2021年 8月 8日(日)9:30〜11:20 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 新型コロナウイルスの感染状況が全国的にまた悪化してきました。愛知県では8月8日から31日まで「まん延防止等重点措置」がとられることが発表され、今月も自然観察会を中止することとなりました。以下を2021年8月の記録として残します。 里山の家を出てすぐにケヤキの幹でキマダラカメムシが複数見られました。成虫と幼虫の両方を見ることができました。南方系の外来種で、生息域が北上しているようです。
さとの道を進むとミコシガヤがいくつも花穂をつけているのに気づきました。茎に触れるとカヤツリグサ科らしい三角形をしているのがわかりました。そのそばではクモの卵嚢らしいものが葉についていました。
イボタノキはつい最近大きく刈り込まれたあとで、残った枝には実がついていました。その葉をよく見ると、特徴的な食痕があり、鱗翅目の幼虫のしわざではなさそうでしたが食べている昆虫を見つけることはできませんでした。
ヌルデには大きな虫こぶができていました。ヌルデミミフシというヌルデシロアブラムシの虫えいで、これを乾燥させたものは染料や漢方薬として利用されてきたそうです。イタドリには小さなつぼみがつき始めていました。またギボウシの花がたくさん咲いていました。
ガガイモの花が咲き始めていました。星の形の白い花には細かい毛がびっしりと生えていました。去年の冬にやわらかい毛の生えた種子の詰まった果実を観察しましたが、花を見たのは久しぶりでした。同じくヘクソカズラの花も内側には毛が密生しているのがわかりました。
ママコノシリヌグイの新芽にマルカメムシの成虫と幼虫が集まっていました。初めはクズでよく見かけるマルカメムシかと思いましたが少し様子が違い、タデ科につくタデマルカメムシとわかりました。ヤマノイモは花とむかごを見ることができました。むかごを一つ食べてみると、イモと同様に粘り気が感じられました。
足元のイネ科の植物の裏にシロツトガがとまっているのが見られました。灯火によく飛来するガです。ミズヒキの花は咲き始めたところで、写真を拡大してみると萼がピンク色と白色に色分けされた様子を確認することができました。すぐ近くのアケビの葉には食痕があり、アケビコノハの幼虫が見つかりました。特徴的な目玉模様が目立つガの幼虫です。
この日はこの観察会でよく見られるのとは違うゴミグモが見つかりました。シマゴミグモまたはヤマトゴミグモであると思われますが、両者は非常によく似ていて識別はできませんでした。また、イネ科の植物の葉陰にトリノフンダマシがいました。夜行性のクモで夕方張った網を早朝に片づけて昼間はじっとしています。シロオビトリノフンダマシの黒色型と思われます。
去年の9月にタヌキノカミソリを観察しましたが、この日はそれによく似たナツズイセンが咲いていました。花びらを見るとその違いは明らかで、タヌキノカミソリにあるピンク色の筋がナツズイセンには入っていません。カラスウリが思いのほかたくさんの場所で見られました。クロウリハムシがたくさんついて葉が食べられているものもありました。
さとの道沿いのアズマネザサは、ずいぶん丈が伸びて、人の背丈を大きく上回っていました。あまりにもびっしりと密生しているため、他の植物は入り込む余地がないように思われました。エビスグサが繁茂している場所があり、以前よりも数が増えているようでした。葉は3対の小葉からなる偶数羽状複葉で、何かに食べられたような痕がほとんどないのが印象的でした。
ノブドウの花が咲いていて、多数のキムネクマバチが吸蜜に訪れていました。またニイニイゼミが口吻を木の幹に刺しているのを観察することができました。
この観察会では初登場となるエビイロカメムシが見られました。幼虫、成虫ともにススキなどのイネ科の植物について汁を吸うそうです。成虫よりも幼虫の方が「エビ」らしい色をしているように思われました。
この日名古屋は最高気温が39度になるという予報で、さとの道の中ほどまでの間に相当参っていましたが、日陰に入ると少しは暑さをしのぐことができホッとしました。そして湿地にたどり着き夏の花を見て回りました。ヌマトラノオの花は小さくて可憐な印象で、トラのしっぽのイメージとはかけ離れているように見えました。
ミズギボウシやシロバナサクラタデなど、毎年観察する常連ともいうべき湿地の花は今年も健在でした。ミズギボウシは、この日の記録会の始まりの方で見たギボウシと比べると花はよく似ていますが、葉の形状が全く違いギボウシの方がずっと幅広の葉でした。
ワレモコウの花をよく見ると小さな花の集合でそれぞれにおしべとめしべが確認できました。おしべは黄色い花粉をつけていました。コハンミョウは普段よく飛ぶ甲虫で、なかなか近くで観察することができないのですが、この日はどういうわけかイネ科の植物の葉の上でじっとしているところを発見して近づいて写真を撮ることができました。
ウナギツカミの茎にはトゲがありますが、手で持てないほど痛いわけではなく、よく見るとトゲはすべて下向きに生えていました。田んぼのすぐ近くにクスノキの大きな切り株があり、周りにひこばえが出ていました。そしてその若い葉にはアオスジアゲハの幼虫がついていました。
今年もジュズダマの花を観察しました。丸い部分から出ている2本の細いものは雌花の柱頭で、その先の花粉をつけた穂が雄花なのだそうです。またジュズダマの葉の陰からアズチグモが出てきました。
畑に立ち寄るとオクラの大きな花が目を引きました。オクラはアオイ科の植物で、ハイビスカスやムクゲも同じ仲間とのことです。またコミカンソウが小さな実をつけていました。規則正しく並んだ葉は一見羽状複葉のようにも見え、初めはマメ科かと思ったのですが、実際に葉は互生でコミカンソウ科という科があるそうです。
この日は文字通りの酷暑で愛知県には熱中症アラートが発令されていました。また東京オリンピックの最終日でもあったせいか公園には人の姿がほとんどありませんでした。こまめに水分補給をして歩き、いつもよりも短い時間で記録会を切り上げましたが、帰宅後の体重は朝と比べて500gも減っていて驚きました。留まるところを知らない新型コロナウイルスの感染拡大の勢いですが、なんとか状況が良い方向に向かうように願っています。
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