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2014年 > 4月度の観察記録
4月度の観察記録
2014年4月度の観察記録です。

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曇 り空でしたが,木々の新緑が目にまぶしい春が来たという感じでした.地下鉄の東山公園駅を出て直ぐにセーターを脱ぐ程の気温でした.イチョウ(銀杏,イ チョウ科),トウカエデ(唐楓,カエデ科)およびメタセコイア(Metasequoia,スギ科)は個体差はありますが,大変きれいな黄緑色の木葉を付け 始めていました.一方,センダン(栴檀,センダン科)とサルスベリ(猿滑,ミソハギ科,別名:百日紅)は,まだ葉は出ていませんでした.スイレン(睡蓮, スイレン科)の茶褐色の葉が水面に出始めた新池の真ん中にダイサギ(大鷺,サギ科)が1羽来ていました.北側の岸辺にはヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科)13 羽とコガモ(小鴨,カモ科)が数羽いました.周辺のサクラ(桜,バラ科)の木で,コゲラ(小啄木鳥,キツツキ科)がキッキッキッとかん高く鳴いていまし た.ソメイヨシノ(染井吉野,バラ科)にもわずかに花は残っていました.ヤ エザクラ(八重桜,バラ科)は満開でした.東星ふれあい広場横のアジサイ花壇で は白と黄のチューリップ(Tulip,ユリ科,別名:鬱金香)が満開でした.周辺に新たに植栽されたアジサイ(紫陽花,アジサイ科)は少しだけ葉が出始め ていました.東星ふれあい広場には,ツグミ(鶫,ツグミ科)1羽,ムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)5羽とスズメ(雀,スズメ科)5羽が芝生の上で何かをつい ばんでいました.
参加者は,子供8名と大人24名でした.男の子達は,観察会の間ずっとはしゃぎ回っていました.

ヤエザクラ

集 合時間の前に来ていた参加者達が,スミレ(菫,スミレ科)の花柄と茎の違いについて議論していました.9:30になって,最初に先月の観察記録を皆で見ま した.先月の記録で扱った殻付きアーモンド(Almond,バラ科)を売っている店を見つけたという報告がありました.このとき,大坂池から飛んできたカ ルガモ(軽鴨,カモ科)3羽が上空を旋回しました.アズマヒキガエル(東蟇蛙,ヒキガエル科)が平和公園からいなくなったことを先月記録しましたが,名古 屋市内で調査して,かろうじて東山植物園にはいたという報告もありました.カスミサンショウウオ(霞山椒魚,サンショウウオ科)は,氷河期を生き残ってき たので,生き残り戦略を持っていますが,その後に出てきたアズマヒキガエルは,その戦略がなく,昨年まであんなにたくさんの卵塊を産んでも性成熟できな く,そのときから既に絶滅が始まっていたという仮説が紹介されました.観察記録の中のヨモギ(蓬,キク科)も話題になり,大きなものも白っぽい小さなもの も同じということでした.新池のフェンスの中のヨモギはヨモギ餅にするのに適しているという助言もありました.
次 に,参加者が持ってきた「日本の亀の6割が外来種」という新聞記事と浮島型カメ捕獲装置で2ヶ月で150匹捕獲できたというチラシが披露されました.ハク サイ(白菜,アブラナ科)を冷蔵庫に入れておいたら花が咲いたので,それを持って来た参加者がいました.紫色の花がついたダイコン(大根,アブラナ科)も 紹介されました.ダイコンの花は白だと思っていたのでびっくりしました.ア ミガサユリ(編笠百合,ユリ科,別名:バイモン)とトチノキ(栃の木,トチノキ 科)の新芽も観察しました.トチノキの新芽はべたべたしていました.

アミガサユリの花

紙製の四角い飲料容器にさした,1)葉が赤色から緑になったカツラ(桂,カツ ラ科),2)枝がつるつるのミヤマガマズミ(深山莢?,スイカズラ科),3)赤いしおれた葉のハナノキ(花の木,カエデ科),4)赤い新芽のついたアカメ ガシワ(赤芽柏,トウダイグサ科),5)葉が出始めたタカノツメ(鷹爪,ウコギ科),そして,6)アズキナシ(小豆梨,バラ科)を観察しました.
こ ぶのように膨らんで4層になったフジ(藤, マメ科)の薄く切った幹の断面を見ました.非常に軽く木質部には細い管がたくさんありました.幹がくっついたよ うに見えましたが,水平の幹がより多くの水や栄養を運ぶために,上側の樹皮の中間が増殖して,幹を上に付け足したようになるという説明がありました.蔓性 なので自分自身の重さを支える必要はないので,最初は細い蔓(幹)で巻き付き,光を受けて葉が多くなると,このようになるという説明でした.垂直の幹は断 面周辺全体に増えるそうです.樹齢は年輪もあるので,最初の幹の年輪を数えればよいそうです.フジの根元によく付くこぶは薬草(制がん剤)として効くとい われている話しも出ました.

