秋晴れで,日陰は少し寒かったですが快適な観察会日和でした.街路のサクラ(桜,バラ科)は,大半の葉を落とし,残っている葉は紅葉していました.街路のトウカエデ(唐楓,カエデ科,APG:ムクロジ科)もかなり紅葉していました.ランタナ(Lantana,クマツヅラ科,和名:七変化)は,まだ先月までと同じように花と実が混在していました.新池の土手のセンダン(栴檀,センダン科)は,葉が落ち始めて実が目立つようになっていました.クロガネモチ(黒鉄黐,モチノキ科)の実は真っ赤になっていました.新池の睡蓮の葉が枯れ始め水面が見え始めていました.北側の張り出した樹木下から,16羽のヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科),2羽のオオバン(大鷭,クイナ科)および1羽のバン(鷭,クイナ科)が何かに脅されたように一斉に出てきました.参加者は,子供2名と大人18名でした.
里山の家の中で,観察会を開始し,いつものように最初に先月の報告を皆で見ました.アオスジアゲハ(青条揚羽,アゲハチョウ科)の蛹には黒い点はなく,寄生されていないということでした.田圃のハラビロカマキリ(腹広蟷螂,カマキリ科)の3匹の内2匹にハリガネムシ(針金虫,ハリガネムシ目に属する生物の総称)が寄生していたという報告がありました.マユタテアカネ(眉立茜,トンボ科)に関連して,今年はアカトンボが少ないという感想が出ました.クダマキモドキ(管巻擬,キリギリス科)は,サトクダマキモドキ(里管巻擬,キリギリス科)ではいう参加者がいましたが,別名としてクダマキモドキもよく使われ,ウェブではどちらでも出てきます.
テントウムシの研究者が多摩川(大田区)で捕れたムネアカオオクロテントウ(胸赤大黒天道,テントウムシ科)を持って来て,東南アジアからの外来種であり,現在各地に広がっているという説明がありました.食餌はマルカメムシ(円亀虫または丸亀虫,マルカメムシ科)の幼虫だそうです.シロシタバ(白下翅,ヤガ科)の成虫標本と犬山から持ってきたビロードモウズイカ(天鵞絨毛蕊花,ゴマノハグサ科)の葉も観察しました.毛布のような表面で,撥水性があるという説明がありました.オリーブ(olive,モクセイ科)の実と葉も持ってこられ,ハート型の葉の紹介がありました.もう1人の男性参加者から,残念な昆虫の紹介がありました.1つ目は,痩せたカマキリ(蟷螂,カマキリ科)で独眼竜でした.バッタを一緒に入れていて,観察中にやっと捕まえました.2つ目は,カラスザンショウ(烏山椒,ミカン科)とヘンルーダ(オランダ語: wijnruit,ミカン科)についた,ナガサキアゲハ(長崎揚羽,アゲハチョウ科),モンキアゲハ(紋黄揚羽,アゲハチョウ科)およびカラスアゲハ(烏揚羽,アゲハチョウ科)の蛹でした.カラスアゲハの蛹は,蠅に寄生された黒い点がついていました.蠅は,表面に卵を産み,黒い点は,それが孵って中に入ったときの痕だそうです.フタモンアシナガバチ(二紋脚長蜂,スズメバチ科)の雄も持って来ていて,雄だけが異常に繁殖しますが,刺さないという説明でした.今年の灯火採集の立派な昆虫標本も披露されました.
アオギリ(青桐,アオギリ科)の心皮(袋果)についた実と台湾からもってきたピンポン(Pingpong,アオギリ科)の実を比較しました.ピンポンの実を囓った人から,歯が折れそうだという感想が出ました.また,実を食べて,マテバシイ(全手葉椎,ブナ科)の実のようで,少しねっとりしており,最後に苦みがあるという感想が出ました.
出発して,まず,蛙池でカダヤシ(蚊絶,カダヤシ科)を観察しました.メダカは,腹ビレが長く,目が高い位置にあるという説明でした.メダカの背中は黒褐色であることも特徴のようです.
大坂池土手のクコ(枸杞,ナス科)に赤い実がたくさん付いていました.食べて甘いという感想が出ました.近くのムクノキ(椋木,ニレ科)の実はまだ熟していないようでした.ムクノキとムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)の関係に疑問を持った参加者がいました.ムクノキにムクドリがよく飛んでくるので,ムクドリと呼ばれるようになったという記述がウェブにありました.
交尾している緑色のマルカメムシをアベマキの幹でみつけました.翅が少しボロになっているルリタテハ(瑠璃立羽,タテハチョウ科)を捕獲して,中学生の男の子の手にとまらせて写真を撮りました.ルリタテハの幼虫はサルトリバラ(猿捕茨,サルトリイバラ科)やホトトギス(杜鵑草,ユリ科)の葉を食べるということでした.アベマキの虫こぶ(クヌギハケタマフシ,椚葉毛玉付子)を見つけて,中を割って白いクヌギハケタマバチ(椚葉毛玉蜂,タマバチ科)の幼虫がいることを確認しました.
アキアカネの雌と雄の両方を,昆虫大好き少年が捕獲したので,並べて写真を撮りました.雌は雄より腹部が太い形でした.
セイバンモロコシ(西蕃蜀黍,イネ科)の葉に,コバネイナゴ(小翅稲子,バッタ科)とセスジツユムシ(背条露虫,キリギリス科)が数匹ずついました.居心地がよいようでした.セスジツユムシ(草食)とツユムシ(肉食)の違いは,後翅が長いとツユムシだそうです.
芝生広場横の林の中のアベマキの幹にクヌギカメムシ(椚亀虫,クヌギカメムシ科)がとまっていました.せせらぎで小さなアメリカザリガニ(亜米利加蜊蛄,アメリカザリガニ科)を男の子が獲ってきました.林の中の朽ちたアベマキをくだいて,ヤマトタマムシ(大和玉虫,タマムシ科)の幼虫を見つけました.4cm長くらいで頭が大きい形でした.
ウラギンシジミ(裏銀小灰蝶,シジミチョウ科)をツバキ(椿,ツバキ科)とクロガネモチ(黒鉄黐,モチノキ科)が並んでいる場所で探しました.なかなか見つかりませんでしたが,クロガネモチの葉裏で1頭見つかりました.我々が近づくと,一度飛んでまた元の近くに戻りました.日差しがあり,暖かいので,まだ完全に越冬状態ではなかったようです.昆虫大好き少年が,ミノウスバ(蓑薄翅蛾,マダラガ科)の成虫を捕まえました.続いて,キンケハラナガツチバチ(金毛腹長土蜂,ツチバチ科)とアオオニグミ(青鬼蜘蛛,コガネグモ科)を一緒に捕まえました.中学生の男の子がアオオニグモを手に這わせて観察しました. |
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2017年11月度の観察記録(PDF)です
| 2017-12-2 | 215 | |
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