2019年 6月 9日(日)9:30〜12:30 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 朝から弱い雨が降り続いていました。そのためか参加者数は先月までにくらべてぐっと少なくなりました。湿地の生きものを観察しに行くのが今月のテーマの一つでしたが、途中観察するものが多くて湿地に辿り着くまでに時間がかかりました。久しぶりの雨の中、森の緑が一段と映える景色を楽しむことができました。
出発前に里山の家でヤブジラミとオヤブジラミの紹介があり、近くのヤブジラミを見に行くことにしました。平和公園ではヤブジラミの方が少ない印象とのことですが、そこではたくさん自生して花を咲かせていました。オヤブジラミと比べて実が小さく花の時期が1ヶ月ほど遅いとのことでした。頭上のアカメガシワの雄木はつぼみをつけていました。すぐそばには雌木もあって探すとこちらにもつぼみが見つかりました。サクラの葉には昼行性のガである、クロバ(マダラガ科)の仲間が雨宿りしていました。
マイマイガの幼虫の毛にも水滴がたくさんついていました。また濡れた木々の間を移動するイセノナミマイマイを数多く見かけました。子どもが捕らえた甲虫はセアカヒラタゴミムシで、上翅が美しく光っていました。空を見上げるとツバメがたくさん飛び交っていました。ざっと数えると15羽ほどでした。野鳥に詳しい参加者によると、この春一回目の子育てで巣立った「一番子(いちばんこ)」だろうとのことでした。
日本では数少ない毒グモの一種、カバキコマチグモの巣の中を見てみることになりました。このクモに噛まれたことがあるという参加者が、持参のピンセットでススキの葉を慎重に広げていくと中には卵嚢とともに親グモがいました。孵化した子グモはやがてこの親グモをエサにして育つのだそうです。
ムラサキシキブが花盛りで、いい香りがしていました。サラサウツギの花も観察しましたが、こちらはほんのりと香る程度でした。スズコナリヒラタケの葉の付け根の毛先についた雨の粒を見つけて「きれい」との声があがりました。
今回の観察会では虫こぶもいくつか見つかりました。アキニレの葉の表面には目を引く濃いピンク色の虫こぶ、ヨモギには紫色の円錐形の虫こぶ、ノイバラには球形の淡いピンク色の虫こぶがついていました。
過去の観察会で何度も見ているザトウムシですが、黒い体に赤いダニがよく目立ちました。ダニが脚にもくっついているのを見て、そこでは体液が吸えないのでは、との声も聞かれました。湿地に移動するとショウブの花が咲いていて、ショウブを食草とするガ、ツマキホソハマキモドキもその葉にとまっていました。先月花を観察したカキツバタは実になっていました。その他モウセンゴケ、ミズゴケも観察することができました。
池の水を網ですくうとハイイロゲンゴロウの幼虫が捕れました。肉食の水生昆虫です。田んぼの近くではこの春生まれたニホンアカガエルの幼体があちこちで跳ねていました。最後にクワの実を見に行きました。去年は大量についた実がよく熟していた木ですが、今年はほとんどの実が白く変色していました。植物に詳しい参加者によると菌による病気のようです。それでも数少ない黒く熟した実の中からひとつだけ食べて里山の家に戻りました。
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6月度の観察記録
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