【外部リンク】フジ(岡山理科大学植物生態研究室:波田研)

鉢植のキンリョウヘン(金稜 辺,ラン科シュンラン属)が紹介されました.この花はニホンミツバチ(日本蜜蜂,ミツバチ科)の女王蜂が持っているのと同じフェ ロモンを出すので,ニホンミツバチの巣の近くに置いてミツバチを集めるために4500円で購入したものだそうです.花の蜜をなめてみて甘いという感想が数 名から出ました.

フジの枝の断面とナナホシテントウ キンリョウヘン

先月話題になった,ムシャクロツバメシジミ(霧社黒燕小灰蝶,シジミチョウ科)の駆除の参加へのお礼が最後にありました.
こ こまでで,10:20になり出発しました.まず,大坂池南の植樹畑横のイ タドリ(虎杖,タデ科)を観察しました.まだ,それほど背丈は伸びていませんでし たが,群生していたので茎の皮をむいて皆で食べました.「酸っぱくて苦い」,「まずいけどおいしい?」,「みずみずしい」というような感想が出ました. もっと太くなってからの方が味がよいのではという感想もでました.イタドリの葉の赤い模様は,ジャワ更紗(バティック)に似ているという言う人もいまし た.北原白秋の「すかんぽ(イタドリの別称)の咲く頃」の歌の紹介がありました.
「土手のすかんぽ,ジャワ更紗.昼は蛍がねんねする.僕ら小学尋常科.今朝も通ってまたもどる.すかんぽ,すかんぽ,川のふち.夏が来た来た,ドレミファ ソ.」.

イタドリの葉

直 ぐ横のズミ(酢実,バラ科)とイボタノキ(疣取木,モクセイ科,別名:水蝋樹)が植樹されたところで,双葉(学校教育では子葉に統一)の残っているカナム グラ(鉄葎,アサ科)を見つけて観察しました.細長い双葉と本葉(学校教育では単に葉)は全く形が違いました.イタドリの双葉が残っているものも見つけま した.朝顔市では,双葉のついていないアサガオ(朝顔,ヒルガオ科)は価値が低いそうです.植樹した木々の周辺のカナムグラは除草しましたが,ゾウムシ (象虫,ゾウムシ科)がつくのであまり除草しないでほしいと言った参加者もいました.
直ぐ横の大坂池では,ツバメ(燕,ツバメ科)が3羽盛んに飛んでいて,ぼちゃんと落ちたようにして水を飲んでいました.いつもは軽快に水面すれすれを飛ん でくちばしで上手に水を飲みますが,まだ慣れていないようでした.
ゾウムシを研究している参加者の後ろ襟にヤナギハムシ(柳 葉虫または柳金花虫,ハムシ科)が付いていたので,観察瓶に入れて観察しました.

ヤナギハムシ


群生しているスギナ(杉菜,トクサ科)の茎の穴をルーペで観察しました.緑色の胞子嚢穂を持つツクシ(土筆,トクサ科)の袴(葉鞘)がある べきところからスギナの細い葉が出ているのを数本見つけました.踏むなどして痛めつけられると種々の形状のものが出てくるようです.
大坂池土手の赤い花をたくさん付けたヤブツバキ(藪 椿,ツバキ科)と植樹されたオオウラジロノキ(大裏白の木,バラ科)を観察しました.
尾 根を歩いて,ヌルデ(白膠,ウルシ科)に大量に巻き付いたア ケビ(木通,アケビ科)を見つけて,たくさんの雄花と雌花を観察しました.巻き付かれた部分に はヌルデの新葉は出ていませんでした.まるで締め殺しのようだと言う人もいました.雌花と雄花は強い香りがしました.細い茎を取って多くの人が食べまし た.ほろ苦い味がしました,摘み取って,里山の家でゆでて,塩をふって感想会の時に出した参加者もいました.

スギナの葉のついたツクシ ヤブツバキの花 アケビの雌花と雄花

ここで,ベニシジミ(紅小灰蝶,シジ ミチョウ科)を捕まえた男の子がいて,観察瓶に入れてから,図鑑を使って調べました.春型であることが分かりました.スイバ(酸い葉,タデ科)やギシギシ (羊蹄,タデ科)に卵を産むという記述がありました.近くのギシギシを観察して,コガタルリハムシ(小型瑠璃葉虫,ハムシ科) の幼虫がかたまっているのを 見つけました.スイバとギシギシを見分ける時には,スイバの葉は酸っぱくて,ギシギシは葉の端がぎざぎざになっているという説明がありました.近くでガガ ンボ(大蚊,ガガンボ蚊)に似た細い体のトリバガ(鳥羽蛾,トリバガ科)を見つけて,プラスチック容器に入れて観察しました.盛んに飛ぶのできれいな写真 は撮れませんでした.

