このサイト内の検索   
SmartSection is developed by The SmartFactory (http://www.smartfactory.ca), a division of INBOX Solutions (http://inboxinternational.com)
2014年 > 5月度の観察記録
5月度の観察記録
2014年5月度の観察記録です。

Untitled Page

快晴で陽差しがきつく,木々の緑も濃くなり初夏の様相でした.しかし,日陰は大変心地良い日でした.歩道端のシャリンバイ (車輪梅,バラ科)が白い花をたくさん咲かせていました.新池土手のセンダン(栴檀,センダン科)は,丈の低い若木は紫色の小さな花を咲かせていました が,大きな木の花はまだつぼみでした.ハリエンジュ(針槐,マメ科,別名:ニセアカシア)は白い花をいっぱい付けていました.新池の水際では,シラン(紫 蘭,ラン科)の紫色の花とキショウブ(黄菖蒲,アヤメ科)の黄色い花が目立ちました.スイレン(睡蓮,スイレン科)に覆われ始めた新池には,水鳥はいなく て,周辺にムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)やコゲラ(小啄木鳥,キツツキ科)がいるだけでした.
大坂池には,水面にカルガモ(軽鴨,カモ科)2羽と空中にツバメ(燕,ツバメ科)が4羽いて盛んに水を飲んでいました.参加者は,子供6名と大人22名で した.

2013年の報告をまとめた本の紹介が最初にありました.10年間の総索引が最後についていて,歳月の早さを感じさせまし た.集合場所で,先月の報告を見始めたときに,大坂池のすぐ東の木に,若いカラス(烏,カラス科)が30〜40羽,大きな声で鳴きながら集まってきまし た.思わず報告の説明が止まりました.若いカラスが遊び相手を探していたようでした.
先月の報告のスミレ(菫,スミレ科)の写真に関連して,ユーカリ畑にアメリカ原種の外来種で,まだ和名のない大きな花を持つスミレが群生していたそうで す.既に刈られてしまったそうです.説明のときにアゲハチョウ(揚羽蝶,アゲハチョウ科)が,参加者にまとわりつくように飛びました.
参加者が持って来たコメツキムシ(米 搗虫,コメツキ科)とアカガネサルハムシ(赤 銅猿金花虫,ハムシ科)を観察しました.アカガネサルハムシは,きらきら と光っていました.この種の昆虫は造化の妙をいつも感じさせます.

コメツキムシ アカガネサルハムシ

サルトリイバラ(猿捕茨,ユリ科)についたル リタテハ(瑠璃立羽蝶,タテハチョウ科)の幼虫とダイコン(大根,アブラナ 科)の葉についたモンシロチョウ (紋白蝶,シロチョウ科)の緑色の蛹(さなぎ)も観察しました.プラスチック容器の中に入った黒いホソオチョウ(細尾揚羽蝶,アゲハチョウ科)の2匹の幼 虫も観察しました.外来種の蝶で放蝶した人が各地域で特定されている場合もあるそうです.ケヤキ(欅,ニレ科)の葉についていたクヌギカレハガ?(椚枯葉 蛾,カレハガ科)の黒い大きな毛虫が,縁台の上を盛んに動いていました.
名古屋市内の蝶を対象とした名古屋環境大学の共育ゼミナールの案内がありました.次に,ビニール袋に入ったタカノツメ(鷹爪,ウコギ科)の葉を観察しま し た.普通は,3枚の複葉ですが,2枚しかなく,左側の葉が2枚くっついたものでした.葉が3枚と4枚の複葉のものも回覧されました.「生物多葉性...」 という説明が参加者からありました.5枚の複葉も見たことがあるという参加者もいました.通常の3枚の葉の場合も,真ん中の葉の中央脈は中心にあり,葉脈 は左右対称ですが,両側の葉の中央脈は内側に寄って,葉脈は非対称になっていて,葉が重なって光を遮らないようにしているという説明もありました.

