朝から曇りで,天気予報では午後から雨ということでしたが,観察会の途中で小雨から大雨になってしまいました.新池の水面 は,白い花を咲かせたスイレン(睡蓮,スイレン科)に覆われ,水鳥はいませんでした.新池土手のクズ(葛,マメ科)は,樹木を覆うように繁茂 していました.また,センダン(栴 檀,センダン科)には,緑色の実がたくさん付いていました.ア カメガシワ(赤芽柏,トウダイグサ科)も花が終わって実がつき始めていました.ムクゲ(木槿,アオイ科)には,ピンク色の 10cm大の大きな花がたくさんついていました. 濃い緑に囲まれた大坂池には,まだ,燕が4〜5羽飛び交わっていました.カエル池の奥では,すでに虫の鳴き声が聞こえまし た.蝉は,他の場所では既に鳴き始めていましたが,平和公園では聞こえませんでした.集合場所の里山の家の屋根には,昨年度と同じようにハナヤスリ(花 鑢,ハナヤスリ科),クズ(葛,マメ科),セイタカアワダチソウ(背高泡立草,キク科)およびアレチノギク(荒地野菊,キク科)が生育を競っていました. 参加者は,子供5名と大人17名でした.
まず,先月の報告を皆で見ました.前の集合場所のガクアジサイ(萼紫陽花,アジサイ科)に関連して,シーボルトが帰国後,
アジサイをユーロッパ中に売り込んでいた話しが出ました.先月,猫ヶ洞池の土手で観察したクロノミニシゴリ(黒実錦織木,ハイノキ科)は再度検証して,確
かに東海丘陵要素植物の1つで,絶滅危惧種になっているものだと確認されたという報告がありました.
海洋堂のイモムシのフィギュア6体を以前に紹介した女性参加者が,新たに発売されたイモコレ2の5体を一緒に持ってこられまし た.シャチホコガ(鯱鉾蛾,シャチホコガ科),クロアゲハ(黒揚羽,アゲハチョウ科),キアゲハ(黄揚羽,アゲハチョウ科),セスジスズメ(背筋雀,スズ メガ科),ヒロオビトンボエダシャク(広帯蜻蛉枝尺蛾,シャクガ科)の幼虫で,ネットで購入し1,350円だったそうです.どうして,これらの5種の幼虫 が選ばれたのかという疑問が出ました.オオクワガタ(大鍬形,クワガタムシ科)の幼虫入りのものも売り出されていて,その値段は2,300円と高めに設定 されているという報告でした.本物の幼虫の方が絶対美しいという意見が出ました.
自宅の壁にぶらさがっていた毛虫の脱皮殻付きの蛹(さなぎ)が紹介されました.3cm長くらいで,最初は大きさからして蝶
の蛹ではということでしたが,よく観察して今年多かったマイマイガ(舞舞蛾,ドクガ科)の蛹だろうということになりました.
里山の家を出発したとき,直ぐ横の樹木に2羽の鳥がいました.最初,キビタキ(黄鶲,ヒタキ科)ではということでしたが,
飛び立つときにコロコロジーと鳴いて,羽の黄色の紋が見えたので,カワラヒワ(河原鶸,アトリ科)の幼鳥であることが分かりました.
囲われた大坂池土手には,植樹されたムラサキシキブ(紫式部,クマツヅラ科)やオオウラジロノキ(大裏白の木,バラ科)な どが背の高い野草に隠れ るようになっていました.ここで,草についたトックリバ チ(徳利蜂,スズメバチ科)の泥の 巣を見つけて,皆で観察しました.少し歩いた所で,コ ムラサキシ キブ(小紫式部,クマツヅラ科)を見つけて,ムラサキシキブの花の付き方との違いの説明がありました.また,笹の葉を曲げてで きたカバキコマチグモ(樺黄 小町蜘蛛,フクログモ科)の巣も 見つけました.
このとき,小雨が降り始め,ヌ
ルデ(白膠,ウルシ科)の複葉の葉がぬれ始めました.ニッコウキスゲ(日光黄萓,ユリ科)のような
黄色い花を2つ見つけて,皆で観察し,ノカンゾウ(野萱草,ユリ科)ではないかという事でしたが,後で調べて低地型のニッコウキスゲであるとの知らせが来
ました.
そうこうするうちに,大雨となり急いで歩いて,キリ(桐,キリ科)の木の下で雨宿りをしました.向かえの炭焼広場では,作 業班が草刈りと芋堀をしていましたが,大雨に驚いていました.いつもなら大雨の中でも観察会は続行するのですが,今回は小さい子供も数名いたので,急いで 里山の家に戻ることにしました.セセラギの周辺のミソハ ギ(禊萩,ミソハギ科)の紫の花がきれいだという参加者がいました.直ぐ横に,ヒメガマ(姫蒲,ガマ科)が数株ありました. 昨年まではなかったように思います.桜の園にあったヒメガマを子供達が持ってきて広げたのではということでした.
10:45に里山の家に帰り着き,まず,中に展示されていた50枚くらいの平和公園の昆虫の写真の説明を聞きました.次に,桂化木を観察しました.持ってみて重いという 感想がでました.枝に突き刺された蛙のはやにえを 見た後に,冷蔵庫に入れてあった日本で最小の野鳥であるミ ソサザイ(鷦鷯,ミソサザイ科)の はやにえも見ました.モズ(百舌鳥,モズ科)は,虫だけでなく餌になるものは何でもはやにえにするようです.
次に,20cm大の大きなウ
シガエル(牛蛙,アカガエル科)と30cm大程度のミ
シシッピアカミミガメ(密士失比赤耳亀,ヌマガメ科)を冷凍したものを観察しました.亀の甲板を数えると18の筋がありまし
た.亀は雑食性で,30数年亀を飼っている参加者によると,食べ物の好みもあるそうです.シャシャンボウ(小小坊,ツツジ科)の実は食べないですが,ブ
ルーベリー(blueberry,ツツジ科)は大好きだそうです.刺身や鰻を与えると,当分の間,亀の餌は食べないそうです.うまいものを食べると,味気
ない亀の餌は食べないということのようです.亀を食べたことがあるかどうかということも話題になりました.
感想会では,小さな子供に癒されたという感想が出ました.雨の中の観察会は珍しく,これはこれでよいという感想もでまし
た.感想会が終わる頃には,すっかり雨があがっていました.緑濃い夏の楽しい観察会になりました. |
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2014年7月度の印刷用観察記録
2014年7月度の印刷用観察記録です。
| 2014-10-13 | 269 | |
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