コガタルリハムシの幼虫

少 し先で,マサキ(柾または正木,ニシキギ科)の葉についたミ ノウスバ(蓑薄翅蛾,マダラガ科)の幼虫を見つけました.葉にぎっしりとついていました.竹に 巻き付いたヘクソカズラ(屁糞葛,アカネ科)の実を食べるマ エジロマダラメイガ(前白斑螟蛾,メイガ科)の幼虫も見つけました.ヘクソカズラに幼虫が造っ た巣は,蜘蛛の巣のようでした.谷側で数本の2m丈程度のシンジュ(神樹,ニガキ科,別名:ニワウルシ)の尖端に新葉が開きはじめているのを観察しまし た.幹の途中にはハート形の葉痕がくっきりとついていました.アップルミント(Apple Mint,シソ科)と白い花をつけたタネツケバナ(種漬花,アブラナ科)を見つけました.外来種のミチタネツケバナ(路種漬花,アブラナ科)との違いが話 題になりました.根生葉(または,根出葉やロゼッタ)が実のつくときになく,おしべが6本(外来種は4本)であるので在来のタネツケバナであることが確認 されました.

ミノウスバの幼虫 マエジロマダラメイガの幼虫

葉 がまだ小さいガマズミ(莢?,スイカズラ科)を観察して,葉にゴ マダラヒトリガ(胡麻斑火取,ヒトリガ科)の幼虫やハムシの小さな幼虫がついているのを見 つけました.コナラの柔らかそうな新葉,ウスノキ(臼木,ツツジ科)の花,コ バノミツバツツジ(小葉三葉躑躅,ツツジ科)のピンクの花,一重のヤマブキ (山吹,バラ科)の花を観察しました.ここから,名古屋市街の遠景が見えました.目立った大きな円形のビルは,地下鉄池下駅近くの厚生年金会館をつぶして 建てた新ビルだという説明がありました.

ゴマダラヒトリガの幼虫 コバノミツバツツジ
ヤマブキ

登 りの藪こぎを始めて直ぐに,シュンラン(春 蘭,ラン科)を数株見つけました.地味なきれいな花を下向きに咲かせていました.藪こぎから南尾根の道に出たと ころで,ミツバアケビ(三葉木通,アケビ科)の雄花を観察しました.雌花はまだありませんでした.直ぐ横に,花をつけたサルトリバラ(猿捕茨,ユリ科)が ありました.道なりに下っていくと,道の両横には丸い葉をもつタ チツボスミレ(立坪菫,スミレ科)が青紫色の花を咲かせて群生していました.細長い葉をも つシハイスミレ(紫背菫,スミレ科)も数株あったそうです.区別が難しいマキノスミレ(牧野菫,スミレ科)ではないかという人もいました.
列が長 くなって中々参加者が集まらなかったので,待つ間に,子供達に切り株に片足で立って目をつぶってバランス感覚を確認させました.20秒近くまで大丈夫な子 と数秒でバランスを崩す子もいました.下りの藪こぎをして駐車場を経由して里山の家に戻りました.駐車場の奥には満開の八重の花をつけたサトザクラ(里 桜,バラ科)がありました.

シュンランの花 サルトリイバラの花 タチツボスミレ

感 想会は里山の家の中で行い,子供達も感想を述べました.100個の石を投げたとか,食べた物がおいしくなかったという感想でした.アケビの茎をゆでて塩を 振ったものが回わされました.くせがなく生で食べるよりはうまいものでした.多くの虫や植物を観察できた楽しい春の観察会になりました.

観 察項目: ハクサイの花,ダイコンの花,アミガサユリ,カツラ,タカノツメ,トチの新芽,ハナノキ,アカメガシワ,タカノツメ,ミヤマガマズミ,アズキナシ,フジの 幹の断面,キンリョウヘン,イタドリ,カナムグラ,ズミ,イボタノキ,ヤナギハムシ,ヤブツバキ,アケビ,ヌルデ,トリバガ,ベニシジミ,ギシギシについ たコガタルリハムシの幼虫,マサキ,ミノウスバの幼虫,ヘクソカズラ,マエジロマダラメイガ,シンジュ,スギナとツクシ,タネツケバナ,ガマズミ,ウスノ キ,ヤマブキ,シュンラン,ミツバアケビ,サルトリイバラ,コバノミツバツツジ,タチツボスミレ,マキノスミレ(シハイスミレ?),イチモンジカメノコハ ムシ,ゴマダラヒトツガ,ツマキチョウ

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

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2014-6-15 187

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