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2012年 > 9月度の観察記録
9月度の観察記録
2012年9月度の観察記録です。

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青空が少しだけ見える曇りでしたが,集合時にわずかに雨が降りました.新池の周辺は,ツクツクボウシ(つくつく法師,セミ 科)と秋の虫の鳴き声が盛んにしました.新池にはアオサギ(青鷺,サギ科)が1羽スイレン(睡蓮,スイレン科)の上にいましたが,観察会終了後にはコサギ (小鷺,サギ科)も1羽来ていました.新池のわずかに残った水面では,コイ(鯉,コイ科)がごそごそ動いて,その上をチョウトンボ(蝶蜻蛉,トンボ科)が ふわふわと飛んでいました.新池のフェンスに,黄色い花をたくさんつけたノアズキ(野小豆,マメ科)が巻き付いていました.ガガイモ(蘿?または鏡芋,ガ ガイモ科)のもじゃもじゃの毛を付けた小さな花もありました.スイレンは,また白い花を咲かせていました.スイレンの遮光実験場では,マツモ(松藻,マツ モ科)とヒシ(菱,ヒシ科)が繁茂していました.土手のクズ(葛,マメ科)の花が甘いかおりを漂わせていました.東星ふれあい広場には,今月も人はいなく て,ウスバキトンボ(薄羽黄蜻蛉,トンボ科)だけがたくさん飛んでいました.参加者は子供6名と大人23名でした.

ガガイモの花

まず,先月の報告を見て,アオマツムシ(青松虫,コオロギ科)は不完全変態なので,イモムシではないですが幼虫でよいということになりました.大高では既 にアオマツムシが鳴いているという報告がありました.報告の中の写真のサトクダマキモドキ(里管巻擬,キリギリス科)もまだ翅が大きくなっていないので幼 虫というタイトルを付けるべきという指摘もありました.ミズスギ(水杉,ヒカゲノカズラ科)は南方性の風が吹くところに自生して,信州の温泉地でも見るこ とができるそうです.
女の子が網でウスバキトンボ(薄翅黄蜻蛉,トンボ科)を捕獲して持ってきたので皆で観察しました.直ぐに逃げて里山の家の樋にとまりました.
次に,参加者が持ってきた小型の鷹であるツミ(雀鷹,タカ科)の羽根を見ました.もらったものがそうですが,多分,事故で落鳥したツミの羽根だと思いま す.次に,男の子が持ってきたプラスチック容器に入れた生きたメ ンガタスズメ(面形天蛾,スズメガ科)を観察しました.容器の中で盛んに暴れるので翅や胴 体をしっかりと見ることができました.幼虫はナスを食べるそうです.
ウバユリ(姥百 合,ユリ科)の実と大きな葉 を持ってきた人がいました.花期に葉がないので,この名前が付いたという説明がありました.英名はGiant Lilyだそうです.細長い4cm大の実に数mm大の穴があいているものがありました.半分に切って,中を見られるようにして,セロテープを貼った実の中 にはハネカクシ(隠翅虫,ハ ネカクシ科)の成虫がいました.

ツミの羽根 メンガタスズメ ウバユリの実の中のハネカクシ

大坂池の土手に行き,マメ科植物を観察しました.まず,小さな花をたくさん付けているアレチヌスビトハギ(荒地盗人萩,マメ科)を 観察しました.花と実がバラバラに混在していました.マメ科の花の特徴の説明がありました.竜骨弁もピンク色でした.ルーペで見て,ピンク色の花の中心の 黄緑がきれいだという参加者がいました.この花を食べて甘いという感想が出ました.次に他のマメ科の植物ということで,小さな紫色の花を咲かせていたヤハズソウ(矢筈草,マメ科)を観察しまし た.葉が半分に切れて,じゃんけんが出来るものです.茎に付いている葉の上端を全て取り,別の種類の草のように見えるV字形になった葉を付けた茎を女の子 が見せていました.花の中心に黄緑色の部分はありませんでした.アレチヌスビトハギとは違って,竜骨弁には色はついていませんでした.次に,黄色い花をつ けたアレチケツメイ(荒地決明,マメ科)を観察しました.ツマグロキチョウ(褄黒黄蝶,シロキチョウ科)の食草です.葉を触るとオジギソウ(お辞儀草,マ メ科)のように少しだけ閉じました.最後にシロツメグサ(白詰草,マメ科,別名:クローバー)を見ました. 
 花のついていないメドハギ(目 処萩,マメ科)を採って,葉をしごいて茎だけにして,占いの筮竹(ぜいちく)に使うという話をした人がいました.確かに堅くて筮竹に使えそうでした.メド ハギの葉はヤハズソウ程にはきれいではありませんが途中で切れました.シオカラトンボ(塩辛蜻蛉,トンボ科)を捕まえて観察しながら,頭の触角を取ると平 衡感覚がなくなり飛べなくなるという説明がありました.

アレチヌスビトハギの花 ヤハズソウの花 メドハギのしごき

水田の方向に行き,途中の小さな池の奥の方で草にとまっているカワセミ(翡翠,カワセミ科)を1羽見つけました.じっとし ていましたが,皆が集まったときに,糞をして飛び立ちました.青いきれいな背中が見えました.下側のくちばしも黒かったので雄でした.
ツルマメ(蔓 豆,マメ科)とクズの花を観察しました.クズは甘い香りがしました.植えられた1m高くらいのフデガキ(筆柿,カキノキ科)に細長い10cm弱の実が10 個程付いていました.

