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2009年 > 12月度の観察記録
12月度の観察記録
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 曇りがちでしたが,久しぶりに雨の降らない芋煮会になりました.12月にしては,それほど寒くなく,快適な芋煮会日和でした.先月話題になったヒメツルソバ(姫蔓蕎麦,タデ科)は,歩道の端でたくさん花を咲かせていました.新池のスイレン(睡蓮,スイレン科)は,ぽつぽつと点になって,新池はほとんどが自由水面になっていました.カイツブリ(冠鳰,カイツブリ科)(2羽),ヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)(6羽)とバン(鷭,クイナ科)(1羽)が水面に浮かんでいました.クリーム色の実だけになったセンダン(栴檀,センダン科)にはヒヨドリ(鵯,ヒヨドリ科)とムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)が来ていました.参加者は,集合場所の出発時には3名の子供を含む28名でした.その後,順次増えて,最後に芋煮を食べに来た東山森つくりの会の人達を入れると40名を越えたと思います.

 集合場所で,先月の記録をまず見ました.平和公園の野菊は,ノコンギク(野紺菊,キク科)が主流で,ヨメナ(嫁菜,キク科)はほとんどないですが,明徳池の周辺はヨメナが優勢だという話がありました.最近来ている新池のヒドリガモも話題になりました.
 集合場所のベンチとテーブルがなくなるという報告がありました.不審な人が,このベンチで寝ているということで,東星中学から苦情があり,名古屋市が撤去するという報告がありました.また,平和公園で造成していた水路は,既に完成して,竣工検査も受けて,地下水をモーターで汲み上げて,毎分70リッター流しているという報告もありました.洗濯の排水程度の水量との説明がありました.

ヒメツルソバ ヒドリガモ

 今回は,参加者が観察するものを何も持ってこなかったので早めに出発しました.里山の家の倉庫からスコップなどの道具を出して,ポリ容器に入れた水と一緒にリヤカーに載せて運びました.平和公園の新しい水路には,確かに水が流れていました.先月見た炭焼き広場には,石積みの上にわずかに白い残り花がついたユキヤナギ(雪柳,バラ科)が植えられていました.また,先月提案のあったウバメガシ(姥目(芽)樫,ブナ科)が1本だけポツンと植えられていました.将来は,この木から備長炭を作ろうという話がでました.近くの紅葉した木は,ハゼの木の一種ですが名前は不明でした.

水路と紅葉 ユキヤナギの残り花

 芋煮会は,昨年と同じ場所で行いました.周辺は,まだ紅葉が残っている木々と,白い花を咲かせたツバキ(椿,ツバキ科)に囲まれていました.メジロ(目白,メジロ科)やカラス(烏,カラス科)の鳴き声もさかんにしました.多少風があったので,火もとには気をつけるようにとの注意がありました.また,服に煙のにおいがつくのと,化繊のジャンバーなどは火の粉で穴があくので脱いだ方が良いとの注意がありました.

ツバキの花

 まず,U字溝の中にツタや枯れ木を集めて,その下に新聞紙を丸めて詰めました.男の子にマッチを渡して火をつけさせましたが,初めてのようで,何本かマッチをだめにして,大人が手をそえて手伝ってやっと火がつきました.枯れ木などはよく乾燥していて,かつ風があったので団扇(うちわ)を使わなくても良く燃えあがりました.しばらくして,大きな芋煮鍋を,U字溝の上において,サトイモを入れて煮始めました.ある程度煮たったところで,ゴボウとコンニャクを入れました.その後,豚肉を入れて,灰汁をとりながらさらに煮ました.豆腐を入れた後で,味付けに料理酒と醤油を入れて薄味に仕上げました.最後に,ネギを入れて完成しました.
 大人達だけでなく子供達も喜んで食べました.ある男の子は,お代わりをして5杯も食べました.結局,最後に東山森づくりの会の人たちが来たこともあり,芋煮は全て食べきってしまいました.

