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2010年 > 1月度の観察記録
1月度の観察記録
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 晴れでしたが.日差しは柔らかくて暖かさを感じず,手袋と帽子が欠かせませんでした.新池のスイレン(睡蓮,スイレン科)は水面から全くなくなり,バン(鷭,クイナ科)(3),ヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)(10),カイツブリ(鳰,カイツブリ科)(1)などの水鳥が,気持ちよさそうに水面を進んでいました.ハクセキレイ(白鶺鴒,セキレイ科),モズ(百舌鳥,モズ科),ジョウビタキ(尉鶲,ツグミ科),ヒヨドリ(鵯,ヒヨドリ科)も周辺に来ていました.冬枯れのセンダン(栴檀,センダン科)には,まだ多くの食べ頃の実がついていましたが,野鳥は来ていませんでした.参加者は,男の子2名を含んで,出発時は28名でした.

センダン ヒドリガモ

 集合場所で,最初にかなり前に問題になったアオマツムシ(青松虫,コオロギ科)の天敵が話題になりました.後で,アオムシクロタマゴバチ(青松虫黒卵蜂,タマゴバチ科)であるとの連絡を受けました.

【外部リンク】アオマツムシの卵寄生蜂アオマツムシクロタマゴバチの生活史に関する研究

 参加者が持ってきた松飾りの松の葉についていたドロバチ(泥蜂,ドロバチ科)の巣をまず見ました.次に,昨日,東山地区でとってきた竹の子を茹でたものを包丁で切って皆に振る舞われました.甘くておいしいものでした.昨日はもっとおいしくて,お菓子のようだったという報告がありました.男の子が,トウモロコシ(玉蜀黍,イネ科)の味だと言いました.確かにタケ(竹,イネ科タケ亜科)はイネ科ですので,的を射た感想だと大人達はしきりに感心していました.
 先月の報告を見て,オニドコロ(鬼野老,ヤマイモ科)が話題になりました.また,昨年の報告をまとめて本にするようにとの要請がありました.
 次に,子供がフェンスの向こう側で見つけた2cm大のフンを観察しました.小さなトウモロコシの実のようなものが表面についていました.鳥やネズミのフンにしては大きすぎ,冗談半分でアライグマ(浣熊,アライグマ科)のラスカルのフンではという感想が出ていましたが,検討の結果,本当にアライグマのフンということになりました.新池周辺で赤外線センサーによってアライグマの写真がとられているそうです.アライグマは夜行性なので,通常は見かけませんが,新池周辺に確かにいるそうです.駆除対象の動物で,他の場所での駆除の体験談が語られました.また,アライグマは手先が器用で,何でも上手に食べ,臭いはすごいですが大変可愛いという説明もありました.
 今回は,サツマイモ(薩摩芋,ヒルガオ科)を栽培していた畑からまっすぐに東に向かって藪こぎすることにして出発しました.

ドロバチの巣 タケノコ アライグマのフン

 半年も立入っていなかったサツマイモ畑から平和公園に入りました.名古屋市が,ナノハナ(菜の花,アブラナ科)を植えたところを踏まないようにして進みました.畑にはミツバ(三つ葉,セリ科)やナノハナなどの下葉がたくさん出ていました.枯れ葉の上でじっとしているアオカメムシ(青亀虫,カメムシ科)を男の子が見つけました.活動していないので臭くないという感想がでました.

ミツバ アオカメムシ

 老木のウメ(梅,バラ科)を観察して,タマカタカイガラムシ(玉堅貝殻虫,カタカイガラムシ科)が密集してついているのを見つけました.気持ち悪くなる程びっしりと枝についていました.新芽を観察した余分な徒長枝を切って,そこから小枝の付き方を観察しました.葉が光をうまく受けられるように,小枝は螺旋状に角度を変えて出ていました.

【外部リンク】ウメ(大阪府園芸植物病害虫図鑑)

 また,近くのヤブツバキ(藪椿,ヤブツバキ科)の花と花芽を観察しました.最近少なくなったミノムシ(蓑虫,ミノガ科)も見つけました.

