雲は少しありましたが,日差しの強い晴天でした.街路樹のサクラ(桜,バラ科),イチョウ(銀杏,イチョウ科)),ユキヤナギ(雪柳,バラ科),トウカエデ(唐楓,カエデ科)の緑が大変きれいでした.新池土手のセンダン(栴檀,センダン科)は薄紫色の小さな花をいっぱい咲かせていました.ハリエンジュ(針槐,マメ科,別名:ニセアカシア)の白い花は,まだ少し残っていましたが,大半の花びらは下に落ちて積もっていました.新池の岸辺にはシラン(紫蘭,ラン科)とシロバナシラン(白花紫蘭,ラン科)が混じって咲いていました.スイレン(睡蓮,スイレン科)の葉が新池の水面を覆っているため,水鳥はいませんでした.蛙池には,今年もカダヤシ(蚊絶,カダヤシ科)がいました.その水面上をギンヤンマ(銀蜻蜒,ヤンマ科)の雄がゆうゆうと飛んでいました.里山の家と大坂池の間にはキアゲハ(黄揚羽,アゲハチョウ科)が一頭いて,泥土から吸水をしていました.参加者は,子供7名と大人28名でした.
里山の家の中で,観察会を始めました.先月の報告と関連して,ホソオチョウ(細尾蝶,アゲハチョウ科)が既に平和公園で飛んでいるという報告がありました.外来種のホソオチョウの駆除は成功しなかったようです.NHKのアナウンサーは,ゴールデンウィークという用語は,大映の宣伝文句として1951年に作られた和製英語のため使わず,大型連休という用語を使うという話がでました.
10時過ぎに,出発しようとしたときに網を借りた男の子がクロスジギンヤンマ(黒条銀蜻蜒,ヤンマ科)の雄を捕獲してきました.通常のギンヤンマは,頭部が緑色ですが,このトンボは青色で,胸部に黒い条があり,腹部に青い斑点がありました.子供の頃,普通の雌雄のギンヤンマは名古屋でよく捕獲しましたが,このトンボは見たことがありませんでした.最近の北上種ではと言う人がいましたが,ウェブでは九州から北海道まで広く分布しているという記述があるので,その当時は名古屋に少なかっただけなのかもしれません.
里山の家の屋根の上には,ぎっしりと野草が繁っていました.これだけで,観察会ができると言う人もいました.セイタカアワダチソウ(背高泡立草,キク科)が多かったですが,チガヤ(茅萱,イネ科),クズ(葛,マメ科),オニタビラコ(鬼田平子,キク科),タカサゴユリ(高砂百合,ユリ科),オランダミミナグサ(和蘭耳菜草,ナデシコ科),マツバウンラン(松葉海蘭,ゴマノハグサ科),ススキ(芒、イネ科)などがありました.いつもはあるカラスノエンドウ(烏豌豆,マメ科)は見つけられませんでした.
大坂池横のシロツメクサ(白詰草,マメ科)の白い花に蜜蜂が来ていました.全てセイヨウミツバチ(西洋蜜蜂,ミツバチ科)の雌でした.雄は2倍くらい大きいそうです.黄色で横滑り的な飛び方をしており,多分東山ハニーと呼ばれている蜜蜂で,半径2kmくらいを飛び回りますが,野生のままでは冬は越せないという説明がありました.嬢王蜂は異様に大きく形も違うそうです.ニホンミツバチ(日本蜜蜂,ミツバチ科)はセイヨウミツバチに比べて小さくて黒っぽく,のんびり飛ぶそうです.ニホンミツバチを飼っている人が参加しており,この前の冬に7群の内6群が全滅したという報告がありました.ミツバチは,死ぬときに歩いて巣箱を出てくるので,全滅した巣箱から嬢王蜂も出てきて凍えて死んでおり,巣箱の中は空になったそうです.「我々も死ぬときは,跡を濁さずとしたい」という声もでました.空腹で死んだのではという参加者もいましたが,季節を考えると寒さだろうという回答でした.全滅した理由は,ミツバチの気管に寄生して体液を吸汁するアカリンダニ(Acarapis woodi,ホコリダニ科),あるいはネオニコチノイド系農薬の可能性がとりざたされていますが,まだ不明な点が多いようです.
ウメ(梅,バラ科)に緑色の2cm大の実がついていました.葉がほとんど食べられたサワフタギ(澤蓋木,ハイノキ科)がありました.よく探すと1匹だけサワフタギを食餌植物とするシロシタホタルガ(白下蛍蛾,マダラガ科)の幼虫が見つかりました.姿がトトロのネコバスに似ているという参加者がいました.
すぐ横で,スイカズラ(鶯神楽,スイカズラ科)が白色と黄色の花を咲かせていました.エノキ(榎,ニレ科)の幼木の葉も食べられていましたが,これを食樹としているテングチョウ(天狗蝶,タテハチョウ科)の幼虫は見つかりませんでした.セアカヒラタゴミムシ(背赤扁芥虫,オサムシ科)を子供が見つけて観察しました.ハルジオン(春紫?,キク科)の花にモモブトカミキリモドキ(腿太髪切擬,カミキリモドキ科)の雌が多くいました.腿が太い雄は見つかりませんでした.ウメ(梅,バラ科)にアカボシテントウ(赤星瓢虫,テントウムシ科)とタマカイガラムシ(球介殻虫,タマカイガラムシ科)がたくさんついているのを見つけました.アカボシテントウは,幼虫,前蛹および蛹がいました.幼虫は,カイガラムシを食べていました.前蛹と背中が割れた蛹が特定の枝にぎっしりとついているのは異様でした.
ヒメアカタテハを網で捕獲して,瓶に入れて観察しました.丈の高いキリ(桐,ゴマノハグサ科)には紫色の花と昨年の実が混在していました.下に落ちていた花を集めた女性参加者もいました.近くのエノキの幼木でテングチョウの緑色の蛹を1匹見つけて写真を撮りました.
周辺のソヨゴ(冬青,モチノキ科)の成長具合を観察して,周辺の樹木が崖からしみ出していた水を吸い上げ,湿地帯であった場所が乾燥しているという説明がありました.露頭から少しだけ水がしみ出しており,その下にはモウセンゴケ(毛氈苔,モウセンゴケ科)がわずかですがまだありました.コモウセンゴケ(小毛氈苔,モウセンゴケ科)は見つかりませんでした.歩きながら途中で,一株のオオバノトンボソウ(大葉の蜻蛉草,ラン科)のありかを教えてもらい,写真を撮りました.
ここのシロツメクサの花にもミツバチが来ていて,ニホンミツバチを期待しましたが,最終的にはすべてセイヨウミツバチの雌であることを確認しました.ハンノキの葉にハバチ(葉蜂,ハバチ科)の幼虫を1匹見つけました.オオミズアオ(大水青,ヤママユガ科)が大繁殖したことがあるという説明もありました.
感想会は,里山の家の中で,2つの机を並べて,椅子を追加して行いました.瓶に入れたコムラサキ(小紫色,タテハチョウ科)が回ってきたので翅に紫色がでるように角度を変えて写真を撮りました.いつもの女性から先月の約束通り,アゲハのイモムシと朽葉の形と色をしたクッキーが振る舞われました.抹茶で色付けしたアゲハのイモムシの方は人気がなく,最後まで残っていました.今回の観察会では,イモムシが少なかったという感想がでました.クロスジギンヤンマも,子供の頃には名古屋で見たことがないことがまた話題になりました.さわやかな楽しい観察会になりました. |
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5月度の観察記録
2016年5月度の観察記録です
| 2016-7-9 | 223 | |
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