台風が近づいており,雨を心配しましたが,時折日差しがある曇りとなりました.それ程暑くもなく,観察会日和になりました.開掘りの効果もなく,新池の水面はスイレン(睡蓮,スイレン科)によって大半が覆われ,残りのわずかの水面もオオカナダモ(大カナダ藻,トチカガミ科)やマツモ(松藻,マツモ科)などで覆われていました.水鳥は今月もいませんでした,先月あれ程いたトンボも,ほとんど飛んでいませんでした.
いつもの公園のテーブルは,2ヶ所とも自転車で来ていた男性達が寝ていて占拠されていたので,手前のベンチの所で集合しました.まず,先月の記録を見て,最初にセミの鳴き声についての話題がでました.豊田市では,ミンミンゼミ(セミ科)が鳴きますが,名古屋市内では,このセミの鳴き声を聞いた人はいませんでした.ミンミンゼミは東京では代表的なセミで,漫画家は東京出身が多いので,漫画の中ではセミの鳴き声を「ミンミン」とするということでした.せみの鼓膜の位置に関しての説明もありました.トンボとカエルが,生物多様性を確保するための大事な指標になるという説明もありました.トンボの中では,コシアキトンボ(腰空蜻蛉,トンボ科)が,環境がある程度よくなると最初に出てくるということでした.先月捕まえた2匹のニホンアカガエル(日本赤蛙,アカガエル科)は,東山動物園に引き取られたそうです.
里山の定義について質問があり,農業生産と関連した場所という説明がありました.なお,環境省の定義は以下のようです. 平和公園に入って,オタマジャクシ池の前で雄のキリギリス(螽斯,キリギリス科)を捕まえて,高校生に名前を知っているかという問いをした人がいました.バッタ(飛蝗)という回答がでましたが,キリギリスという回答はでませんでした.枝の先にネギ(葱)をつけてキリギリスを釣るという話もでました.キリギリスを,餌として鳥にやるときには,頭を切って与えるという説明もありました.噛み付くと離さないからだそうです.近くのコナラ(木楢,ブナ科)の葉の裏に,ホソバシャチホコ(細羽鯱,シャチホコガ科)の幼虫を見つけて観察しました.独特の複雑で美しい模様が背にありました.
オタマジャクシ池の前の野原にクズ(葛,マメ科)が沢山茂っていたので,その大きな葉をとって皆でクズ鉄砲をしました.大きなクズの葉を,こぶしを横にした上に載せ,真ん中を押さえて空洞をつくり,上から別の手のひらで思いっきりたたくと,ポンという高い音がでるというものです.空洞を作らずに,葉を水平においたままでも音は出ましたが,よい音ではありませんでした.高校生たちは初めてやったようで,あまりよい音は出ず,よい音を出している小さな子供にやり方を教えてもらっていました.
湿地に行き,オオシオカラトンボ(大塩辛蜻蛉,トンボ科)とシオカラトンボ(塩辛蜻蛉,トンボ科)を捕まえて,2つを並べてその違いを観察しました.オオシオカラの目は黒い色で,シオカラの目はエメラルド色でした.大きさの違いだけでなく,こんなに目の色が違うのを初めて知った人が多かったようです.シオカラのヤゴは,オオシオカラに比べて,きれいな水を必要とするそうです.
近くに,小さなピンクの花をつけたイボグサ(疣草,ツユクサ科)とアキノウナギツカミ(秋の鰻攫,タデ科)がありました.湿地には,多くのシラタマホシクサ(白玉星草,ホシクサ科)が,白い花をつけていました.小さなカノコガ(鹿子蛾,カノコガ科)がヒヨドリバナ(鵯花,キク科)の白い花にじっととまっていました.紫色の花をつけたサワギキョウ(沢桔梗,キキョウ科)も少しでしたがありました.ミズギボシ(水擬宝珠,ユリ科)も青白い花を足下で咲かせていました.高校生の参加者は,この時点で,暑さでかなりへたっていました.
先月に感想会を行った所に行き,ハギ(萩,マメ科)とシラハギ(白萩,ハギ科,別名:シロハギ)を観察しました.ツクツクボウシが,どのように鳴いて,何回連続して鳴くかという議論がおきました.「オーシンツクツク」と鳴いて,最後に「ツクツクボウシ」と鳴くということで,最長32回続けて鳴いたことを確認した人がいました.また,オオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)を捕まえて,下翅が黒紫色であることを確認しました.
モグラ穴とおぼしき穴が複数開いていましたが,はっきりとは,その正体は分かりませんでした.周辺では樹液の匂いを大変きつく感じました.カマキリ(蟷螂,カマキリ科)の卵嚢をとってきた人がおり,触ってみると,手に泡のようなものがついてしまいました.タマムシ(玉虫,タマムシ科)の1枚の翅を見つけた子供がいました.結局,終了時間がきてしまい,先月と同じこの場所で,感想会を行いました.
感想として,まず,種々の花などの自然を楽しんだというものがでました.蝶の食草を再生させようという提案もありました.周辺の木でヤマガラ(山雀,シジュウカラ科)がしきりに鳴いていました.ここでも,ツクツクボウシが何回連続で鳴くかを数えて,32回まで数えた参加者がいました.感想会の周辺にきれいな丸い大きなスポンジケーキのようなキノコを見つけた子供もいました.
観察項目:クスノキの葉についた蛾の卵,ウラギンシジミ,アオスジアゲハ,オニヤンマ,キリギリス,ホソバシャチホコ,ショウリョウバッタ,クズ鉄砲,イチモンジセセリ,オオシオカラトンボ,シオカラトンボ,オオカマキリ,イボグサ,アキノウナギツカミ,ミノムシ,ヒヨドリバナ,カノコガ,ケツユクサ,ミズギボシ,カキツバタ,サワギキョウ,シラタマホシクサ,ヒメタイコウチ,ハギ,シラハギ(シロハギ),ツクツクボウシ,クズ,ウメモドキ,ヤハズソウ,アオマツムシ,ジョロウグモ,タマムシの翅,モグラ穴,カマキリの卵嚢,アシナガバチ(概ね観察順) |
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2008年9月度の観察記録
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| 2008-10-13 | 714 | |
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