ウメについたタマカタカイガラムシ ヤブツバキの花 ミノムシ

 その後,藪こぎをして西尾根に向かいました.途中では,ソヨゴ(冬青,モチノキ科),シュロ(棕櫚,ヤシ科),アオキ(青木,アオキ科)およびヒイラギ(柊,ヒイラギ科)の幼木がたくさんありました.西尾根では,頭上でヤママユガ(山繭蛾,ヤママユガ科)の薄緑色の繭を見つけました.また,藍色の実をつけた地を這うようなネズミサシ(杜松,ヒノキ科)を観察しました.その実は大変香りがよいものでした.ホワイトリカーに入れて,香りづけに使われるそうです.平和堂やアクアタワーを,林の隙間から見事にみることができるビューポイントで写真を撮りました.

ヒイラギ ヤママユガの繭 実のついたネズミサシ ビューポイントから見たアクアタワー

 そこから,また藪こぎをして,カミヤツデ(紙八手,ウコギ科)のある道路端までいきました.お茶の木(ツバキ科)があり,確かに昔,人が住んでいた証拠であるとの説明がありました.

カミヤツデ お茶の木

 そこから少し戻って,また藪こぎをして東に向かいました.途中で,ヤブニッケイ(藪肉桂,クスノキ科)があり,葉を折ってにおいを嗅いで,樟脳の臭いであることを確認しました.センリョウ(千両,センリョウ科)やマンリョウ(万両,ヤブコウジ科)の幼木も数本見つけました.チップ製作の横の林は,ユーカリ畑になっていました.東山動物園が管理をしているそうです.ここのユーカリは,コアラは食べていないそうです.

ヤブニッケイ センリョウ マンリョウ ユーカリ林になったチップセンター

 さらに登りの藪こぎをして,北尾根の石柱のある場所まで行きました.地図で位置を皆で確認しました.さらに藪こぎをして,ハンノキ湿地まで行きました.業者が入って,道の周辺の大きなコナラ(木楢,ブナ科)が切られて,周辺に短く切断されて放置されていました.カシノナガキクイムシ(樫長木喰虫,キクイムシ科)にやられたコナラから枝が落ちたり,倒れたりして市民が怪我をしないようにとの配慮で支障木として伐採されたものでした.ただし,持ち出す費用はなく,その場所で放置され無惨な様子でした.とくに,ハンノキ湿地に入るところの樹齢50年程度のコナラが切り倒されており,皆で残念だという話しをしました.この切株の所で,記念写真を撮りました.

ハンノキ湿地 コナラの切株 コナラの切株での記念撮影

 さらに藪こぎして,炭焼広場にでました.削った斜面の側面に地層が出ており,褶曲の模様などがおもしろい形になっていました.
 炭焼広場の前で,感想会をしましたが,高低差のある藪こぎで疲れたのか,参加者の半分くらいは途中で帰ってしまっていました.今回の藪こぎに対して,爽快であったというのと大変疲れたという相反する感想がでました.周辺にはメジロ(目白,メジロ科)の群れが来ており,シジュウカラ(四十雀,シジュウカラ科)の鳴き声もしました.農道の入り口近くに新たに造成された池などに名前を付ける必要があるという意見がでました.
 冬の寒さの中で快適に藪こぎをした楽しい観察会になりました.

炭焼広場の地層 感想会

観察項目:タケノコ,アライグマのフン,ナノハナの下葉,アオカメムシ,タマカタカイガラムシ,ウメの蕾,ミツバ,ヤブツバキ,ソヨゴ,ヒイラギ,コナラとアベマキの新芽,スギゴケ,アオキの実,ヤママユガの繭,カミヤツデ,ヤブニッケイ,ネズミサシ,樹齢50年程度のコナラの切り株,センリョウ,マンリョウ,ヤブコウジ,ビナンカズラ,タンポポ

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

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2010年1月度の観察記録です。
2010-4-11 529

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