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6月度の観察記録
2016年6月度の観察記録です

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雲り空で蒸し暑く,上着の長袖は汗でビッショリになりました.新池のスイレン(睡蓮,スイレン科)の白い花は,池の北端と東端の一部だけで咲いていました.新池のコイ(鯉,コイ科)がはねていました.水鳥は1羽も来ていなくて,周辺の樹木にはムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)とカラス(烏,カラス科)しかいませんでした.

スイレン 子供のハシボソカラス

土手のセンダン(栴檀,センダン科)は花が終わり,緑の実を付け始めていました.アカメガシワ(赤芽柏,トウダイグサ科)は黄色い雄花を沢山つけていました.セイヨウミツバチ(西洋蜜蜂,ミツバチ科)がその花に来ていました.ムクゲ(木槿,アオイ科)には,まだ花はついていませんでした.元集合場所のアジサイ花壇では,各種のアジサイ(紫陽花,アジサイ科)の花が満開でした.
参加者は,大人18名と子供1名でした.大人の中には,中学生2人とそのピアノ教室仲間の女子高校生1名が含まれていました.途中から参加した人も数名いました.

センダンの実 アカメガシワの雄花とセイヨウミツバチ アジサイ花壇

里山の家の前で集合して,先月の記録をまず見ました.最初に,夜の平和公園では,前はいなかったヌマガエル(沼蛙,ヌマガエル科)の鳴き声が盛んにするという報告がありました.記録の中のオオシマザクラ(大島桜,バラ科)のさくらんぼの写真を見てうまそうでないという感想がでました.里山の家の屋根の野草が話題となり,種が風で飛んできたか,芝を葺いたときに始めから種が付いていたのかが話題になりました.春からこれまで野草の種類が変わってきていました.今月は,白い穂を付けているチガヤ(茅,イネ科),ヒメジョオン(姫女?,キク科),タカサゴユリ(高砂百合,ユリ科),ヨモギ(蓬,ヨモギ科),メリケンカルカヤ(米利堅刈萱,イネ科),クズ(葛,マメ科),花の枯れたチチコグサ(父子草,キク科)が目立ちました. 
外来種のタイワンタケクマバチ(台湾竹熊蜂,ミツバチ科)が畑の野菜などの受粉に役立っており,外来種だからといって非難してはいけないのではという感想が出ました.
ホオノキ(朴の木,モクレン科)とトチノキ(栃の木,トチノキ科)の大きな葉を持ってきた参加者がいました.遠くからこれらの樹木を見ても区別がつきませんが,ホオノキの葉の裏側は白っぽく,トチノキの葉は鋸歯があることで区別できることが説明されました.3つがつながって2枚ずつの葉でまいたホウ葉巻モチも持ってこられました.ホオ葉は,昔から食べ物を包むのに使いますが,殺菌作用があるから使っているのか,簡便で農作業時にも使えるからなのかの疑問がでました.今年の山間部は雪が少なく,雪解け水も少なく渇水になるのではないかという予想が報告されました.

ホオノキとトチノキの葉(裏側)

成虫になった沢山のサムライコマユバチ(侍小繭蜂,コマユバチ科)とその繭の残骸を観察しました.コマユバチが幼虫に寄生するモンシロチョウは,最近はまゆでも越冬するという話しが出ました.
先月観察したコナラメリンゴフシ(木楢芽林檎附子)と同じですが,しぼんだものを持ってこられた参加者がいました.5月に羽をもったタマバチ(玉蜂,タマバチ科)の成虫が飛び出して,雌は土中に入りナラ科の木の根に卵を産んで,ナラネの虫こぶになり,これは単性で雌になり,翅がないので幹を登って葉の先端に虫こぶが出来るという説明がありました.虫こぶが出来てから卵を産むか,卵を産んで幼虫になってから虫こぶができるかは分からないそうです.

