さわやかな風の吹く秋晴れでした.新池は,相変わらず水面がスイレン(睡蓮,スイレン科)に覆われ水鳥は来ていませんでし た.土手の樹木上でハクセキレイ(白鶺鴒,セキレイ科)2羽がホバリングをして虫を捕っていました.周辺では,セイタカアワダチソウ(背高泡立草,キク科) の花が全盛を迎えていましたが,ノコンギク(野 紺菊,キク科)の白い花も少しだけありました.センダン(栴 檀,センダン科)の実はクリーム色になり,枝に鈴なりになっていました.表面がしわしわになった実が数個下に落ちていました.
サルスベリ(猿滑または百日紅,ミソハギ科)には,わずかに花が残っていましたが,ムクゲ(木槿,アオイ科)の花はすっかりなく なって実が付いていました.並木のサクラ(桜,バラ科)とト ウカエデ(唐楓,カエデ科)が紅葉し始めていました.平和公園入口のユキヤナギ(雪柳,バラ科)の中から,引っ付き虫になった 茶色のアレチヌスビトハギ(荒地盗人萩,マメ科)が飛び出ていました.蝉の鳴き声はすっかりなくなり,エンマコオロギ(閻魔蟋蟀,コオロギ科)の鳴き声だ けが響いていました.参加者は,母親に抱かれた5ヶ月(8kg)の赤ちゃんを含め子供4名と大人22名でした.
まず,最初に昆虫が好きな女性参加者が,海洋堂のイモムシのフィギュアの付いた6種のストラッ
プを披露しました.クロメンガタスズメ(黒面形天蛾,スズメガ科),アケビコノハ(通草木葉蛾,ヤガ科),シンジュサン(神樹蚕,ヤママユガ科),アオバ
セセリ(青羽?,セセリチョウ科),ナミアゲハ(並揚羽,アゲハチョウ科),アサギマダラ(浅黄(葱)斑,タテハチョウ科)の6種でした.1個300円
で,ガチャガチャで買うと全種類を集めるのは難しいので,直接購入したそうです.幼虫のフィギュアはよくできていて,曲げて形を変えることもできました.
イモムシハンドブック(文一総合出版,安田守著)を参照しているということを書いた解説の紙もありました.ただし,大きさが本物と多少違うものがあること
と,本物の方が色が鮮やかであるという指摘がありました.
先月の報告を見て,花にアブの付いた写真が話題になりました.また,ズミ(酢実,バラ科)も話題になりました.
最近,話題となった外来種のハラビロカマキリ(腹広螳(蟷)螂,カマキリ科)を今回見つけるという課題がでました.外来種
の定義は何かということで,動植物に本来境界はなく,人間が介在したかどうかで判定すべきと言う意見が出ました.
10:05に出発して,せせらぎで産卵している小ぶりのアカトンボのつがいを見つけました.ヒメアカネ(姫茜,トンボ科)
という人もいましたが,マユタテアカネ(眉
立茜,トンボ科)だろうということになりました.残念ながら写真を拡大しても頭の模様のわずかな差は確認できませんでした.
次に,先月観察したズミをまた見ました.すぐ隣の青色の実を付けたサワフタギ(沢蓋木,ハイノキ科)と赤い実を 付けたガマズミ(莢?,スイカズラ科)があり,複数の人がその実を食べました.サワフタギの青い実は,まずかったようです.ガマズミの赤い実は,そこそこ うまいという感想がでました.
炭焼広場へ行き,サトイ モ(里芋,サトイモ科)とサ ツマイモ(薩摩芋,ヒルガオ科)が植えられているのを見ました.サトイ モを見て,ホウレンソウ(菠薐草,アカザ科)だという男の子もいました.2株のサツマイモを引き抜いて,葉と芋の数を数えていました.ベニハルカ(紅はる か)という品種で,種芋は高いですが味がよくて育ちやすい品種だそうです.大きい方の株は,238枚の葉がついていて,芋は2つだけでした.効率が悪いと いう感想がでました.芋と上部の茎と葉の重さが同じだった経験のある参加者がいました.神事にはサトイモは供えますが,サツマイモやカボチャ(南瓜,ウリ 科)は供えないという話しが出て,昔から栽培している根野菜の歴史を継承しているということでした.ただし,果物としてパイナップル(Pineapple 鳳梨,パイナップル科)やトマト(Tomato,ナス科)も供えるようですので,神様はもっと心広いかもしれません.
湿地へ行き,シラタマホ シクサ(白玉星草,ホシクサ科)が全盛なのを確認しました.黄色い花のスイラン(水蘭,キク科)と 紫色の花のサワギキョウ(沢桔梗,キキョウ科)も混じっていました.昨年もやったように,シラタマホシクサを一本取って,下から茎をしごいて花が回転する のを皆に見せました.茎はらせん状にねじれていて,しごいてよりを戻すと,時計回りに茎の先頭の白い花が回りました.このとき,湿地は日陰になっており, これを改善するために山側のコナラ(小楢,ブナ科)を切る予定だそうです.
水田で
数十羽の雀が騒がしく鳴いていて,人が行くとすぐ横の樹木に待避しました.水田の籾(もみ)から中のコメを取り出し,胚が下(根元)の方についていること
を皆で確認しました.米の中心に黒い点があるものがあり,これはカメムシ(椿象または亀虫(総称),カメムシ科)がかんで吸汁した痕で,斑点米として等級
落ちして屑米になってしまうという説明がありました.実の入っていないシイナ(粃または秕)の籾も多く,病気か,雀が乳熟期の稲の実から乳液状のデンプン
を吸汁してしまったようです.水田の雑草に見えるのはイヌビエ(犬稗,イネ科),ケイヌビエ(毛犬稗,イネ科)およびタイヌビエ(田犬稗,イネ科)である
という報告がありました.
里山の家への帰り道で,カマキリ(蟷螂,カマキリ科)を皆で一生懸命探しましたが,外来種のハラビロカマキリだけでなく,
他のカマキリも一匹も見つかりませんでした.途中で,コ
ムラサキシキブ(小紫式部,クマツヅラ科)の実がたくさんなっていたので,複数の人が食べて少し甘いという感想が出ました.
観察項目:6種の幼虫のフィギュアのストラップ,クロメンガタスズメの幼虫と成虫,灯火に飛来した甲虫の標本,ヨーロッパ
ナラのドングリ,ムベの葉,マユタテアカネ,ズミ,ナツハゼ,サワフタギ,サツマイモ(ベニハルカ),サトイモ,サワギキョウ,スイラン,シラタマホシク
サ,ギンナン,コメ,ニホンミツバチ,ルリタテハ,スズメバチ,ハナアブ,ウラギンシジミ,オオタカ,ミサゴ,アサギマダラ |
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2013年10月度の観察記録
2013年10月度の印刷用観察記録です。
| 2014-2-9 | 392 | |
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