2019年 7月 14日(日)9:30〜12:30 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 梅雨らしく陽ざしのない毎日が続いていました。この日も前夜から降り続く雨が朝まで残っていましたが開始時刻には上がり、足元は悪いものの傘の出番はなくなりました。気温も上昇し始め、雨が止むのを待っていた多くの昆虫が次々と姿を見せ始め、虫捕り網を持って参加した子どもたちを喜ばせました。
まず最初に、里山の家の東の広場にあるマンホールを見に行きました。山崎川の上流にあたる大坂池の水が市街地に流れるのを防ぐため、猫ヶ洞池に流れ込むように1980年代に作られた水の道の管理口であることが紹介されました。
この日は時々カマキリを見かけましたがその全てが幼虫でした。幼虫の段階で種類を見分けるのは難しく、特徴を捉えようと虫メガネを使っても困難でした。コヒルガオも花を咲かせており、虫好きの女の子が葉を巻いて中に潜むイモキバガの幼虫を見つけました。雨が続いた影響からかキノコも数多く見られました。参加者の一人が鏡を使って傘の裏を映したのを観察しました。傘の赤い小型のキノコは柄が黄色く、図鑑で調べるとアカヤマタケのようでした。アカヤマタケは毒キノコに分類されています。
男性の参加者が草の葉にしがみついたクモを披露しました。若いオニグモの仲間のようでした。手をかざすと糸を伸ばして下方へ逃げて行き、間もなく元の場所に上って来るので、何度かこれを繰り返して「ヨーヨーグモ」と呼んでいました。クズの葉の上を変わった昆虫が歩いていました。お尻から放射状に毛が生えているように見えました。調べるとハゴロモの幼虫であることが判りました。里の道を少し進むとヤマハゼの木には青い実がついていました。ヤマハゼは雌雄異株なので、これは雌株ということになります。
すぐそばにはアケビの実がたくさん実っているのが見える場所がありましたが、どれも手が届きそうにありませんでした。道沿いにはアメリカホドイモの花が咲いており、美しい色合いが目を引きました。匂いを嗅いでみましたが、「変な匂い」「薬品くさい」などの感想が聞かれました。芋を食用にする栽培種とのことですが、味はあまりよくないそうです。湿地では白い小さな花が咲いていて何の花かと問題が出されました。答えはセリの花で、葉を見ると確かに見慣れたセリの葉であり、参加者は納得していました。
田んぼに移動すると、子どもがマツモムシを捕らえていました。長い後ろ脚を動かしてあおむけの姿勢で泳いでいました。飛んできた真っ赤なショウジョウトンボを虫捕りの上手な女の子が捕らえました。高校生の男の子が前日から田んぼに沈めておいたもんどりを引き上げて入っていた生き物を観察しました。エサ用に煮干しが仕込まれていました。中にはヌマガエルのオタマジャクシ、アメリカザリガニ、ハイイロゲンゴロウ、サカマキガイが入っており、容器の外側にはヒルが貼りついていました。続いて田んぼの中で育つ植物が紹介されました。ウキクサ、アオウキクサ、イチョウウキゴケ、コナギ、トリゲモ、シャジクモなどが見られました。これらの植物の中には、田んぼを造成した時に入れた土についてきたものや、譲り受けたイネの苗についてきたものも含まれているとのことで、中には貴重な種もあるそうです。
植物に詳しい参加者が、よく似た2種の植物の葉を取り上げて紹介しました。片方はヤブガラシで、葉を噛んでみると苦みだけが感じられましたが、もう一方はアマチャヅルで少し風味がありました。「甘にがい」と表現されました。キノコ好きの参加者が小さなキノコを見つけて運んできました。落ち葉を分解するオチバタケとのことでした。帰り道では道沿いのアベマキで樹皮に似た模様のガを探しました。コシロシタバやマメキシタバが見つかりました。シタバガの仲間は一見地味ですが、後翅に目立つ模様があるのが特徴で、飛び立たせて模様の色が見えるかどうか試しました。コシロシタバの後翅の白い色を確認できた参加者もいたようでした。
今回の自然観察会は雨上がりの生き物の活動が活発な時間帯と重なり、多くの項目を観察することができました。
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