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2017年 > 11月度の観察記録
11月度の観察記録
2017年11月度の観察記録です

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秋晴れで,日陰は少し寒かったですが快適な観察会日和でした.街路のサクラ(桜,バラ科)は,大半の葉を落とし,残っている葉は紅葉していました.街路のトウカエデ(唐楓,カエデ科,APG:ムクロジ科)もかなり紅葉していました.ランタナ(Lantana,クマツヅラ科,和名:七変化)は,まだ先月までと同じように花と実が混在していました.新池の土手のセンダン(栴檀,センダン科)は,葉が落ち始めて実が目立つようになっていました.クロガネモチ(黒鉄黐,モチノキ科)の実は真っ赤になっていました.新池の睡蓮の葉が枯れ始め水面が見え始めていました.北側の張り出した樹木下から,16羽のヒドリガモ(緋鳥鴨,カモ科),2羽のオオバン(大鷭,クイナ科)および1羽のバン(鷭,クイナ科)が何かに脅されたように一斉に出てきました.参加者は,子供2名と大人18名でした.

紅葉したトウカエデ(名古屋平和公園) スイレン(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
紅葉し
たトウカエデ
スイレン

里山の家の中で,観察会を開始し,いつものように最初に先月の報告を皆で見ました.アオスジアゲハ(青条揚羽,アゲハチョウ科)の蛹には黒い点はなく,寄生されていないということでした.田圃のハラビロカマキリ(腹広蟷螂,カマキリ科)の3匹の内2匹にハリガネムシ(針金虫,ハリガネムシ目に属する生物の総称)が寄生していたという報告がありました.マユタテアカネ(眉立茜,トンボ科)に関連して,今年はアカトンボが少ないという感想が出ました.クダマキモドキ(管巻擬,キリギリス科)は,サトクダマキモドキ(里管巻擬,キリギリス科)ではいう参加者がいましたが,別名としてクダマキモドキもよく使われ,ウェブではどちらでも出てきます.
 水が少し入った大きなプラスチック容器に 駐車場近くで昆虫大好き少年が捕獲した片方の前足がない亀が入れられていて観察しました.7〜8歳で背中の甲羅の真中にキール(とがり)が1本だけあり,イシガメ(石亀,カメ科)とクサガメ(草亀,カメ科)のハーフのウンキュウという紹介がありました.イシガメの特徴が,多いので多分1/4だけクサガメの血が入っているという推測でした.目が黒く,足に赤い筋がありました.カダヤシ(蚊絶,カダヤシ科),ミミズ(蚯蚓,貧毛綱に属する生物の総称),レバー,芋などを食べ,蛙は食べなかったという報告でした.前足の片方は小さいときにアライグマ(洗熊,アライグマ科)に食べられたのではという推測でした.ウンキュウは,古く中国では烏(黒い)亀=ウンキュウ(「烏」=ウンと読む)ということからという解説がウェブにありました.ウェブの中では.運求から由来したという冗談も出ていました.自然交配は珍しく,出会うことは滅多にないので運がよいということのようです.昔は,高価で貴重でしたが,人工的に繁殖されるようになっており,誰かが逃がした可能性が高いようです.

片方の前足がないウンキュウ(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
片方の前足がないウンキュウ