ツルマメの花

ヤマノイモ(山 芋,ヤマノイモ科)のムカゴ(零 余子)やノイバラ(野茨,バ ラ科)の緑色の実の写真を撮りました.ヘクソカズラ(屁 糞葛,アカネ科)の実もありました.直ぐ横に緑色の実をたくさんつけたト ウネズミモチ(唐鼠黐,モクセイ科)もありました.

ヤマノイモのムカゴ ノイバラの実 ヘクソカズラの実 トウネズミモチの実

ここで,エンマコオロギ(閻 魔蟋蟀,コオロギ科)の2匹の雌と1匹の雄を捕まえました.2匹の雌だけのときは容器の中で静かでしたが,雄を入れたとたんに騒がしくなりました. 
エノキ(榎,ニ レ科)の葉を観察して,非対称の2列互生で,鋸歯が葉の半分のみにあることを観察しました.ここではツクツクボウシが激しく鳴いていました.ムクノキ(椋木,ニレ科)の青い実とキリ (桐,ゴマノハグサ科またはキリ科)の鈴なりの実も観察しました.

エンマコオロギ エノキの葉 ムクノキの実

急いで湿地に行き,シロバナサクラタデ(白花桜蓼,タデ科),ミズギボウシ(水擬宝珠,ユリ科),サワギ キョウ(沢桔梗,キキョウ科),シラタマホシクサ(白玉星草,ホシクサ科)を見ました.ここのシラタマホシクサは,少なくなったので,4年前から,自生し ているものから種をとって蒔いていたそうです.東海地方限定の草ですが,今年はぎっしりと白い小さな球状の花を咲かせていました.
この湿地の中で尾が非常に長いカナヘビ(金蛇,カナヘビ科)を見つけて皆で観察しました.切れて再生した尾に骨はあるかという質問がでました.肉は再生 しますが骨は再生しないそうです.
シオカラトンボ,ジョロウグモ(女 郎蜘蛛,ジョロウグモ科)およびコガタコガネグモ(小 型黄金蜘蛛,コガネグモ科)を観察しました. 

ミズギボウシ ジョロウグモ コガタコガネグモ

水田の畦にピンク色の花を咲かせたイ ボクサ(疣草,ツユクサ科)を見つけて写真を撮りました.コナギ(小菜葱,ミズアオイ科)も探しました が,除草してあり,なかなか見つかりませんでしたが,青い花を咲かせたひと株だけを見つけて皆で観察しました.湿地の畦にはたくさんのワレモコウ(吾木 香,バラ科)がありました.

イボクサ コナギの花

男の子がカナヘビの子供を捕獲したので,鱗の話がまたありました.ここで,オオシオカラトンボ(大塩辛蜻蛉,トンボ科), ヒレタゴボウ(鰭田牛蒡,アカバナ科,別名:アメリカミズキンバイ)の黄色い花を観察しました.観察後,稲の生育に悪いので,ヒレタゴボウは抜いて除草し ました.小さな目立たない花を付けたタカサブロウ(高 三郎,キク科)も観察しました.サカマキガイ(逆 巻貝,サカマキガイ科)を水田からとった参加者もいました.水田の横に,稲の説明看板が設置してありました.水田から稲穂を取ってきて,籾をとって胚乳を 食べました.ここで,ルリモンハナバチ(瑠 璃紋花蜂,ミツバチ科)を捕獲した女性がいました.群れで飛んでいたそうです.最初は,蠅か蜂かも何か分かりませんでしたがスマホと図鑑で調べて, Blue Beeと呼ばれている蜂であることを確認しました.場所によっては貴重種に指定しているそうです.ミツバチ科であれば巣は作るのかという質問が出ました. 単独生活をして,ケブカハナバチ(コシブトハナバチ科)の巣に卵を産み,育ててもらうようです.カッコウ(郭公,カッコウ科)の託卵のような状況のようで す.

【外部リンク】ルリモンハナバチ(年金暮し団塊世代のブログ)

周辺では,ツクツクボウシの合唱の中で,ひと鳴きだけアブラゼミ(油蝉,セミ科)が鳴きました.

タカサブロウ サカマキガイ ルリモンハナバチ

里山の家への帰り道で,キクイモ(菊芋,キク科)の黄色い花を観察しました.直ぐ横で,ママコノシリヌグイ(継子の尻拭, タデ科)の瑠璃色の実も見つけました.

ママコノシリヌグイ

感想会は里山の家で行いました.子供達の観察眼で種々のものを見つけてくれて観察できたのが良かったという感想がでまし た.ウメモドキ(梅擬,モチノキ科)の花が,まだ咲いているのを見たという報告も出ました.猛暑もほぼ去り,汗はかきましたが快適な観察会になりました.

観察項目: ツミの羽根,メンガタスズメ,ウバユリ,ハネカクシ,ウスバキトンボ,アレチヌスビトハギ,ヤハズソウ,アレチケツメイ,クローバー,メドハギ,カワセ ミ,ツルマメ,クズ,シオカラトンボ,オオシオカラトンボ,ヤマノイモのムカゴ,ヘクソカズラの実,エンマコオロギ,フデガキ,シロバナサクラタデ,ミズ ギボウシ,サワギキョウ,サワシロギク,ヒヨドリバナ,シラタマホシクサ,カナヘビ,ジョロウグモ,コガタコガネグモ,ワレモコウ,イボクサ,アキノウナ ギツカミ,ヒレタゴボウ(アメリカミズキンバイ),タカサブロウ,コナギ,イヌビエ,イネの胚乳,ルリモンハナバチ

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

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