火入れ ネギの投入 芋煮をよそう人たち

 一方,パン焼きと焼き芋用に,脚をつけないバーベキューグリルを直接地面に置き,その上で小枝などを燃やして熾(お)きをつくりました.その後,切ってきた細い竹の先端に,パン種を手でひねって細長くして巻き付けて,それを火の上にかざして焼きました.今回は,子供達の数が少なかったので,煙が目に入って大変でしたが,大人達も喜んでパン焼きを楽しみました.1人の男の子は,直接炎の中にパンを入れて焦がしてしまいました.それでも,食べてみると内部はしっとりとして,耳たぶの柔らかさで,大変おいしいパンができあがりました.紅玉の薄いピンク色のリンゴジャムを持ってきた参加者がいて,それをつけて食べると,さらにおいしいものになりました.その後,陶器の容器に銀杏を入れて焙煎して食べました.また,マテバシイ(全手葉椎,ブナ科)やスダジイ(すだ椎,ブナ科)のドングリ(団栗)も同様にして食べました.平和公園でとれたシイタケを持ってきた人がいたので,手で切り裂いて,グリルの上においた網の上で焼き,醤油をつけて食べました.お椀の芋煮にも焼いたシイタケを入れて食べましたが,大変よい味がしました.
 肝心の焼き芋の方は,熾きの中に長く入れすぎてしまって,焼きすぎてしまいました.皮だけでなく表面から7〜8mmmも炭化してしまいました.それでも,折ってみると中は,よい色をしていました.特に,紫芋の色は大変鮮やかで,食べてみるととろとろで,大変おいしいという感想がでました.

パン焼き 銀杏の焙煎 焼き芋

 これらの間に,広場の横の林の中で,ヤマイモのツルを見つけて,ナガイモ(長芋,ヤマイモ科)だと思い,根を掘り出しました.細長い根のようないびつな芋が表面近くからとれました.10本以上を集めて土のついた芋を水路で洗いました.折って生で食べて見たところ,とても苦くて,オニドコロ(鬼野老,ヤマイモ科)であることがわかりました.焼いて食べてみた人もいましたが,やはり苦くてとても食べられるものではなかったようです.ナガイモの蔓は右巻きで,ニガイモは左巻きだそうです.

ニガイモ

 一方,シャシャンボ(小小坊,ツツジ科)のジャムとリンゴジャムを持ってきた人がいて,クラッカーに載せて供されました.平和公園の入り口の坂で採ったシャシャンボの実を黒砂糖で煮たジャムは,実のつぶつぶはそのままでしたが,素朴でおいしいものでした.同時に,リンゴを持ってきた人がいて,皮をむいて皆に振る舞われました.オサツチップを作ってきた人もいました.最後には,コーヒーゼリーにミルクをかけたデザートまで出てきました.
 フジ(藤,マメ科)のツタをたたいて,繊維にして縄をなった人もいました.ガマ(蒲,ガマ科)の穂をとってきて回覧した人もいました.その穂をグリルの上に置いて,燃やそうとしましたが,黒く炭化するだけで炎を出しては燃えませんでした.また,長いツタを取ってきて2人で縄を回し始める人もでてきました.女の子は,上手に飛びましたが,男の子はなかなかタイミング良く飛ぶことができませんでした.大人も試しましたが,飛ぶこと自体が大変だという感想がでました.

 後片付けを始めて,残りの熾きを埋めるために,スコップで穴を掘ったとき,10cmくらいの深さの所で,10cm径近くの丸いモグラの穴を見つけました.熾きを入れて埋めましたが,モグラはびっくりするのではという人がいました.採ってきた竹の中にコカマキリ(小蟷螂,カマキリ科)の卵嚢を見つけました.もう少しで燃やしてしまうところでした.芋煮の材料の実費費用として,皆から会費300円を集めました.
 感想会では,種々の木のドングリを持ってきた参加者がいて,皆に回覧されました.イチイガシ(一位樫,ブナ科),ツブラジイ(円椎,ブナ科),オオツクバネガシ(大衝羽樫,ブナ科)とアカガシ(赤樫,ブナ科)の合いの子,ピンオーク(Pin Oak,ブナ科,別名:アメリカガシワ)などでした.事前に種々の芋煮材料を調理して準備していただいた多くの人達のおかげで,無事恒例の芋煮会を終了できました.紅葉した木々と白い花を咲かせたツバキに囲まれて,種々のものを食べた楽しい観察会になりました.

種々のドングリ

観察項目:ウバメガシ,オニドコロ,ドングリ(マテバシイ,スダジイ,ピンオーク,オオツクバネガシとアカガシの合いの子),ガマの穂,モグラ穴
食べた物:芋煮(サトイモ,ゴボウ,コンニャク,豆腐,豚肉,ネギ,醤油,酒),シャシャンボのジャム,リンゴジャム,パン,シイタケ,クラッカー,オサツチップ,マテバシイのドングリ,ツブラジイのドングリ,銀杏,リンゴ,焼き芋,コーヒーゼリー

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

以下に集合時間の前に1時間半くらいかけて,平和公園で撮った写真を,この月の自然観察の代わりに載せます.

ハクモクレンの花芽 モチツツジの残り花 サザンカの花
ミヤマガマズミの実 アベマキの枯葉 ヒサカキの実
ナンテンの実 マツバラン ヤツデの花


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ファイル名 掲載日 ヒット
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2009年12月の観察記録です。
2010-4-5 443

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