テントウムシの研究者が多摩川(大田区)で捕れたムネアカオオクロテントウ(胸赤大黒天道,テントウムシ科)を持って来て,東南アジアからの外来種であり,現在各地に広がっているという説明がありました.食餌はマルカメムシ(円亀虫または丸亀虫,マルカメムシ科)の幼虫だそうです.シロシタバ(白下翅,ヤガ科)の成虫標本と犬山から持ってきたビロードモウズイカ(天鵞絨毛蕊花,ゴマノハグサ科)の葉も観察しました.毛布のような表面で,撥水性があるという説明がありました.オリーブ(olive,モクセイ科)の実と葉も持ってこられ,ハート型の葉の紹介がありました.もう1人の男性参加者から,残念な昆虫の紹介がありました.1つ目は,痩せたカマキリ(蟷螂,カマキリ科)で独眼竜でした.バッタを一緒に入れていて,観察中にやっと捕まえました.2つ目は,カラスザンショウ(烏山椒,ミカン科)とヘンルーダ(オランダ語: wijnruit,ミカン科)についた,ナガサキアゲハ(長崎揚羽,アゲハチョウ科),モンキアゲハ(紋黄揚羽,アゲハチョウ科)およびカラスアゲハ(烏揚羽,アゲハチョウ科)の蛹でした.カラスアゲハの蛹は,蠅に寄生された黒い点がついていました.蠅は,表面に卵を産み,黒い点は,それが孵って中に入ったときの痕だそうです.フタモンアシナガバチ(二紋脚長蜂,スズメバチ科)の雄も持って来ていて,雄だけが異常に繁殖しますが,刺さないという説明でした.今年の灯火採集の立派な昆虫標本も披露されました.

ムネアカオオクロテントウ(名古屋平和公園) シロシタバの標本(名古屋平和公園) ビロードモウズイカの葉(名古屋平和公園) ハエに寄生されたカラスアゲハの蛹(名古屋平和公園)
ムネアカオオクロテントウ シロシタバの標本 ビロードモウズイカの葉 ハエに寄生されたカラスアゲハの蛹

アオギリ(青桐,アオギリ科)の心皮(袋果)についた実と台湾からもってきたピンポン(Pingpong,アオギリ科)の実を比較しました.ピンポンの実を囓った人から,歯が折れそうだという感想が出ました.また,実を食べて,マテバシイ(全手葉椎,ブナ科)の実のようで,少しねっとりしており,最後に苦みがあるという感想が出ました.

【外部リンク】ピンポンの木(葉っぱの岬)

観察会の連合会に絡んで,この観察会の特徴が話題になり,家族連れが多く,特定の先生がいなくてお互いの知識を持ち寄り,実物をよく見るということになりました.
最後に,来月の芋煮会の材料手配の依頼がありました.出発時には10:20過ぎになっていました.外では多くの子供達も参加して,稲の脱穀をしていました.

脱穀(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
脱穀

出発して,まず,蛙池でカダヤシ(蚊絶,カダヤシ科)を観察しました.メダカは,腹ビレが長く,目が高い位置にあるという説明でした.メダカの背中は黒褐色であることも特徴のようです.

【外部リンク】カダヤシとは(メダカの飼い方)

蛙池横の藪の中でツチイナゴ(土稲子,イナゴ科)がじっとしているのを見つけて,涙目の特徴が分かるように写真を撮りました.エノキ(榎,ニレ科(APG植物分類体系ではアサ科))の実を観察しました.まだ,緑色の実ばかりでした.マユタテアカネを捕獲して,眉立の顔(実際はちょび髭のよう)の写真を撮りました.アベマキ(阿部槇,ブナ科)の葉裏に1mm大程度の白い球状の卵のようなものが点々とついていました.押すとポロリと落ちて,その中はカラッポで,かつ大きさ違うので何かよく分かりませんでした.

カダヤシ(名古屋平和公園) ツチイナゴ(名古屋平和公園) マユタテアカネ(名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
カダヤシ ツチイナゴ マユタテアカネ

大坂池土手のクコ(枸杞,ナス科)に赤い実がたくさん付いていました.食べて甘いという感想が出ました.近くのムクノキ(椋木,ニレ科)の実はまだ熟していないようでした.ムクノキとムクドリ(椋鳥,ムクドリ科)の関係に疑問を持った参加者がいました.ムクノキにムクドリがよく飛んでくるので,ムクドリと呼ばれるようになったという記述がウェブにありました.

