平成30年 9月 9日(日)9:30〜13:00 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 四国に上陸し北上した台風21号と北海道を襲った最大震度7の大地震。観察会直前の1週間に2つの大災害が続きました。そんな中、この日も停滞する秋雨前線の影響で天気予報は雨模様。それでも歩き始める頃にはほぼ雨は上がり、途中ぱらつく時間帯もありましたが、幸い最後まで傘をささずに済みました。
最初に里山の家で外来種のキノコの紹介があり、近くで観察できるとのことだったので見に行くことにしました。歩道の植え込みの中にそのオオシロカラカサタケがたくさん生えていました。傘の大きさはさまざまでしたが、最大のものは直径が20センチほどもありました。近くのヤブガラシではコスズメとセスジスズメの幼虫が数頭見つかりました。セスジスズメの幼虫の中にはハチに寄生されて、繭を背負っているものがいました。その幼虫は生きていましたが、少し動きが鈍いようでした。
7月の観察会で葉の揺れ方の特徴を観察したヤマナラシの枝が台風のせいか大きく折れてしまっていました。その近くではオオモンシロナガカメムシ、キマダラカメムシが続いて見つかりました。キマダラカメムシは外来種で今年の観察会で何度も出会っています。
キノコにはまっているという参加者が、キノコを同定するには傘の裏側の形状を見ることが大切だと教えてくれました。傘の裏側を観察すると、ひだ状になっているものと、スポンジ状になっているものがありました。後者はイグチダケの仲間とのことでした。また、猛毒をもつテングタケも見つけることができました。
キノコを食べ物にする生きものにも出会いました。イグチダケの仲間のキノコのスポンジ状の傘を割くと、ショウジョウバエの幼虫がたくさん見つかりました。よく観察しようとしてもあっという間に傘の中にもぐって見えなくなりました。光を避けているのでは、という意見が出ました。別のキノコにはイセノナミマイマイが来ていて、傘の部分を食べているように見えました。センチコガネが潜り込んでいるキノコもありました。センチコガネは糞虫として知られていますが、キノコも食べるようです。
「クワガタがいる!」との声が上がり、コナラの木をみんなで取り囲みました。樹液に来ていたのはつがいのノコギリクワガタでした。メス、オスともに大きな個体で、子どもたちは大感激していました。そのコナラの樹皮は大きく削り込まれていました。人の手によって樹液が出るための加工がなされているようにも見えました。
子どもがカナヘビを捉えました。そして今月もまた若い参加者がコクワガタを採ってきました。最初はメスのように見えましたが、よく見るとアゴの小さなオスでした。近くの足元にオケラがつぼみをつけていました。昆虫にも同じ名前のものがいますよ、と教えられたので、すぐに覚えることができました。
アセビの花もまだつぼみでした。葉をもんで匂いを嗅いでみましたが、特に匂いませんでした。マテバシイの木を観察しているとカネタタキが飛び降りてきました。カネタタキは樹上で暮らすので、夜になると頭の上の方から鳴き声が聞こえてきます。マテバシイにはほとんどドングリがついていませんでした。
カマキリの大好きな高校生が、オオカマキリを捕まえて同定のポイントになる胸の部分を見せてくれました。帰り道のサルトリイバラの葉の上ではアオマツムシのオスがじっとしていました。里山の家に戻ると、子どもがケースに入れて持ち帰ったオオカマキリのつがいが交尾していました。写真を撮るためケースを動かしても全く動じる様子はありませんでした。今月は特に昆虫好きの子どもがたくさん参加して、にぎやかな観察会となりました。虫との出会いを楽しむ一方で、雨上がりのためか至るところでさまざまなキノコを発見し、その種類の多さにみんな驚いていました。
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