ルリタテハの幼虫 ダイコンの葉についたモンシロチョウのさなぎ タカノツメの葉

ここまでで,10:10になってしまい,急いで里山の家のすぐ南側の樹木を観察に行きました.まず,とげとげの緑の実がま ばらについたクワ(桑,クワ科)を観察しました.少し黒くなり始めた実もありましたが,日陰なので,実のなり方は,新池の日当たりのよい所にあるクワに比 べてよくありませんでした.
次に,若いケヤキ(欅,ニレ科)の葉の表面にたくさんついた5〜6mm大の袋状の虫こぶのケヤキハフクロフシ(欅葉袋付子)を観察しま した.袋状の虫こぶ を割って中を見ました.見にくかったですが,小さな幼虫がいました.アブラムシの一種であるケヤキヒトスジワタムシ(欅一筋綿虫,アブラムシ科)の刺激に よって4月に袋状の虫こぶができ,6月に有翅の成虫が出てきて,周辺の竹や笹に移って繁殖し,また秋に雪虫(綿虫)としてケヤキに戻って越冬するという説 明が資料を使ってありました.そのため,ケヤキの周辺に竹や笹は植えてはいけないそうです.虫こぶの出来た葉は枯れますが,ケヤキ全体への影響はそんなに ないようです.

ケヤキハフクロフシ

すぐ横のクワの葉にクワ トゲエダシャク(桑棘枝尺蛾,シャクガ科)の幼虫を2匹見つけました.よく見ないと葉と見分けが出 来ないように擬態していました.枝先には,これも上手に小枝に擬態した5cm長のハスオビエダシャク(斜帯枝尺蠖,シャクガ 科)も見つけた参加者もいまし た.黒い毛虫のマイマイガ(舞 舞蛾,ドクガ科)の幼虫もクズ(葛,マメ科)の葉の上で見つけました.白い紐状のヒモワタカイガラムシ(紐綿貝殻虫,カタカ イガラムシ科)も枝に1つ見つけました.

クワトゲエダシャクの幼虫 ハスオビエダシャクの幼虫 マイマイガの幼虫
ヒモワタカイガラムシ

次に,間引き整備されたシ ホウチク(四方竹,イネ科)の竹林に入りました.稈(かん)の断面が四角形で,一辺が2〜4cm の稈の上の方の表面はザラザラで,節には円周状に棘が付いてました.この棘が何かという質問が出ましたが,一番下の節の棘が長くなっており,根(気根)に なるものだということになりました.緑色の表面のざらつきは,こすると取れてしまいました.シホウチクの竹の子は食べられるそうです.マダケ(真竹,イネ 科)の
竹の子のように苦くて食べられない竹もあるという説明もありました.この竹林の中で,男の子にくっついていたコナラシギゾウムシ(小楢鴫象虫,ゾウムシ 科)を捕まえて容器に入れて観察しました.
近くのエノキ(榎,ニレ科)でヒオドシチョウ(緋 縅蝶,タテハチョウ科)の幼虫をたくさん見つけました.葉を食べてエノキを丸坊主にして,隣の木に移るた めに次から次に幼虫が幹を降りてきていました.

【外部リンク】ヒオドシチョウ(昆虫館)

テングチョウ(天 狗蝶,テングチョウ科)の緑色の3cm長くらいの幼虫もここで観察しました.

シホウチクの節の棘(気根) 幹を降りてくるヒオドシチョウの幼虫 テングチョウの幼虫

大坂池の土手で,小さな黄色い花を付けたコメツブツメクサ(米粒詰草,マメ科)を観察しました.今年は,この草が目立つと いう感想が出ました.センチコガネ(雪 隠黄金,コガネムシ科)とコスナゴミムシダマシ(小 砂塵虫騙,ゴミムシダマシ科)もここで見つけて観察しました.こ こまでで,11:15になってしまい,観察会の最短観察距離を樹立しそうだという感想がでました.この時点では,集合場所の里山の家から50mも離れてい ませんでした.
大坂池土手に植樹したズミ(酸 実または桷,バラ科)を見に行きました.種から育てて4年目のズミは白い花をわずかに付けていました.最初はピンク色だった そうです.土盛りした所に植えたズミは,丈が低く花はついていませんでした.ズミは普通の公園に植えるのは,棘があるのでだめと役所にいわれているそうで す.マメナシ(豆梨,バラ科)もだめだそうです.ズミの葉についていた1.5cm長の幼虫は,何か分からなかったので持ち帰った参加者がいました.

