2019年 9月8日(日)9:30〜12:45 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 8月後半には一息ついたかに思われた暑さでしたが9月に入ってから再び真夏日が続いていました。久しぶりの熱帯夜となったこの日、予想最高気温は36℃。熱中症に注意しながら目的地を目指しました。
キンミズヒキの花が咲いているのを見に行きました。数は多くありませんでしたが、小さな花はバラ科のそれらしく5弁の花びらとたくさんのおしべを備えていました。キンミズヒキの実にはかぎ爪状のトゲがありひっつき虫になるそうです。同じ場所でキンエノコログサとアキノエノコログサを観察しました。穂を覆う毛の色が違うのと、アキノエノコログサは穂が垂れることで容易に区別できました。
アベマキの実にクヌギシギゾウムシのメスが産卵に来ていました。ドングリに卵を産み付ける甲虫の仲間はこの日はほかにコナラを利用するコナラシギゾウムシとハイイロチョッキリが見つかりました。ハイイロチョッキリはコナラの若いドングリに産卵したあと、実のついた小枝を切り落とします。産卵後のドングリをナイフで割ってみると、白い卵が一個産みつけられていました。
一旦足が止まると、子どもたちが周辺で虫を次々と捕って先に進めなくなるので、時間内に目的地に辿り着けなくなるのを心配して、進むよう促す声がかかりました。移動中、ニセアカシアの幹についたノキシノブ、ツバキについたチャドクガの幼虫、カラスウリについたクロウリハムシなどを観察しました。
アオツヅラフジは花と実が観察できました。実には毒があるそうです。アオツヅラフジを食草とするガのヒメエグリバの幼虫も見つかりました。近くのコナラでは樹皮の割れ目にコクワガタのオスとメスが隠れていました。
そしてようやく今日の一番の目的であったナンバンギセルのところに辿りつきました。周囲の水が滲み出してあふれて湿原のような状態になっている場所で、囲いを設けた時にたまたま見つかり刈り残されたとのことでした。ナンバンギセルはススキをはじめとするイネ科の植物につく寄生植物で、サトウキビの栽培には害草とされるそうです。長い間平和公園では姿を消していて、10年以上ぶりに見たと話す参加者もいました。同じ場所にキツネノマゴの花も咲いていました。名前の由来はよくわかっていないようです。アオギリの実は熟して皺ができ、葉状の心皮にしっかりとくっついていました。
11時30分になったので、里山の家に戻り始めることにしました。道沿いのアラカシの葉裏にヤママユの繭がついているのを見つけました。美しい緑色の新しい繭でした。この繭から採れる糸だけで着物を作れば百万円以上になるという声が聞かれました。果樹園エリアのクリの木は実の収穫時期が来ていて、落ちているイガのほとんどに中身がありませんでした。それでも熱心に探した子どもの中には、クリを手に入れて嬉しそうにしている子もいました。隣のカキの実はまだ青く固いものでした。
サルトリイバラの葉をめくると、孵化したてのルリタテハの幼虫がいました。食痕を観察すると葉の表面だけを食べているようでした。この日見かけたカマキリは全て成虫でした。最近、外来種のムネアカハラビロカマキリが増えて、在来のハラビロカマキリに比べて一回り体格が大きいことなどからその生活を脅かす恐れがあると出発前の里山の家で説明がありましたが、この日は外来種は見かけず、数を減らしていると言われる在来のハラビロカマキリが見つかりました。アラカシを食べるムラサキシジミの幼虫にアリが群がっていました。ムラサキシジミの幼虫は蜜を分泌してアリに与え、アリは他の昆虫から幼虫を守るという共生関係にあるそうですが、最近の研究では分泌物によって、アリを巣に帰らせず幼虫を守るように操っているという報告もあるようです。
日陰の道を選んで帰る途中、観察したタヌキノカミソリは栽培種とのことでした。よく似たナツズイセンと覚えている参加者もいましたが、花びらの裏に濃いピンクの筋があることで区別するとのことでした。カラスウリにはつぼみがたくさんついていて、今夜咲くものもありました。最後に赤い実をたくさんつけたウメモドキを観察して里山の家に戻りました。
結局この日の名古屋の最高気温は35℃を超え、9月になって最初の猛暑日となりました。非常に暑い中でたくさん歩き、参加者はバテ気味でした。
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| 2019-9-26 | 434 | |
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