平和公園周辺の並木のサクラ(桜,バラ科)の花は散っていましたが,まだかなり残っていました.空は曇っており,日差しがなかったので,暑くはならず歩きやすい日になりました.スイレン(睡蓮,スイレン科)の葉で水面がほぼ埋まった新池では,アオサギ(青鷺,サギ科)とオオバン(大鷭,クイナ科)がそれぞれ2羽,カワウ(川鵜,ウ科)が3羽とカイツブリ(鳰,カイツブリ科)が1羽来ていました.土手では,カワラヒワ(河原鶸,アトリ科)が鳴きながら移動していました.ムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)やヒヨドリ(鵯,ヒヨドリ科)も周辺を飛んでいました.東星広場奥の遠景の桜は,なかなかのものでした.参加者は,子供7名と大人28名でした.最後の方は2つのグループに分かれました.
まず,里山の家の前で,先月の報告を見ました.昨年の観察記録をまとめた本の紹介もありました.1年や2年で,平和公園の動植物の変化は分からないという話題が出ました.報告の中にあったイリエワニ(入江鰐,クロコダイル科)の卵はタイのものだったそうです.カンアオイ(寒葵,ウマノスズクサ科)の花が食べられていた件で,ナメクジ(蛞蝓,ナメクジ科)が日本固有のものから大きなタイワンナメクジ(台湾蛞蝓,ナメクジ科)に入れ替わっているという報告がありました.また,種々の植物が盗採にあっていることに対して,注意はしても,何をされるか分からないので係争しないようにとのことでした.大高緑地の竹林ではルールを決めて,筍掘りを認めているという報告もありました.
季節によって葉の色が変わる園芸種のノムラカエデ(野村楓,カエデ科,別名:ノムラモミジ)を持ってきた人がいて,その小さな花を観察しました.モモチョッキリ(桃丁切,オトシブミ科)の標本を持ってきた人もいました.自宅のバケツの水に飛び込んできたそうです.小幡緑地の桃の木で採取された経験があるそうです.象の鼻のように見えるのは口吻で,先端に顎がついており,ものを切るときは少しずつ囓り回るそうです.
ここまでで10時を過ぎて,出発して大坂池南側の道を歩き始めました.まず,オオシマザクラ(大島桜,バラ科)を観察して,白い花びらを唇に押し当てて,桜笛で遊びました.花をピンと張るのがこつのようで,口笛を吹けない女性参加者でもよい音を出していました.逆に,口笛を吹ける子供達が悪戦苦闘していました.
ツチイナゴ(土稲子,イナゴ科)を捕獲して,瓶にいれて観察しました.昆虫少年が,「幼生のときは緑色と枯れ草色の2種があり,大きくなると皆,枯れ草色になる」という説明をしてくれました.ツバメシジミ(燕小灰蝶,シジミチョウ科)についても翅の赤い点で,ヤマトシジミ(大和小灰,シジミチョウ科)と区別できることを説明してくれました.何故,シジミ(小灰)という名前がついたかの問が出て,翅を広げるとシジミガイ(蜆貝,シジミガイ科)に似ているからという説明がありました.ただし,中国語からという説もあるようで,使う漢字は中国語源の小灰を使うという指摘もありました.また,ヤマトシジミはカタバミ(片喰または酢漿草,カタバミ科)が食草ですが,ツバメシジミはマメ科植物が食草です.飛ぶ時期は,どちらも3月から11月のようです.
大坂池を囲っている擬木の南側面にナナホシテントウ(七星天道虫,テントウムシ科)の蛹(さなぎ)を見つけました.一番危険な時期に,暖を取り早く羽化できるようにするためという説明がありました.周辺をよく観察すると,ナナホシテントウの蛹だけでなく,オレンジ色の卵,幼虫,脱皮したての蛹,および成虫もいました.餌は,アリマキ(蟻巻または?虫,アブラムシ科,別名:アブラムシ)を幼虫も成虫も食べているそうです.幼虫と成虫が同じものを食べるのは,完全変態の昆虫としては珍しいようです.網をカラスノエンドウ(烏豌豆,マメ科)の上で振って(スウィーピング),アリマキを捕獲しました.
ここで,ビロードツリアブ(天鵞絨吊虻,ツリアブ科)を見つけて観察しました.4月から5月にかけての短い期間しか見られませんが,何故か男の子の手から逃げないのでよい写真が撮れました.名前の由来を,図鑑を読み上げて説明がありました.蜜を吸っている姿が,釣りのよう見える,あるいは吊られているように見えるからということでした.
少し奥まった所で,ゴヨウアケビ(五葉通草,アケビ科)の花が咲いており,写真を撮りましたが,他の参加者はテントウムシに夢中でした.交尾中のヒメカメノコテントウ(姫亀甲天道,テントウムシ科)を見つけ,瓶に入れて観察しました.雄雌の大きさがかなり違いました.背中の模様は,雌が背筋型で雄が斑紋型でした.逆の例もあるそうです.周辺にオヤブジラミ(雄藪虱,セリ科)がたくさん群生していました.ムーアシロホシテントウ(ムーア白星天道,テントウムシ科)も見つけました.ヨツホシテントウ(四星天道,テントウムシ科)もそこで見つけました.当初は,ベダリアテントウ(vedalia ladybird,テントウムシ科)ということでしたが,後でヨツボシテントウということが分かりました.
ツマグロヒョウモンを捕獲して皆で観察しました.アカタテハ(赤立羽,タテハチョウ科)との違いが話題になりました.男の子達がカラスウリ(烏瓜,ウリ科)の4つの実をとってきたので,実の袋を割ると「ぽん」という音を出すものもありました.中は整然と種が並んでおり,女の子が蜂の子のようだと言いました.
アカマツ(赤松,マツ科)の松ぼっくりを拾い,松かさの間に種があることを確認しました.コバノガマズミ(小葉莢?,スイカズラ科)のしわのよった新葉の緑が大変綺麗でした.近くのコナラ(木楢,ブナ科)の幼木の雄花を観察しました.雌花はまだ見つかりませんでした.ミツバアケビ(三葉通草,アケビ科)の花を採ってきた参加者がいて,濃い紫色の雄花と雌花を観察しました.
水田の横のウスノキ(臼木,ツツジ科)の地味な下向きの花を観察しました.里山の整備で,この木を大事にする人がいるそうです.梅の木に,アカホシテントウ(赤星天道,テントウムシ科)の幼虫がたくさんいました.隠れ帯のついた小さなナガコガネグモ(長黄金蜘蛛,コガネグモ科)がこの木に網を張っていました.フランスから来ていたハーフの男の子がいたので,英語とフランス語でテントウムシはどう言うのかが話題になりました.英語は,Ladybird(マリア様の鳥,英),Ladybug(米),フランス語では,Coccinelle(コクシネル)というようです.Ladybirdは,7つの悲しみを持つマリア様が赤いマントを着ているように見えるところからきているそうです.ちなみに,テントウムシを天道虫と書くのは,テントウムシは飛び立つ時に,太陽に向かい木の枝先などに登る習性を『天への道』を教えてくれる虫とみなしたと言われています. |
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4月度の観察記録
2016年4月度の観察記録です
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