平成31年 4月 14日(日)9:30〜13:00 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 季節の変わり目で毎日の天候が目まぐるしく変化していました。この日も前日のポカポカ陽気から一転して朝から曇り空が広がりました。開始時刻が近づくにつれてどんどん参加者が増えて、里山の家は人であふれんばかりになりました。多くの人が多くの生きものとの出会うにぎやかな観察会になりました。
里山の家の中にいる間に、屋根の上にびっしりと生えているマツバウンランのことが話題になりました。そこで里山の家を出て最初に屋根の上の様子を遠目に観察して紫色の花が咲いているのを確認しました。その後は大坂池沿いに中道の方へ移動しました。途中アンズの木を観察すると、枝にカイガラムシがついており、それを食べるアカホシテントウの幼虫も数多く見つかりました。同じ木にオビカレハの幼虫の天幕が見られました。またビーティングネットにはアンズの実に産卵して幼虫の餌として利用するモモチョッキリが落ち、この1本の木の上でひとつの生態系が成り立っているとの説明がありました。
タンポポの草丈について、花が咲いているときは短く花が終わったものは長いのはなぜかとの質問に、女の子が種を遠くへ飛ばすためと答えました。タンポポは花が終わると短時間で丈を伸ばすそうです。近くではスズメノエンドウの小さな花が観察されました。またヒメオドリコソウが至る所で咲いており、花を一つ取って口に含むと、ほんのりと甘く感じられました。
コバノミツバツツジが満開で、ビーティングネットを使うとツツジトゲムネサルゾウムシが次々と捕れました。大きさは3mmほどでした。落ち葉の下からはトビズムカデが見つかり、高校生が捕獲するのを子どもたちが興味津々といった様子で見ていました。
別の高校生は、オオウラジロ、アベマキ、コナラの新芽を触ってみた感想を独自の言葉で表現していました。その中ではコナラの新芽が「高級なフエルトのよう」とのことで、柔らかな手触りが気に入ったようでした。
食痕の目立つギシギシの葉を裏返すと、コガタルリハムシの幼虫が多数見つかりました。大きさがまちまちで、発生の時期にばらつきがあるようでした。樹上で交尾中の光沢の美しい昆虫はルリチュウレンジでした。女の子が足元のヤスデを見つけて手に乗せていると、その子のお父さんは咬まれたりしないかと心配していました。女の子はヤスデの脚の動きをじっと観察していました。
ツマジロエダシャクが特徴的な翅の広げ方でとまっていました。その近くでアワフキムシが見つかりました。水辺に移動するとケキツネノボタンが咲いていました。キツネノボタンとの区別は葉や茎の毛に着目されることが多いけれども、その生息環境について、キツネノボタンは水辺には見られず乾燥した草原でよく見られると紹介されました。
終了時刻が迫り、里の道を通って帰り始めました。咲いたばかりのウスノキの花は淡いピンク色で、夏に向かって実が赤く熟していくとのことでした。ガマズミはつぼみをつけていました。高校生が網で次々と捕らえたモモブトカミキリモドキは10mmに満たない甲虫で、オスは後ろ脚の付け根が太くメスにはその特徴はありませんでした。
道沿いにアケビの花が咲いており、房を左右に振るといい香りが漂いました。その近くでニシキギも観察しました。枝に「翼」があるのが特徴とのことでした。ヤナギの葉にいたドクガの仲間の幼虫は鮮やかな色合いでした。ドクガの幼虫の毛に触れると皮膚炎を起こすので、触らないようにと注意が促されました。
時折遠くで鳴くウグイスの声を耳にしながら、木々の芽吹きや昆虫たちの活動盛んな様子を楽しむことができました。
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