2019年 11月 10日(日)9:30〜12:40 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 立冬を過ぎても暖冬を予感させる穏やかな気候が続いていました。この日はなごや生物多様性センターの今年の一斉調査に因んでひっつき虫をテーマに取り入れることが急遽決まり、いろいろなひっつき虫を観察しました。
里山の家の横の倉庫の軒下でアオスジアゲハの幼虫がじっとしているのを見つけました。食樹である近くのクスノキから移動してきたと考えられ、これから蛹になる準備をしているように見えました。トンボが大好きな少年が、捕えたヒメアカネを見せてくれました。高校生がヤナギの朽木の根元を掘り返すと、マルカメムシ、ワラジムシ、カブトムシの幼虫とコガネムシの仲間の幼虫が出てきました。
3種類のひっつき虫を続けて観察しました。イノコズチとコセンダングサとキンミズヒキです。イノコズチにはヒナタイノコズチとヒカゲイノコズチがありますが、一見しただけではその違いはわからないとのことでした。キンミズヒキの実は触ってもトゲが柔らかく、もう少し枯れてからくっつくのではと話していたところ、気づけばあちこちに青い実がくっついていたので、枯れなくてもくっつくことが証明されました。
先月ハンノキハバチの幼虫を観察したハンノキを見に行くと、幼虫はもう1匹もいませんでした。ハンノキでは昨シーズンにできた実と、今年出てきた雄花を観察しました。雌花は見当たらず、もう少しあとで咲くとのことでした。虫網でスイーピングによる虫捕りをしていた大人の参加者が、採れた虫を見せてくれました。トビイロツノゼミとコミミズクの幼虫でした。どちらもカメムシ目で、この観察会では初めて観察する昆虫です。
せせらぎ沿いの草むらでは別のひっつき虫を観察することができました。オオオナモミは10年くらい前までは容易に見つかりましたが、近年ではすっかり見かけなくなっています。外来種ながらいつの間にか貴重な存在となりました。アメリカセンダングサはコセンダングサに比べ、種子の幅が広いのがわかりました。アレチヌスビトハギは探さなくてもどこにでも生えていました。鞘から種子を取り出して食べてみた参加者は確かに豆の味がすると言っていました。
せせらぎでは子どもたちが水網で水の中の生き物をすくっていました。採れたのはカダヤシとミナミヌマエビでした。高校生の参加者から、メダカとの見分け方や、もともとは蚊を駆除するために外国から移入されたものであることなどが紹介されました。別の高校生が看板の裏にいたヤモリを捕らえました。小さめの個体でした。同じ高校生がオオスズメバチを素手で持ってみんなを驚かせました。実はオスで刺される心配がないとわかり一同安心しました。オスのオオスズメバチはメスに比べて触角が長く「小顔」であるのが識別ポイントとのことでしたが、そのような細かい違いを見て手に取るのには勇気がいるとの声が上がりました。
ヨシの穂を取って来た参加者が、穂を衣服につけてこれもひっつき虫であると話しました。そしてこれがくっつくしくみは静電気であると説明しました。里の道を通って戻ることになり、途中でチヂミザサを観察しました。大人の参加者に促されて触ってみた子どもが「ベタベタする」と言っていました。そのすぐ近くで、この日最後のひっつき虫、ミズヒキを観察しました。
そのほか、里の道沿いではフユノハナワラビを観察しました。シダ植物の仲間で、葉を押さえると胞子が飛ぶのが見える場合があると説明されましたが、残念ながらこの時は確認できませんでした。夏にアケビの花を観察した木には実がたくさん実っていましたが、手の届くところにはありませんでした。しかし何としても採りたいとの執念を燃やし、道具を使ってたくさん収穫しました。足元のチカラシバでは茎を結んで罠を作る昔の遊びが紹介されました。この罠にかかったことがあると言う参加者もいましたが、よく考えるとずいぶん危ない遊びです。
マメガキがたわわに実っているのを見てよく熟した実を食べてみました。皮は指で簡単にむけ、口に入れると初めは甘さを感じましたが、あとから強烈な渋みがやってきました。最後にムラサキシキブの実を観察して里山の家に戻りました。里山の家では採って来たアケビの実を包丁で切り分けて食べました。「甘い」とみんな口々に言いました。一部の参加者は外に出てアケビの種飛ばしをしました。子どもたちだけでなく大人も遠くへ飛ばそうと真剣になっていました。
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