平成30年10月14日(日)9:30〜12:30 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 10 月に入っても最高気温が25℃を上回る夏日が続いていましたが、中旬になりようやく気温も落ち着き秋らしさが訪れました。この日は早朝から降っていた雨が開始時刻前に上がり、柔らかな陽が射し始めていました。この観察会には珍しい少人数での開催となりましたが、多くの生きものとの出会いを共有しました。
里山の家を出て最初にツチイナゴに出会いました。朝方の雨のためか、あるいは気温が低いせいなのかカメラを近づけてもじっとしたまま動きませんでした。足もとにはボントクタデとヤノネグサが並んで可憐な花をつけていました。
ハンノキにハンノキハバチの幼虫がついていました。胸脚(前の方の3対の脚)で葉にしがみつき、腹部が反り返ったポーズをとっていました。威嚇しているのではとの意見が出ましたが、付近でたくさん見つかった幼虫のほとんど全てが同じ姿勢をとっていました。同じ木にいたイラガの幼虫は寄生蜂に寄生されていて、小さい繭を伴っていました。そのそばでズミが黄色い実をつけていました。
ゾウムシに詳しい参加者がビーティングネットに落ちた虫を紹介しました。ハンノキではモリモトシギゾウ、ネズミモチではオリーブアナアキゾウムシ、アップルミントではハッカハムシが採れたとのことでした。
湿地ではミゾソバが一面に広がって花を咲かせ、ツマグロヒョウモンのオスが吸蜜していました。ほかにもミツバチやハエの仲間、ホウジャクの仲間など、多くの昆虫が花を訪れ、近くではナガコガネグモやジョロウグモが網を張っていました。参加者が捉えたオンブバッタはつがいで、上に乗ったオスは手に載せてもメスがジャンプしても離れずしがみついていましたずいぶん大きさに差がありました。
アカバナのつぼみ、サワギキョウ、シラタマホシクサを続けて観察しました。アカバナは数が少なく貴重な種とのことでした。シラタマホシクサは花盛りで地面を覆うように咲いていました。
ワレモコウの花は終わりかけでしたが、普段はあまり注目しないその葉が特徴的な姿をしていることに気づきました。道沿いのササにはオジロアシナガゾウムシがガッシリと茎を抱え込むようにつかまっていました。田んぼの手前で捉えたオオカマキリは腹部に穴があいていて、寄生蠅の脱出口だろうということでした。
前日稲刈りが済んだばかりの田んぼでは、刈り取られた稲が稲架(はさ,はざ)にかけられていました。田んぼには穂の黒い古代米がところどころに残されていました。帰り道でコバノガマズミが赤く実っているのを観察しました。
芝生広場で参加者のひとりがシギゾウムシを捉えました。ゾウムシに詳しい参加者によってクヌギシギゾウムシと同定されました。ミカンの木にはアゲハの幼虫がたくさんついていました。みんな体色の黒っぽい若齢幼虫でした。この幼虫は蛹で冬を越すだろうと予想しました。畑の脇でツマグロヒョウモンのメスの産卵行動に気づき時間をかけて観察しました。地面近くを飛び、小刻みに着地しては枯草などに産卵していました。食草はスミレですが、冬は枯れてしまうので、食草に関係なく至るところに産卵して、孵化した幼虫がエサとなる植物にたどり着く可能性に任せるということでした。そうだとすると相当な数の卵を産んでいるだろうとの意見が出ました。
小さい子どもの参加がなく落ち着いた観察会でしたが、気持ちのいい秋の日差しの中で、参加者はいつも通り無心に秋の生きものの観察を楽しみました。
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