クコの実(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
クコの実

交尾している緑色のマルカメムシをアベマキの幹でみつけました.翅が少しボロになっているルリタテハ(瑠璃立羽,タテハチョウ科)を捕獲して,中学生の男の子の手にとまらせて写真を撮りました.ルリタテハの幼虫はサルトリバラ(猿捕茨,サルトリイバラ科)やホトトギス(杜鵑草,ユリ科)の葉を食べるということでした.アベマキの虫こぶ(クヌギハケタマフシ,椚葉毛玉付子)を見つけて,中を割って白いクヌギハケタマバチ(椚葉毛玉蜂,タマバチ科)の幼虫がいることを確認しました.

マルカメムシ(名古屋平和公園) ルリタテハ(名古屋平和公園) アベマキの虫こぶ(名古屋平和公園) クヌギハケタマバチの幼虫(名古屋平和公園)
マルカメムシ ルリタテハ アベマキの虫こぶ(クヌギハケタマフシ) クヌギハケタマバチの幼虫

アキアカネの雌と雄の両方を,昆虫大好き少年が捕獲したので,並べて写真を撮りました.雌は雄より腹部が太い形でした.
オンブバッタ(負飛蝗,オンブバッタ科)を網で捕まえ写真を撮りました.ムクノキ(椋木,ニレ科)の実はほとんど熟していなかったですが,黒い実を食べて甘いという感想が出ました.ナンキンハゼ(南京黄櫨,トウダイグサ科)の実の白い蝋状のものを食べた参加者もいました.キジバト(雉子鳩,ハト科),ムクドリ,シジュウカラ(四十雀,シジュウカラ科)などの野鳥は好きですが,人間には毒で,食べない方がよいようです.すぐ横のアカメガシワ(赤芽柏,トウダイグサ科)の葉に,黒い蛾の幼虫が数匹いました.ヨツボシテントウダマシ(四ツ星天道騙,テントウムシダマシ科)とミノムシ(蓑虫,ミノガ科)の蓑を見つけた人がいました.

アキアカネの雌と雄(名古屋平和公園) ナンキンハゼの実(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
アキアカネの雌(左)と雄(右) ナンキンハゼの実

セイバンモロコシ(西蕃蜀黍,イネ科)の葉に,コバネイナゴ(小翅稲子,バッタ科)とセスジツユムシ(背条露虫,キリギリス科)が数匹ずついました.居心地がよいようでした.セスジツユムシ(草食)とツユムシ(肉食)の違いは,後翅が長いとツユムシだそうです.
ここで,等間隔で弱々しく鳴く秋の虫の声が聞こえました.エンマコオロギ(閻魔蟋蟀,コオロギ科)よりカネタタキ(鉦叩,カネタタキ科)に近い鳴き声でした.

【外部リンク】鳴き声検索(虫の音WORLD)

ゴミグモ(塵芥蜘蛛,コガネグモ科)を看板の横で見つけて驚いていた家族連れがいました.木の幹の隙間でヨコヅナサシガメ(横綱刺亀,サシガメ科)が集団で越冬準備をしていました.

コバネイナゴ(名古屋平和公園) セスジツユムシ(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
コバネイナゴ セスジツユムシ

芝生広場横の林の中のアベマキの幹にクヌギカメムシ(椚亀虫,クヌギカメムシ科)がとまっていました.せせらぎで小さなアメリカザリガニ(亜米利加蜊蛄,アメリカザリガニ科)を男の子が獲ってきました.林の中の朽ちたアベマキをくだいて,ヤマトタマムシ(大和玉虫,タマムシ科)の幼虫を見つけました.4cm長くらいで頭が大きい形でした.
 そのすぐ横の落ち葉をかき分けて,カブトムシ(甲虫,コガネムシ科)の3匹の幼虫を掘り出しました.男の子の手のひらに雄の大きな幼虫を載せると,持って帰りたそうでしたが,また,埋め戻しました.
アキアカネを,また捕獲しました.ネズミモチ(鼠黐,モクセイ科)に薄茶色のシンジュサン(神樹蚕,ヤママユ科)の繭殻を見つけました.誰かが植樹したニッケイ(肉桂,クスノキ科)は上の方が枯れていました.下の方は元気なので,早く上部は切った方がよいかもしれません.
交尾中のイボバッタ(疣飛蝗,バッタ科)を網で捕まえ,写真を撮りました.菊の小さな花を見つけて,ヨメナ(嫁菜,キク科)でなくノコンギク(野紺菊,キク科)であることを確認しました.

