晴天で日差しの強い猛暑日になりました.半袖シャツで参加したため,前腕がやけどのように赤くなってしまいました.新池の土手の水際の樹木は,大きな葉のクズ(葛,マメ科)に覆われて樹形が分からない程でした.水面を覆っているスイレン(睡蓮,スイレン科)は枯れた茶色の葉もかなり混じっていました.わずかに残された水面上にはチョウトンボ(蝶蜻蛉,トンボ科)やコシアキトンボ(腰空蜻蛉,トンボ科)が数匹ゆったりと飛んでいました.新池周辺ではアブラゼミ(油蝉,セミ科)とクマゼミ(熊蝉,セミ科)が大きな声で鳴いていました.ムクゲ(木槿,アオイ科)は大きなピンクの花をたくさん咲かせていました.周辺の土手が除草された大坂池では,まだ数羽のツバメ(燕,ツバメ科)が飛んで虫を捕っていました.参加者は,子供4名と大人18名でした.
日差しが強かったので,先月の報告を載せた縁台を倉庫の日陰のコンクリートの三和土(たたき)まで持っていき,そこで観察会を始めました.先月の報告の中のカラス(烏,カラス科)の子供の写真を見て,どうして子供と分かるのかという質問が出ました.まだ,小さくて近づいても十分に飛べず,くちばしの根本が肌色というのが理由でした.コヒルガオ(小昼顔,ヒルガオ科)の写真を見て,ヒルガオ(昼顔,ヒルガオ科)と一緒に両方見られた時期もありましたが,ある時からコヒルガオだけしか見られないようになったという感想が出ました.ナナフシモドキ(七節擬,ナナフシ科)に関して,正式名称としてはナナフシ(七節または竹節虫,ナナフシ科)とナナフシモドキの両方とも正解ということを昆虫少年が説明しました.触覚の長いのがナナフシと従来思っていましたが,これはエダナナフシ(枝七節,ナナフシ科)ということでした.すなわちナナフシ(枝)に似ているのでモドキ(擬き)がついているので,ナナフシという虫に似ているからからではないということです.
先月,女性参加者が採取した2mmくらいの小さなテントウムシ(天道虫,テントウムシ科)を,テントウムシの研究者である男性参加者が標本にして持ってこられました.背中の模様は拡大しないと見えない程でした.同定の結果,モンクチビルテントウ(紋唇天道虫,テントウムシ科)ということでした.台湾やベトナムからの外来種で,1998年に沖縄から入り現在は東京でも見られるそうですが,愛知県では初めてかもということでした.日本にいる約180種のテントウムシの内,このような小さなものが120種程度で,ナミテントウ(並天道虫,テントウムシ科)のように5〜6mmの大きなテントウムシの種類は少ないという説明がありました.モンクチビルテントウはキク科の植物につくアブラムシ(油虫,アブラムシ科)を食べているそうです.
キアゲハ(黄揚羽,アゲハチョウ科)とその蛹(さなぎ)を持って来られた参加者がいました.蛹はもう少しで羽化しそうでしたが,観察会終了後もまだ羽化していませんでした.飼育していても,羽化は素早く行われるので,その瞬間を見逃すことが多いそうです.
ソバ畑にはミツバ(三つ葉,セリ科)がたくさんありました.採って葉を食べた参加者もいました.苦みが確かにミツバだという感想でした.犬のおしっこがついているのではという危惧に,昨日雨が降ったので大丈夫という回答でした.
交尾中のマメコガネ(豆黄金,コガネムシ科)を見つけて写真を撮りました.クズの葉についたコフキゾウムシ(粉吹象虫,ゾウムシ科)は,しきりに端から葉を食べていました.直ぐ横のノイバラ(野茨,バラ科)にはハバチ(葉蜂,ハバチ科)の幼虫が1枚の葉に数匹ずつ付いて葉をしきりに食べていました.丸坊主になった2本のノイバラの枝もありました.