里山の家を出発して,最初は大坂池南に植えられたイボタノキ(水蝋の木,モクセイ科)とヒマワリ(向日葵,キク科)を観察しました.ヒマワリはイボタノキに挟まれて日陰になっていました.イボタノキの多くの枝の先端の葉が喰われ,数枚の葉が巻かれて幼虫の棲家になっていました.
キリギリス(螽斯,キリギリス科)の幼虫とツバメシジミ(燕小灰蝶,シジミチョウ科)の雌が周辺にいて観察しました.ピンクの花を咲かせたコヒルガオ(小昼顔,ヒルガオ科)を見つけて,平和公園では最近ヒルガオ(昼顔,ヒルガオ科)はなくなっているという説明がありました.コヒルガオの花はヒルガオに比べて小さく,色が白っぽいということでした.正確に見分けるためには,花柄の先端を見て,尖っているのがコヒルガオで,丸いのがヒルガオという説明でした.何故,平和公園のヒルガオがコヒルガオに置き換わったかは分からないそうです.

【外部リンク】ヒルガオとコヒルガオ(みかんの花日記)

ヒマワリ ツバメシジミの雌 コヒルガオ

カノコガ(鹿子蛾,ヒトリガ科)を見つけて写真を撮りました.近くで,光沢のあるきれいな5mm大のイモサルハムシ(甘薯猿金花虫,ハムシ科)を見つけました.図鑑に食草はヒルガオとありました.ビーティングネットで,5mmくらいの小さなコバネイナゴ(小翅稲子,イナゴ科)の幼虫を数匹捕りました.3匹のナナフシモドキ(七節擬,ナナフシ科)とザトウムシ(座頭虫,ザトウムシ目)も白いビーティングネットの上に置いて観察しました.近くで,ウメモドキ(梅擬,モチノキ科)に1つだけ残っていた3mm大の花の写真も撮りました.

カノコガ ナナフシモドキ

大坂池の土手で,アレチヌスビトハギ(荒地盗人萩,マメ科)とそれより毛深い異種を観察しました.この異種には,まだ名前は付いていないそうです.サトヒマダラヒカゲ(里黄斑日陰,タテハチョウ科),ウンモンクチバ(雲紋朽葉,ヤガ科)とクビキリギス(首切蟋蟀,キリギリス科)を見つけて観察しました.ススキ(芒,イネ科)の株の根元でテントウムシ(天道虫,テントウムシ科)を観察しました.ススキの株の中は昆虫や蛇の住み処になるという説明でした.2週間前には満開だったサラサウツギ(更紗空木,ユキノシタ科)には,わずかな花しか残っていませんでした.その木の根元には,イモカタバミ(芋片喰,カタバミ科)が群生していました.ここで,エゾギクトリバ(蝦夷菊鳥羽蛾,トリバガ科)を捕獲して,観察容器に入れて観察しました.

サトヒマダラヒカゲ ウンモンクチバ クビキリギス エゾギクトリバ

近くの,昨年枯れそうだったマメガキ(豆柿,カキノキ科)は葉を茂らせ,小さな緑色の実も付け始めていました.交尾中のホシハラビロヘリカメムシ(星腹広縁亀虫,ヘリカメムシ科)とギンツバメ(銀燕,ツバメガ科)も捕獲しました.周辺でノカンゾウ(野萱草,ユリ科)の黄色い花が増えていました.

マメガキの実 交尾中のホシハバヒロヘリカメムシ ギンツバメ ノカンゾウの花

竹林の根本のムクゲ(木槿,アオイ科)の葉が虫に喰われていました.アマチャヅル(甘茶蔓,ウリ科)の葉を食べて,甘いという感想がでました.アマチャズルのお茶も売っているという説明がありました.周辺ではドクダミ(毒溜,ドクダミ科)が群生して白い花を咲かせ,ヘビイチゴ(蛇苺,バラ科)が真っ赤な実をつけていました.
子供のカマキリ(蟷螂,カマキリ科)や交尾中のハナムグリ(花潜,コガネムシ科)をヒメジョオン(姫女?,キク科)の花の上で見つけました.湿地横のウスノキ(臼木,ツツジ科)の中にあるモチツツジ(餅躑躅,ツツジ科)に白い花のようなものがついていました.虫こぶではなく,ツツジもち病ということでした.遭難して,これを食べて一命を取り留めた例があるという報告がありました.

