2019年 10月 13日(日)9:30〜12:40 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 今年最大級の台風19号が前日の夜伊豆半島に上陸して関東方面へ抜けて行きました。広範囲にわたる記録的な大雨で多くの川が氾濫し、70人以上の死者が出ましたが、幸いにも名古屋では目立った被害は報告されず、この日は台風一過の晴天となりました。
赤いヒガンバナの花が咲いていました。中には終わった花の先が実のように膨らんだものがありましたが、ヒガンバナにはほとんど種がつかず、球根で増えると説明がありました。近くのジュズダマは花が咲いているものと黒っぽく熟したものとの両方が観察できました。昔、ジュズダマでアクセサリーを作ったという大人に教えられた女の子が、熟した実を集めていました。足元ではボントクタデとイヌタデが見られました。
ハンノキが何かに食べられてほとんど葉のついていないような枝もあり、よく見るとハンノキハバチの幼虫がたくさんついていました。3対の胸脚だけでつかまり、腹を裏返すようにしているのを見て、何のためにそうしているのか考えました。「威嚇している」「大きく見せている」「腹脚をトゲが生えているように見せている」などの意見が出ました。手を近づけるとその姿勢をとっていたので、威嚇の意味があるのかもしれません。道沿いに咲いているキクイモの花を見て、昔これの芋(地下茎が肥大化したもの)を食べたことがあると言う参加者がいて、根こそぎ引き抜いてみると小さな芋がついていました。醤油漬けや味噌漬けにして食べることができるそうです。
せせらぎ沿いのヤナギにオオスズメバチが来ていました。幹をかじっているように見えましたが、今は巣を作る時期ではないためかじって樹液を出しているとのことでした。コバネイナゴが木の幹にとまっていました。通常イナゴの仲間は近づくと姿を隠す動作をするのにこれはほとんど動かないので、日向で身体を暖めているのではと推測しました。畑では数人が作業をしていました。
水辺で高校生がアオバアリガタハネカクシを見つけてケースに入れました。アオバアリガタハネカクシは体液に毒があり、うっかりつぶして肌に付着すると皮膚炎を起こすので注意が必要と説明がありました。つどいの丘に置かれた大きな石臼は子どもが二人がかりで動かそうとしましたがビクともしませんでした。辺りにはキリの実が落ちていて、中を見ると小さな種がたくさん入っていて白い膜状の翼が見られました。
子どもがゾウムシを捕らえたのでゾウムシに詳しい参加者に見せるとハスジカツオゾウムシと教えてくれました。翅の一部が欠けているようでした。足元の落ち葉の中からセンチコガネが見つかりました。最近センチコガネに夢中になっているという子どもが色を確認していました。センチコガネは翅の色に個体差があり、コレクターがいるそうです。近くの倒木にカワラタケがついていました。裏側にひだがないのが特徴とのことでした。
続いて湿地の植物を観察しました。満開のシラタマホシクサの中にサワギキョウ、スイランが咲いていました。たくさんのミゾソバも花盛りで、イチモンジセセリが吸蜜しにやって来ていました。
田んぼではイネの穂がこうべを垂れて刈り取りを待つばかりになっていました。品種はコハルモチという餅米とのことです。参加者は一粒ずつ籾を取って、籾殻を剥いて中の玄米を取り出して胚芽の部分を確認しました。また籾の先の芒(のぎ)が茶色いことが紹介されました。その玄米を食べた参加者は味がないと言っていましたが、続いて食べ比べた去年栽培した古代米の玄米は比べ物にならないほど風味が強く美味しいとの声が上がりました。
この日は成長したジョロウグモやナガコガネグモの巣を数多く見かけました。前日の台風接近による風の影響はあまりなかったようです。参加者の女性の目の前にクロコノマチョウがヒラリと姿を現わして驚かせました。
終了後の振り返りでは、虫が普段より少ないと感じたという声が多く聞かれました。それが前日の台風のためなのかそれとも季節の移ろいのせいかはわかりませんが、乾燥した空気に本格的な秋の訪れを感じる自然観察会でした。
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