ヤマトタマムシの幼虫(名古屋平和公園) 交尾中のイボバッタ(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ヤマトタマムシの幼虫 交尾中のイボバッタ

ウラギンシジミ(裏銀小灰蝶,シジミチョウ科)をツバキ(椿,ツバキ科)とクロガネモチ(黒鉄黐,モチノキ科)が並んでいる場所で探しました.なかなか見つかりませんでしたが,クロガネモチの葉裏で1頭見つかりました.我々が近づくと,一度飛んでまた元の近くに戻りました.日差しがあり,暖かいので,まだ完全に越冬状態ではなかったようです.昆虫大好き少年が,ミノウスバ(蓑薄翅蛾,マダラガ科)の成虫を捕まえました.続いて,キンケハラナガツチバチ(金毛腹長土蜂,ツチバチ科)とアオオニグミ(青鬼蜘蛛,コガネグモ科)を一緒に捕まえました.中学生の男の子がアオオニグモを手に這わせて観察しました.
瑠璃色の5mm大のヨモギハムシ(蓬葉虫,ハムシ科)を草の上で見つけました.ここで,アキアカネの雌とツマグロヒョウモン(褄黒豹紋,タテハチョウ科)の雄を網で捕獲しました.

里山の家の中が空いていなかったので,倉庫の三和土(たたき)で感想会をしました.周辺では,ジョウビタキ(尉鶲,ツグミ科)の鳴き声が盛んにしていました.昆虫大好き少年は自宅で1000匹の生き物を飼っており,餌代が大変という話題が出ました.寒くなったのに,今回バッタやトンボに多く出会い,大変よかったという感想が出ました.ソテツ(蘇鉄,アオテツ科)の害虫のクロマダラソテツシジミ(黒斑蘇鉄小灰蝶,シジミチョウ科)が話題になりました.
シュウクリームと洋カリン(マルメロ)の大変美味しいアーモンドタルトが供されました.カリン(花梨,バラ科)は,生食はできませんが,10分間ほど砂糖を入れて煮るだけで美味しくなるという説明でした.秋の快適な観察会になりました.

観察項目: ウンキュウ,ムネアカオオクロテントウ,マルカメムシ,シロシタバ,オリーブの実と葉,ビロードモウズイカの葉,カラスザンショウ,ヘンルーダ,ナガサキアゲハの蛹,モンキアゲハの蛹,カラスアゲハの蛹,フタモンアシナガバチ,アオギリの実,ピンポンの実,カダヤシ,ツチイナゴ,エノキ,マユタテアカネ,アベマキ,クコ,ムクノキ,ルリタテハ,クヌギハケタマフシ,クヌギハケタマバチの幼虫,オンブバッタ,ナンキンハゼ,アカメガシワ,ヨツボシテントウダマシ,セイバンモロコシ,コバネイナゴ,セスジツユムシ,ゴミグモ,ヨコヅナサシガメ,アメリカザリガニ,ヤマトタマムシの幼虫,カブトムシの幼虫,ネズミモチ,シンジュサンの繭殻,ニッケイ,イボバッタ,ノコンギク,ウラギンシジミ,クロガネモチ,ミノウスバ,キンケハラナガツチバチ,アオオニグモ,ヨモギハムシ,ツマグロヒョウモン,ジョウビタキ

写真:伊藤義人 監修:瀧川正子,田畑恭子

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