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7月度の観察記録
2021年7月度の観察記録です。

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2021年 7月 11日(日)9:30〜12:00

作成:田畑恭子 監修:瀧川正子
写真協力:伊藤義人氏
参加者:大人 20名,子ども 12名 天気:曇りのち晴れ

新型コロナウイルス感染状況が少し落ち着きを見せ、3月以来ようやく今年2度目の自然観察会を実施することができました。久しぶりにたくさんの子どもたちが虫網を手に集まり、楽しい時間になりました。

5月頃から話題にのぼっているウチワゼニクサを見に行きました。大坂池の北側の地面は前日までの雨で注意しないと靴が水につかってしまうほどになっていました。ウチワゼニクサは先月よりも繁茂しているように見えました。花の時期とのことでしたが、確認することはできませんでした。すぐそばで小学生の参加者の男の子がヒメタイコウチの幼虫を見つけました。大きさにはばらつきがあり、少し数えただけで10頭以上はいるようでした。またキイトトンボを捕らえた子どもがいました。キイトトンボは近年数が減っているそうです。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ウチワゼニクサ ヒメタイコウチ キイトトンボ

ハンノキの樹皮に産みつけられたミドリシジミの卵を観察しました。非常に小さな卵ですが、幹の割れ目を探すといくつも見つかりました。初夏に羽化した成虫が産んだ卵はこのまま次の冬を越し、来春孵化します。足元のヒメジョオンにはクマゼミの抜け殻がついていました。この日初めてクマゼミの鳴き声を聞いたとか、昨日聞いたとかとの声が聞かれました。そしてこれが今年のセミの抜け殻かどうかという質問に、みんな見た目の新しさから今年のものと思いましたが、確かな根拠は今咲いているヒメジョオンが今年になってから背丈を伸ばしたという事実でした。そばのコナラの幹を無数の小さいアリが行列を作って登ったり下りたりしていました。登っているものより下りてくるアリの方がずっと多く見えましたが、どこへ向かっているのかはわかりませんでした。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ミドリシジミの卵 クマゼミの抜け殻 アリの行列

毎年7月の自然観察会ではキノコがよく見られます。アベマキの根元で見られた茶色いキノコは傘の内側がスポンジ状で、キノコに詳しい参加者によるとイグチ科のキノコの仲間とのことでした。同じ木に生えたマンネンタケも観察しました。別のアベマキの木にコシロシタバがとまっていて、みんなで観察してから子どもの虫網で捕獲しました。すると木にとまっている時には見ることのない下の翅の模様もネット越しに裏側から確認することができました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
イグチ科のキノコ マンネンタケ コシロシタバ

田んぼに向かって移動する途中、畑のサツマイモの葉にシオヤアブがとまっているのを見つけました。少し飛んではすぐにまた近くにとまり、人のそばをなかなか離れませんでした。湿地のそばではセリミソハギが咲き始めていました。ミソハギの花にはおしべが長いものと短いものがあり、その理由は自家受粉を避けるためであると説明されました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
シオヤアブ セリの花 ミソハギの花

田んぼの近くではコハンミョウが捕らえられました。今年の田植えでは、1本だけの苗を植えたものと3本をまとめて植えたものと2種類の植え方をしていて両者の収量を比べるそうです。田んぼの周辺では上陸して間もない小さなヌマガエルがたくさん飛び跳ねていて、子どもたちに追いかけられていました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
田んぼ コハンミョウ ヌマガエル

ここで一人の参加者から3種類の植物の説明を聞きました。写真は左からタカノツメの葉、カクレミノの葉、地面に生えているのはチドメグサです。タカノツメは落葉樹、カクレミノは常緑樹、チドメグサは常緑の多年草ですが、すべてウコギ科だそうです。チドメグサは近年セリ科からウコギ科に変更になったそうです。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ウコギ科の3種 ウコギ科3種の観察

昆虫に詳しい参加者が近くの朽木からネブトクワガタヨツボシオオキスイを採ってきました。ネブトクワガタは比較的珍しいと思われているそうですが、東山の森ではごく普通に見られるそうです。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ネブトクワガタ ヨツボシオオキスイ

また同じ参加者がクズの葉から採集したクズノチビタマムシも観察しました。タマムシのイメージからは程遠い地味さと小ささでした。食痕に特徴があるので見つけるのは難しくないとのことでした。周辺のクズの葉を探してみるとそれらしい食痕を見つけることができました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
クズノチビタマムシ クズノチビタマムシの食痕

ところで田んぼの近くで参加者の子どもが捕らえたバッタの仲間はその場ではコバネイナゴではないかとのことでしたが、正しくはツマグロバッタ(ツマグロイナゴ)でした。昨年なごや生物多様性保全活動協議会主催でバッタの一斉調査が行われましたが、その時の調査対象となった11種のバッタの中にこのツマグロバッタが入っていました。そして今年の春にまとめられた調査結果によると、名古屋市内41の調査地点でツマグロバッタは1頭も見つかっていません。珍しいバッタなのでしょうか。今後も注目していくことにしました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
ツマグロバッタ

この日は参加者の中のトンボに詳しい小学生が活躍しました。中でもトンボのオスとメスの見分け方についてわかりやすい説明を聞き、みんなで実際にシオカラトンボを見て確認することができました。オスの胸の部分には生殖器の一部があり、そこでメスへの精子の受け渡しがされるとのことでした。トンボのつがいが2頭で輪になって飛んでいるのを見かけることがありますが、そのわけがよくわかりました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
シオカラトンボのメス シオカラトンボのオス

愛知県では緊急事態宣言に続くまんえん防止等重点措置はこの日で解除されました。しかし新型コロナウイルスの感染者数は相変わらず下げ止まりの傾向が指摘されています。そんな中での自然観察会でしたが、初めて参加する人の姿も多く見られました。自然の中での体験をみんなで共有する楽しさを再認識しました。

平和公園での観察項目:スズバチ,カマキリの幼虫,キイトトンボ,ウチワゼニクサ,ヒメタイコウチ,ケラ,ウスバキトンボ,ミドリシジミの卵,クマゼミの抜け殻,ヒメジョオン,アリ,カラスウリ,ナナフシモドキ,ショウリョウバッタ,オオウラジロ,スズメバチ,イグチ科のキノコ,マンネンタケ,ヒメウラナミジャノメ,シロテンハナムグリ,アメリカザリガニ,ガマの穂,カナブン,コシロシタバ,シオヤアブ,ソシンロウバイの偽果,ヤブキリの幼虫,ミソハギ,シロバナサクラタデ,セリの花,イセノナミマイマイ,クモの仲間,田んぼ,コハンミョウ,ヌマガエル,タカノツメの葉,カクレミノの葉,チドメグサ,ネブトクワガタ,ヨツボシオオキスイ,アジアイトトンボ,オジロアシナガゾウムシ,コフキゾウムシ,クズノチビタマムシ,クズノチビタマムシの食痕,ツマグロバッタ,シラタマホシクサ,ワレモコウ,ショウジョウトンボ,オオシオカラトンボ,シオカラトンボ,ヘクソカズラ,イネ
 

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