観察会の始めは曇っていましたが,すぐに日が差してきて真夏の観察会になりました.それでも,例年に比べれば暑さはそれ程ではありませんでした.東山公園駅を出ると,キバナコスモス(黄花秋桜,バラ科)とデュランタ(Duranta,バーベナ科)の花が満開でした.一方,アガパンサス(Agapanthus,ユリ科)やキンシバイ(金糸花,オトギリソウ科)の花は全くなくなっていました.スイレン(睡蓮,スイレン科)で水面が覆われた新池の北側の通路は,スズメバチ(雀蜂,スズメバチ科)が出たので,駆除の殺虫剤をまいて通行止めになっていました.クマゼミ(熊蝉,セミ科)の鳴き声が新池周辺から一斉にしました.新池の土手のアカメガシワ(赤芽柏,トウダイグサ科)は黒い実をたくさんつけていました.センダン(栴檀,センダン科)の実は大きくなっていましたが,まだ緑色でした.参加者は,大人17名と子供3名でした.
定刻から少し遅れて里山の家の中で観察会を開始しました.里山の家の屋根では,タカサゴユリ(高砂百合,ユリ科)が10本くらい花を咲かせていました.まず,先月の報告を皆で見ました.報告のオオムラサキ(大紫,タテハチョウ科)に関係して,巴川などの矢作川水系では,オオムラサキは生息しているという参加者がいました.ウスタビガ(薄手火蛾,ヤママユガ科)は,夏は休眠していて,11月くらいに出てくるので,これまでの灯火採集では採集できていないということでした.ツクツクボウシ(つくつく法師,セミ科)の鳴き声が平和公園でも聞こえるという報告があり,セミの抜け殻の標本ケースを持ち出して皆で観察しました.チッチゼミ(ちっち蝉,セミ科)はありましたが,ミンミンゼミ(みんみん蝉,セミ科)の抜け殻はありませんでした.外来種の大きな声で鳴くスジアカクマゼミ(筋赤熊蝉,セミ科)が金沢から来るのではという人がいました.セミはオスが鳴きますが,人間は男女のどちらが鳴く(泣く)という質問を女の子にしたところ,少し困った風でしたが,赤ちゃんは両方共泣くという賢い回答が出ました.
卵塊があったところに戻す予定の上陸したカスミサンショウウオ(霞山椒魚,サンショウウオ科)とまだ水の中のカスミサンショウウオを観察しました.また,天白川の水路から持ってきた数匹のアカハライモリ(赤腹井守,イモリ科)を観察しました.最近では滅多に見られず,工事を停めて保護することになったそうです.
里山の家を出発して,オタマジャクシ池奥のクワ(桑,クワ科)でクワカミキリ(桑髪切,カミキリムシ科)を見つけて観察しました.絶滅危惧種に入れるか名古屋市が検討中だそうです.近くのサクラ(桜,バラ科)の葉が無残に食べられていました.多分,モンキシャチホコ(紋黄鯱鉾,シャチホコガ科)の幼虫の仕業だろうということになりました.すぐ横のコナラ(小楢,ブナ科)の小さなどんぐりを観察して写真を撮ったとき,ホソヘリカメムシ(細縁亀虫,ホソヘリカメムシ科)がどんぐりと一緒に映り込みました.
アブ(虻,アブ科)の仲間を捕獲してプラスチック容器に入れて観察しました.コナラの葉に点々と1mm 大の球状の虫こぶがついていました.穴のような凹みが上にありました.1枚の葉に最大70個くらいついていました.クヌギハケタマフシ(櫟葉毛壺玉節)でクヌギハケタマバチ(櫟葉毛壺玉蜂,タマバチ科)によって卵を産み付けられたためで,9 月にこの虫こぶは落下して,11 月に生まれるようです.昆虫大好き少年が枯れ草色のオオカマキリ(大蟷螂,カマキリ科)の幼体を捕獲しました.アベマキの葉についたカナブン(金蚉,コガネムシ科)も見つけました.