センチコガネ コスナゴミムシダマシ ズミについた幼虫

よくいるイセノナミマイマイ(伊勢之並蝸牛,オナジマイマイ科)ではなくウスカワマイマイ(薄皮蝸牛,オナジマイマイ 科) を見つけて,右巻きと左巻きの議論がありました.カタツムリの大半が右巻きだそうですが,上から見て生長する方向が時計回りに巻いているか,マイマイを横 から見て開口部が右にくれば右巻きとすればよいという説明でした.

【外部リンク】「右」と「左」から迫る生物進化の謎(WAOサイエンスパーク)

ここで,昔は見なかったツボミオオバコ(蕾大葉子,オオバコ科)を観察しました.せせらぎで,大きくなったみずみずしいセリ(芹,セリ科)の群生を見つけ ました.カサスゲ(笠菅,カヤツリグサ科)とイタドリ(虎杖,タデ科)もありました.大坂池の縄をはった土手の中のキツネノボタン(狐牡丹,キンポウゲ 科)とセリも観察しました.ここの黄緑色の大きなセリもおいしそうでした.

ウスカワマイマイ

最後に,オタマジャクシ池すぐ上の畑跡を観察しました.植えられて,紫色の花を満開にして群生しているアヤメ(菖蒲,アヤ メ科)をまず観察しました.次に,3つのカラー(Calla, サトイモ科)を見つけました.約10cm大のハート型の白い花に見える苞(ほう)の中心の花 の本体である黄色い肉穂(にくすい)の回りに,モモブト カミキリモドキ(腿太髪切擬,カミキリモドキ科)が数匹ずついました.人面のような模様を付けたハ ナグモ(花蜘蛛,カニグモ科)も苞の中で見つけました.寄ってくる虫を捕獲しているようです.顔に見える部分に赤いダニも付い ていました.

アヤメ カラーについたモモブトカミキリモドキ ハナグモ

オタマジャクシ池近くで,キアゲハ(黄揚羽,アゲハチョウ科)が飛んでいるのを見つけて,セリに産んだキアゲハの小さな卵 を観察しました.溝の水の中でヒメタイコウチ(姫 太鼓打虫,タイコウチ科)を見つけました.ヤナギハムシ(柳金花虫,ハムシ科)もここで観察しました.結 局,観察移動距離はこれまでの最短の100mくらいになってしまいました.

ヒメタイコウチ

網でとったツマグロヒョウモン(褄黒豹紋,タテハチョウ科)を,里山の家に持ち帰って図鑑を使って調べた男の子がいました.感想会を始めたときは,12: 00になっていました.感想会を始めると直ぐに,畑班が戻ってきたので,参加者の2人だけが代表で感想を述べました.幼虫の同定では,まず何の仲間かを判 定してから図鑑を見ると良いという助言が出ました.感想を言った女性が作った文旦ピールの入ったおいしい菓子が回って来てので賞味しました.たくさんの虫 を観察した楽しい初夏の観察会になりました.

観察項目:カラス,アカガネサルハムシ,ルリタテハの幼虫,ホソオチョウ,モンシロチョウの蛹,クヌギカレハガ?,タカノツメの葉,クワ,ケヤキハフクロ フシ,ケヤ キヒトスジワタムシの幼虫,ヒヨドシチョウの幼虫,クワトゲエダシャクの幼虫,ハスオビエダシャクの幼虫,テングチョウの幼虫,マイマイガの幼虫,ヒモワ タカイガラムシ,コメツブツメクサ,シホウチク,コナラシギゾウムシ,ヒオドシチョウの幼虫,ズミの花,センチコガネ,コスナゴミムシダマシ,セリ,カサ スゲ,イタドリ,キツネノボタン,アヤメ,カラー,モモブトカミキリモドキ,ハナグモ,キアゲハ,キアゲハの卵,コナラシギゾウムシ,ヒメタイコウチ,ヤ ナギハムシ,ウスカワマイマイ,ツマグロヒョウモン

文・写真:伊藤義人 監修:滝川正子

  この記事を PDF フォーマットで見る 記事を印刷する 記事をメールで送信

この記事の添付ファイル
ファイル名 掲載日 ヒット
ファイルをダウンロード 2014年5月度の印刷用観察記録
2014年5月度の印刷用観察記録です。
2014-6-15 292

ページ移動
良く読まれた記事 4月度の観察記録 6月度の観察記録 次の記事