固まってからゆっくりときつね色に焼きました.子供たちは,競って竹を回してバームクーヘンを焼きました.引っ込み思案のある女の子は,父親に頼んで順番をとってもらって,焼かせてもらっていました.焼くのを手伝わなかった者は,食べる資格なしと言われていました.
U字溝の上に置いた鍋に,水と里芋をまず入れ,盛んに団扇を使って火力をあげました.煙いのを我慢して男性の参加者ががんばっていました.その後,沸騰してからゴボウ,豆腐,コンニャクを入れました.コンニャクは,水に浮いていました.アクをとった後で,平和公園で栽培している椎茸をとってきて,手でちぎって入れました.その後,3kgのきれいに切られた豚肉を菜箸で順次いれました.昨年,肉が固まっていて食べられなかったという苦情に対処したものでした.料理酒と醤油で味を付けて,最後にネギを入れて,12時40分に完成でした.醤油を少ししか入れなかったので,薄味でしたが,素材の味が生きたおいしい芋煮になりました.何杯もお代わりをした人もおり,汁も具も残りませんでした.
大人300円と子供100円の会費を集めました.少し高いのではという意見もでましたが,実費だけであり,それを気にする人はほとんどいなかったと思います.
竜泉寺のツブラジイの煎ったドングリを食べましたが,渋い味がしたので,金属のボウルの中にドングリと熾きを入れて,再度煎った参加者がいました.はじけてボウルから飛び出すドングリもありました.食べてみると渋みが抜けて,素朴なおいしい味になりました.子供たちも喜んで食べていました.焼酎と砂糖だけで2度漬けした大根の漬け物も出され,歯ごたえがよく大変おいしく食べました.
ある若い男性の参加者が,コナラ(木楢,ブナ科)の朽木から,コクワガタ(小鍬形,クワガタムシ科)の幼虫を取り出したところ,女の子も含めて子供たちは皆寄ってきて観察しました.
バームクーヘンは,焼き初めてから焼き上がりまで2時間近くかかりました.芋煮だけを食べて,帰ってしまった人もかなりいました.焼き上がってから,バームクーヘンの片方の竹を切り落とした後,タオルを巻いてゆっくりと,バームクーヘンを引き抜きました.引き抜いたバームクーヘンの中からは湯気が盛んに出ていました.焼き上がった2つのバームクーヘンを持って,皆で記念撮影をしました.バームクーヘンの厚みを測った参加者から約1.8mmという報告がありました.
40人くらいが残っていたので,2つのバームクーヘンを瓦状に小さく切り分けました.切りくずを早速食べた子供たちもいました.まず,自分を子供と思っている人から一切れを食べました.次に,大人が1切れずつ食べました.両方に手を出した人(中供?)もいました.その後,まだ余っていたので,また子供たちが食べました.終了したのは,2時近くでした.
今回の種々の準備をしていただいた方々のおかげで,自分たちで作ったものをおいしく食べ,幸せな気分になった芋煮会になりました.
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バームクーヘンを焼く子供たち |
焼き上がったバームクーヘンと記念撮影 |
バームクーヘン完成の記念写真 |
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この報告の最後に,集合時間の前に1時間くらいかけて,平和公園を回って撮った写真を,この月の自然観察の代わりに載せます.
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ナンテンの実 |
ハクモクレンの芽 |
コブシの実の袋 |
クマザサ |
観察項目:ムクドリ,ヒヨドリ,カイツブリ,コガモ,アオサギ,カワセミ,クロマダラソテツシジミの幼虫,芋煮(サトイモ,ゴボウ,コンニャク,シイタケ,豆腐,豚肉,ネギ,醤油,酒),ユズ,唐辛子,シャシャンボのジャム,カボスのマーマレード,パン,大根の漬け物,ツブラジイのドングリ,バームクーヘン(卵,バター,マーガリン,砂糖,薄力粉),リンゴ,コクワガタの幼虫
文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子
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