湿地に行き,いつもよりずっと少ない数のサギソウ(鷺草,ラン科)の花とごく小さな白い玉を尖端につけたシラタマホシクサ(白玉星草,ホシクサ科)を観察しました.周辺でミズギボウシ(水擬宝珠,ユリ科),シロバナサクラタデ(白花桜蓼,タデ科),アキノウナギツカミ(秋鰻掴,タデ科)の花とワレモコウ(吾亦紅,バラ科)の葉も観察しました.畦(あぜ)に,オトギリソウ(弟切草,オトギリソウ科)が黄色い小さな花を1つ付けていました.男性参加者が雄しべの数を数えて9本であり,ヒメオトギリソウ(姫弟切草,オトギリソウ科)ではなくコケオトギリソウ(苔弟切草,オトギリソウ科)と同定しました.
アブラゼミ(油蝉,セミ科)を昆虫大好き少年が捕まえると,体液を吸う8mm 長程度の薄茶色のセミヤドリガ(蝉寄生蛾,セミヤドリガ科)の幼虫が一匹ついていました.アブラゼミは寄生されても死にはしないですが,寿命は2週間くらいですので,セミヤドリガも急速に大きくなるそうです.
ヒヨドリバナ(鵯花,キク科)の花が咲いている近くで,クダマキモドキ(管巻擬,キリギリス科)を見つけ写真を撮りました.ヤマノイモ(山の芋,ヤマノイモ科)の雄花も近くで撮りました.密集して産み付けられた1mm
大のカメムシ(亀虫,カメムシ科)の卵に,卵とほぼ同じ大きさの寄生蜂が来ていました.写真を拡大しても寄生蜂の外形がほぼわかる程度で,種類はわかりませんでした.クズ(葛,マメ科)の葉についたチビタマムシ(禿玉虫,タマムシ科)とマメコガネ(豆黄金,コガネムシ科)を見つけました.マメコガネは,最近スイスに上陸して広がっているという新聞記事がありました.アメリカでは,とっくに広がっており,JapaneseBeetle
として嫌われています.マメコガネはいつも後ろ足を上げているという観察結果を報告する女性がいました.外敵がきたらすぐに飛び立てるように準備しているという解釈があるようです.
泥のついたニイニイゼミ(蟪蛄,セミ科)の抜け殻を見つけました.ここで,緑色のオオカマキリを昆虫少年が見つけました.アオツヅラフジ(青葛藤,ツヅラフジ科)の花を見つけた参加者から写真をとるように要請されました.すぐに今度は,ニイニイゼミが木の幹にとまっているのを見つけて,近づいて写真を撮りました.イチモンジセセリチョウ(一文字挵,セセリチョウ科)が,葉の上の乾いた鳥の糞を吸っているのを観察しました.ミネラル補給なのかもしれません.
里山の家への帰り道で,カラスウリ(烏瓜,ウリ科)を観察しました.緑色のうり坊の実や,萎れた雌花をつけた大きくなりかけた子房もありました.萎れた雄花は触るとぽとりと下に落ちました.真っ白いシャクガ(尺蛾,シャクガ科)が葉に止まっていましたが種類は同定できませんでした.木の幹についているチッチゼミの抜け殻を見つけました.隈のないクマザサ(熊笹,イネ科)がすぐ近くで群生していました.
観察項目:キジョラン,カラスザンショウ,カスミサンショウウオ,アカハライモリ,キタテハ,ケラ,雄のカブトムシ,ヒゲコガネ,トビズムカデ,クワカミキリ,コナラのどんぐり,ホソヘリカメムシ,ゲジ,コシロシタバ,クヌギハケタマフシ,オオカマキリ,カナブン,サギソウ,シラタマホシクサ,ミズギボウシ,シロバナサクラタデ,アキノウナギツカミ,ワレモコウ,コケオトギリソウ,アンズタケ,雌のカブトムシ,マンネンタケ,ゴミムシダマシ(キノコムシ?),アブラゼミ,セミヤドリガの幼虫,コナラ,ノキシノブ,アオマツムシの終齢幼虫,ネブトクワガタ,ヌマガエル,ヒヨドリバナ,クダマキモドキ,ヤマノイモの雄花,カメムシの卵と寄生蜂,クズ,チビタマムシ,マメコガネ,ニイニイゼミの抜け殻,アオツヅラフジの花,ニイニイゼミ,イチモンジセセリ,ジャコウアゲハ,ジャコウアゲハの卵,オオウマノスズクサ,カラスウリ,シャクガ,チッチゼミの抜け殻,クマザサ,カダヤシ,ソヨゴ,ツクツクボウシの鳴き声 |
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