平成31年 2月 10日(日)9:30〜12:30 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 最高気温が10℃を割り、時折身を切るような冷たい風が吹きました。1年で最も寒い時期で例年は参加者の少ない月ですが、今回はいつになく大勢でたくさん歩きました。途中、急な斜面の登り下りや南尾根の崖上りでは子どもたちの元気な声が飛び交いました
先月つぼみが膨らんでいたコウバイを見に行きました。花は半数ほど咲いていました。木を取り囲んで、花びらは5枚、下の方から咲いている、少しいい匂い、など子どもたちと一緒に観察してわかることを言い合いました。ひとりの子どもが近くで鳥の巣を拾ってきました。その大きさや形状からメジロの古巣だろうと推測しました。巣材の植物は1000本を超えているようにも見えて、親鳥の巣作りの大変な様子を想像しました。イボタノキにからまって残っていたつる状のヤマノイモの種が子どもたちの興味を引いたようでした。
南尾根に向かって急坂を上りました。途中マンリョウやセンリョウ、マンネンタケ、ヒイラギなどを観察しました。マンネンタケは薬用に高値で取り引きされるものもあるとのことでした。
斜面の途中で見つかったオオカマキリと外来種のムネアカハラビロカマキリの卵鞘を並べてみました。ムネアカハラビロカマキリは平和公園でも確実に数を増やしているようです。そこから更に子どもたちは崖上りに挑戦し、一部の大人も子どもたちにつられるように上って行きました。南尾根沿いの道では、観察したアラカシの冬芽に白い卵が産みつけられていました。その場ではムラサキシジミの卵と紹介され、季節外れの産卵に首をかしげる参加者もいましたが、のちに別のガの卵であろうとの訂正が届きました。肉眼では捉えられないほどのサイズで、多くの参加者が発見そのものに驚いていましたが、そこにいると思って探せば見つかるものなのだそうです。
サクラの幹にシロフフユエダシャクのオスがとまっていました。近くにメスがいるのではないかと探してみましたが見つかりませんでした。同じ木でヨコヅナサシガメの幼虫が集団で冬越ししている姿も観察しました。倒木の樹皮をはがすとシロアリの巣ができていてたくさんのシロアリが慌てた様子で動きまわっていました。
ネズミモチの葉を見るとハモグリバエの幼虫の食痕がたくさんできていました。葉の緑と食痕の白のコントラストが美しく映りました。枯れ木の中で見つけたウバタマコメツキは裏返して見るとすべての脚をぴったりと身体に沿わせてじっとしていましたが、急に跳ねて参加者を驚かせました。尾根道沿いのムクノキの樹皮に触れてみると滑らかな感触でした。
ネジキの艶やかな赤い冬芽が目立っていました。三大美芽のひとつと紹介されました。細いヒサカキの地面近くでゴマフボクトウのフンが多数見つかりました。フンの排出孔もありました。10年ほど前の自然観察会ではたびたび見かけるこれが何であるのか謎でしたが、近年になって昆虫に詳しい参加者が増え、おかげで正体を知ることができました。足元の落ち葉の間をトビズムカデが這っていて、見つけた子どもが持参の入れ物で捕らえました。
田んぼの周辺ではタビラコの仲間やタンポポのロゼットが多数見つかりました。つどいの丘ではシンジュの樹皮や冬芽を観察しました。
また今月もエノキの根元の落ち葉の裏で冬を越すゴマダラチョウの幼虫をみんなで探しました。幼虫は木の北側の落ち葉の裏で見つかることが多く、その理由としては北側の方が温度変化が少ないことや湿度が保たれることが考えられるそうです。周囲ではオオイヌノフグリが花を咲かせ、春の訪れの近いことを知らせていました。大坂池周辺の五分咲きのものと比べこの付近のハクバイは満開に近い状態で、日当たりの差で花の咲き具合いに違いが出るのでは、との意見が出ました。
帰る頃には一層風が冷たく感じられましたが、寒い中にも生きものが春を待つ姿が随所に見られた観察会でした。
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