ドクダミ ヘビイチゴ

斜面の樹液が出ている樹木の幹で,コクワガタ(小鍬形,クワガタムシ科)の雌を昆虫少年が見つけて友達の女子高生に見せていました.芋煮会の場所の奥のタブノキ(椨,クスノキ科)は緑色の実を付けていました.近くのトウチク(唐竹,イネ科)林の間伐を皆で行いました.その前に,竹の桿の節はどうしてあるのかという質問が出ました.これは,私の専門(構造工学)であり,竹の桿は中空で,節は円形断面(円形でない種類もある)を保持するためにあります.節がないと大きく変形したときに,断面がひしゃげて大きな力に抵抗できなくなります.専門用語では「断面保持」のためです.箱形断面の橋の桁にも中間に節に相当するダイヤフラムが入っています.

【外部リンク】竹稈は丸くて、中空があり、節がある(竹 Bamboo Home Page)

トウチクの筍(たけのこ)の皮をむいて食べた参加者がいましたが,苦くて食べられたものではないという感想でした.トウチクの筍のアクは抜けないので食用には適さないようです.自分の歳の数だけ,足で筍を折って間伐しましたが,申告しなかった人の分も含めれば約700本になりました.ストレス解消になったという参加者もいました.

コクワガタ トウチクの筍

芋煮会の会場の入口付近で,ワルナスビ(悪茄子,ナス科)を見つけて観察しました.ナス(茄子,ナス科)の台木に使う場合があるそうです.オオブタクサ(大豚草,キク科)に食痕があり,ブタクサハムシ(豚草葉虫,ハムシ科)を見つけました.

ブタクサハムシ

里山の家への帰り道で,ボケ(木瓜,バラ科)に巻き付いたオオウマノスズクサ(大馬の鈴草,ウマノスズクサ科)のを観察しました.ジャコウアゲハ(麝香揚羽,アゲハチョウ科)などの幼虫はいませんでした.カタタチ(枳,ミカン科)に緑色の4cm大の丸い実がついていましたが,蔓がカラタチ全体を覆っており,少し手入れが必要のようでした.水田近くでウリハムシ(瓜葉虫,ハムシ科)を見つけました.キビタキ(黄鶲,ヒタキ科)の声も聞こえました.田植をされた水田ではコナギ(小水葱,ミズアオイ科)とヒエ(稗,イネ科)もすでに混じっていました.せせらぎに隠れていた2羽のカルガモ(軽鴨,カモ科)が我々が近づいたときに急に飛び立ちました.

里山の家の中は,他の人達で一杯だったので,ブルーシートを敷いて,倉庫のたたきで感想会を行いました.愛媛県の苺を使ったおいしいジャムとアメリカンワッフルが供されました.アメリカンワッフルは,ベルギーワッフルと違い,発酵させないで焼くのでふわふわでした.「虫のしわざ観察ガイド(新開孝著,文一総合出版,2016年1月)」という本とナガサキアゲハ(長崎揚羽,アエハチョウ科)の終齢幼虫が回覧されました.多くの昆虫を見つけた楽しい快適な観察会になりました.

観察項目:ホオノキの葉,トチノキの葉,サムライコマユバチ,ナナフシモドキ,タマバチ,イボタノキ,ヒマワリ,コヒルガオ,アレチヌスビトハギとその毛深い異種,ナナフシモドキ,ザトウムシ,ウメモドキ,イモサルハムシ,イナゴの幼虫,クビキリギス,サラサウツギ,イモカタバミ,マメガキ,エゾギクトリバ,キリギリス,ツバメシジミ,ベニシジミ,ホシハラビロヘリカメムシ,ギンツバメ,ノカンゾウ,アマチャヅル,ドクダミ,ヘビイチゴ,カマキリ,ミント,ハナムグリ,コクワガタ,タブノキ,トウチク,ホテイチク,ワルナスビ,オオブタクサ,ブタクサハムシ,ウマノスズクサ,カラタチ,ウリハムシ,キビタキ,エナガ,シジュウカラ,ヒヨドリ,カルガモ,コゲラ,ツツジもち病のモチツツジ,ナガサキアゲハの終齢幼虫

文・写真:伊藤義人 監修:瀧川正子

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2016-7-9 130

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