2021年 9月 12日(日)9:30〜12:00 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 愛知県では緊急事態宣言が9月30日まで延長され、今月も自然観察会を中止することとなりました。以下を2021年9月の記録として残します。 今月もさとの道を進むことにしました。繁茂するイタドリの上にサトクダマキモドキがいました。
この日はほかにもイボバッタ、ショウリョウバッタ、オンブバッタなどたくさんのバッタの仲間を見かけ、ほとんどが成虫でしたが、ツチイナゴとクビキリギスは幼虫でした。ほとんどのバッタ目の昆虫は卵で越冬しますが、この2種は成虫で越冬します。
道端にはキツネノマゴやアメリカタカサブロウの小さな花が見られました。アメリカタカサブロウはその名の通りアメリカ原産の帰化植物で、このあと畑でも咲いているのが見られました。
イネ科の植物もたくさん穂をつけていました。キンエノコロやエノコログサ、メヒシバ、セイバンモロコシなどを確認しました。
他の植物にからみつくようにして伸びるカニクサを観察していると、その葉先にモンクチビルテントウが止まっているのに気がつきました。モンクチビルテントウは南方から移入してきた3mmほどの小さなテントウムシで、年々北上を続けているようです。
その近くでは、ほかにもモリチャバネゴキブリやアオズムカデが見られました。
大きく成長したナガコガネグモが見られ、張った網にはジグザグの隠れ帯が作られていました。一方でジョロウグモもたくさん見かけましたが、まだ十分な大きさには育っていないようでした。
ツマグロオオヨコバイは春ごろから普通に見かける昆虫ですが、この日はとりわけ大量に見られました。またイボタノキの枝上にヒヨドリのものらしい巣が残されているのに気づきました。枝からはずして中を調べた結果、その巣材の劣化の様子から今年のものではなく古い巣ではないかと推測されました。
ヨモギが大きく成長して、上部にはたくさんのつぼみをつけていました。ヨモギの上の方には切れ込みのない細長い全縁の葉ばかりがついていました。道沿いの足元にはマメアサガオの白い花が目立ちました。またオオニシキソウが極小の白い花を咲かせていて、同時に実もつけているところが確認できました。
ママコノシリヌグイの花が咲いていました。よく見ると葉がマメコガネに大きく食べられていました。先月たくさんの花を咲かせていたノブドウは実をつけていて、その色は紫、薄い青、青味がかった白などさまざまでした。
ヘクソガズラは花を咲かせているときにはわかりやすいのですが、花の季節以外にそれと確かめるには葉をもんでその匂いを嗅ぐ方法が簡単です。また葉には見た目の特徴があり、対生の葉の付け根に小さな托葉が見られればヘクソガズラとわかります。ハモグリバエの食痕のあるヘクソカズラの葉も見つかりました。その名の通り葉の中にもぐり、硬い葉脈を避けるように食べた痕が長く続いていました。
ツツジの葉にたくさんのハバチの幼虫がついていました。ルリチュウレンジの幼虫でした。頭部が黒いものと黄色っぽいものがいましたが、若齢のうちは黒く脱皮を繰り返すうちに黄色になるようです。近くに緑色の小さなウンカの仲間がとまっていて、ミドリグンバイウンカと分かりました。
今月もカラスウリにはクロウリハムシが多数見られました。葉の表面が丸く傷つけられた食痕が特徴的です。キンミズヒキの花が咲き、一部は実になっていました。この実はひっつき虫の仲間です。
シンジュの葉にハゴロモの仲間がとまっていました。ミドリグンバイウンカと同じカメムシ目の仲間で、はじめ夏の灯火にもやってきたことのあるアミガサハゴロモと思いましたが、よく見ると白い斑の形や眼が赤いところから別のハゴロモのようでした。足元のアップルミントにはヒメウラナミジャノメがとまって羽を広げていました。近くのシダの葉を裏返すと胞子嚢がきれいに並んでいました。
ミツバアケビの実がたくさんなっているのが見えました。ざっと数えただけで大きな実が10個以上ありましたが、残念ながら手が届かないものばかりでした。ガマズミには小さな赤い実がついていました。食べられると言われ試してみましたが、味はあまり感じられませんでした。
田んぼの脇のヤナギの木にツヤツヤのヤナギルリハムシがたくさんついていました。初夏に見かけるヤナギハムシはもういませんでした。その根元にはチドメグサが見られました。
炭焼き広場にさしかかる手前のサルトリイバラは日当たりのいい場所にあるせいか早くも実が色づき始めていました。畑ではピーマンの葉にヒメシャクの仲間がとまっていました。帰り道のアベマキにはたくさんドングリがなっていました。クヌギシギゾウムシが数多く訪れており、ドングリを順番に調べていくと次々と見つかりました。交尾中の雌雄を比べると、下になっているメスの口吻の方が長いように見えました。
9月に入り、新型ウイルスの感染者数は少し落ち着いてきました。このまま減少傾向が安定的に続き、さまざまな制約のない暮らしが戻ってきてくれるのが期待されます。毎回自然観察会が実施できるのかどうかヤキモキして待つ第2日曜日ですが、10月こそ通常通り開催できることを願います。
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2021年9月度の観察記録(PDF)です
| 2021-9-26 | 118 | |
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