桜の園の交差点から西尾根に向かいました.途中でムラサキシジミ(紫小灰蝶,シジミチョウ科)とドクツルタケ(毒鶴茸,テングタケ科)のような茸を見つけました.ヒルガオトリバ(旋花鳥羽蛾,トリバガ科)の幼体も見つけました.
ソヨゴ(冬青,モチノキ科)の実とイソノキ(磯の木,クロウメモドキ科)を観察しました.イソノキの葉は2葉ずつの互生ですが,「ニコニコサザエさん」というように覚えているという参加者がいました.小径端でウンヌケ(牛毛,イネ科)を2株観察しました.尾根の頂上で陸軍の標石柱の説明がありました.戦前は,標石柱周辺は木々がなく,軍事教練で,この標石柱を目標にしたようです.周辺は,ネジキ(捩木,ツツジ科)やアカマツが自生していて,近づかないと標石柱は見えませんでした.
ここで先発隊とはぐれてしまい,もう1人の男性参加者と里山の家に向かいました.ミツバアケビ(三葉木通,アケビ科)の青い実,茶色の鞘状の実のついたエニシダ(金雀児,マメ科),多くの実のついたサルトリイバラ(猿捕茨,サルトリイバラ科),小さな実のついたガマズミ(莢迷,スイカズラ科),赤い花をつけたママコノシリヌグイ(猿捕茨,タデ科),ノブドウ(野葡萄,ブドウ科),白い花をつけたアップルミント(Apple Mint,シソ科,和名:丸葉薄荷),橙色のヤブガラシ(藪枯らし,ブドウ科)などの写真を撮りました.大坂池近くで先発隊と合流し,ヒメウラナミジャノメ,イボタノキ(水蝋の木,モクセイ科),オオウラジロノキ(大裏白の木,バラ科),ズミ(酢実,バラ科)の実などを観察しました.男の子がオオシオカラ(大塩辛,トンボ科)を持っていたので,シオカラ(塩辛,トンボ科)はもっと白っぽいという説明をしました.オタマジャクシ池横の柳の木で,モクメシャチホコ(木目鯱鉾,シャチホコガ科)の幼虫を皆で観察しました.威嚇した姿勢がまさに鯱鉾でした.
感想会は里山の家の中で始まりました.私がはぐれたときに昆虫少年が捕まえたアカハナカミキリ(赤花天牛,カミキリムシ科),ネブトクワガタ(根太鍬形,クワガタムシ科),コムラサキ(小紫,タテハチョウ科),ホシミスジ(星三筋,タテハチョウ科)およびコクワガタ(小鍬形,クワガタムシ科)の写真をまず撮りました.その後,私は岐阜で仕事があったので,いつもの女性から差し入れられたしっとりとしたベルギーワッフルにジャムを付けて食べて,急いで出かけました.
観察項目:
モンクチビルテントウ,キアゲハ,キアゲハの蛹,ツリガネニンジン,ミツバ,ナガサキアゲハの幼虫と卵,ナミテントウ,オニヤンマ,トウネズミモチ,マメコガネ,クズ,コフキゾウムシ,ヒメウラナミジャノメ,オオカマキリ,ハバチの幼虫,ノイバラ,ベッコウハゴロモ,アオバハゴロモ,ムラサキシジミ,ドクツルタケ?,ヒルガオトリバ,ヌルデ,クチナシ,ジガバチソウ,キマワリ,アカマツ,ルリハムシ,ソヨゴ,イソノキ,ウンヌケ,陸軍標石柱,ネジバナ,コシアブラ,ジンガサハムシ,ムラサキシキブ,ネブトクワガタ,コクワガタ,ミツバアケビの青い実,サルトリイバラ,ガマズミ,ママコノシリヌグイ,ノブドウ,アップルミントの花,ヤブガラシ,イボタノキ,オオウラジロ,ズミの青い実,オオシオカラ,チョウトンボ,モクメシャチホコの幼虫,アカハナカミキリ,コムラサキ,ホシミスジ |
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2016年7月度の観察記録です
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