快晴で陽差しがきつく,木々の緑も濃くなり初夏の様相でした.しかし,日陰は大変心地良い日でした.歩道端のシャリンバイ
(車輪梅,バラ科)が白い花をたくさん咲かせていました.新池土手のセンダン(栴檀,センダン科)は,丈の低い若木は紫色の小さな花を咲かせていました
が,大きな木の花はまだつぼみでした.ハリエンジュ(針槐,マメ科,別名:ニセアカシア)は白い花をいっぱい付けていました.新池の水際では,シラン(紫
蘭,ラン科)の紫色の花とキショウブ(黄菖蒲,アヤメ科)の黄色い花が目立ちました.スイレン(睡蓮,スイレン科)に覆われ始めた新池には,水鳥はいなく
て,周辺にムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)やコゲラ(小啄木鳥,キツツキ科)がいるだけでした. 2013年の報告をまとめた本の紹介が最初にありました.10年間の総索引が最後についていて,歳月の早さを感じさせまし
た.集合場所で,先月の報告を見始めたときに,大坂池のすぐ東の木に,若いカラス(烏,カラス科)が30〜40羽,大きな声で鳴きながら集まってきまし
た.思わず報告の説明が止まりました.若いカラスが遊び相手を探していたようでした.
サルトリイバラ(猿捕茨,ユリ科)についたル
リタテハ(瑠璃立羽蝶,タテハチョウ科)の幼虫とダイコン(大根,アブラナ
科)の葉についたモンシロチョウ
(紋白蝶,シロチョウ科)の緑色の蛹(さなぎ)も観察しました.プラスチック容器の中に入った黒いホソオチョウ(細尾揚羽蝶,アゲハチョウ科)の2匹の幼
虫も観察しました.外来種の蝶で放蝶した人が各地域で特定されている場合もあるそうです.ケヤキ(欅,ニレ科)の葉についていたクヌギカレハガ?(椚枯葉
蛾,カレハガ科)の黒い大きな毛虫が,縁台の上を盛んに動いていました.
ここまでで,10:10になってしまい,急いで里山の家のすぐ南側の樹木を観察に行きました.まず,とげとげの緑の実がま
ばらについたクワ(桑,クワ科)を観察しました.少し黒くなり始めた実もありましたが,日陰なので,実のなり方は,新池の日当たりのよい所にあるクワに比
べてよくありませんでした.
すぐ横のクワの葉にクワ トゲエダシャク(桑棘枝尺蛾,シャクガ科)の幼虫を2匹見つけました.よく見ないと葉と見分けが出 来ないように擬態していました.枝先には,これも上手に小枝に擬態した5cm長のハスオビエダシャク(斜帯枝尺蠖,シャクガ 科)も見つけた参加者もいまし た.黒い毛虫のマイマイガ(舞 舞蛾,ドクガ科)の幼虫もクズ(葛,マメ科)の葉の上で見つけました.白い紐状のヒモワタカイガラムシ(紐綿貝殻虫,カタカ イガラムシ科)も枝に1つ見つけました.
次に,間引き整備されたシ
ホウチク(四方竹,イネ科)の竹林に入りました.稈(かん)の断面が四角形で,一辺が2〜4cm
の稈の上の方の表面はザラザラで,節には円周状に棘が付いてました.この棘が何かという質問が出ましたが,一番下の節の棘が長くなっており,根(気根)に
なるものだということになりました.緑色の表面のざらつきは,こすると取れてしまいました.シホウチクの竹の子は食べられるそうです.マダケ(真竹,イネ
科)の
大坂池の土手で,小さな黄色い花を付けたコメツブツメクサ(米粒詰草,マメ科)を観察しました.今年は,この草が目立つと
いう感想が出ました.センチコガネ(雪
隠黄金,コガネムシ科)とコスナゴミムシダマシ(小
砂塵虫騙,ゴミムシダマシ科)もここで見つけて観察しました.こ
こまでで,11:15になってしまい,観察会の最短観察距離を樹立しそうだという感想がでました.この時点では,集合場所の里山の家から50mも離れてい
ませんでした.
よくいるイセノナミマイマイ(伊勢之並蝸牛,オナジマイマイ科)ではなくウスカワマイマイ(薄皮蝸牛,オナジマイマイ
科)
を見つけて,右巻きと左巻きの議論がありました.カタツムリの大半が右巻きだそうですが,上から見て生長する方向が時計回りに巻いているか,マイマイを横
から見て開口部が右にくれば右巻きとすればよいという説明でした.
最後に,オタマジャクシ池すぐ上の畑跡を観察しました.植えられて,紫色の花を満開にして群生しているアヤメ(菖蒲,アヤ メ科)をまず観察しました.次に,3つのカラー(Calla, サトイモ科)を見つけました.約10cm大のハート型の白い花に見える苞(ほう)の中心の花 の本体である黄色い肉穂(にくすい)の回りに,モモブト カミキリモドキ(腿太髪切擬,カミキリモドキ科)が数匹ずついました.人面のような模様を付けたハ ナグモ(花蜘蛛,カニグモ科)も苞の中で見つけました.寄ってくる虫を捕獲しているようです.顔に見える部分に赤いダニも付い ていました.
オタマジャクシ池近くで,キアゲハ(黄揚羽,アゲハチョウ科)が飛んでいるのを見つけて,セリに産んだキアゲハの小さな卵
を観察しました.溝の水の中でヒメタイコウチ(姫
太鼓打虫,タイコウチ科)を見つけました.ヤナギハムシ(柳金花虫,ハムシ科)もここで観察しました.結
局,観察移動距離はこれまでの最短の100mくらいになってしまいました.
網でとったツマグロヒョウモン(褄黒豹紋,タテハチョウ科)を,里山の家に持ち帰って図鑑を使って調べた男の子がいました.感想会を始めたときは,12:
00になっていました.感想会を始めると直ぐに,畑班が戻ってきたので,参加者の2人だけが代表で感想を述べました.幼虫の同定では,まず何の仲間かを判
定してから図鑑を見ると良いという助言が出ました.感想を言った女性が作った文旦ピールの入ったおいしい菓子が回って来てので賞味しました.たくさんの虫
を観察した楽しい初夏の観察会になりました. |
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2014年5月度の印刷用観察記録
2014年5月度の印刷用観察記録です。
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