2021年 10月 10日(日)9:30〜12:10 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 長い間続いてきた新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言がようやく解除され、久しぶりの自然観察会を実施することができました。今年の自然観察会は3月、7月しか開催できておらず、これでやっと3度目です。以前に比べると子どもの姿が少なめでしたが、たくさんの生きものの姿に出会うことができました。 さとの道を進みました。イボタノキの枝にスズメウリがツルを伸ばしていました。直径2cmほどの緑の実がいくつもなっていました。実の色はこれから白く変わっていくそうです。スズメウリは食べられると聞いたと言う参加者がいて、実際に数人が食べていました。あまり食べる部分がないように見えました。同じイボタノキの少し高い枝にはムネアカハラビロカマキリの卵鞘がついていました。近年在来種のハラビロカマキリへの侵食が問題視されている外来種ですがこの数年でこの卵鞘も珍しい存在ではなくなってしまいました。辺りにはアメリカセンダングサが勢いよく繁茂して黄色い花がたくさん咲いていました。もう少しするとこの花は種となり、嫌われ者のひっつき虫に変身します。
ゾウムシに詳しい参加者がカツオゾウムシを採って見せてくれました。茶色い粉を纏っているように見えました。足元ではボーベリア菌に侵された黒い虫が見つかり、わずかながら動いていましたが、菌に覆われた部分が多くて甲虫なのかカメムシなのかもわかりませんでした。行く先々で見つかるジョロウグモは多くが丸々と成長していました。
ハナグモを捕らえておなかの部分が何に見えるか子どもに尋ねると、「笑ってる顔」と答えていました。カラスウリはあちこちで見られましたが雌株が少ないのか実はあまり多くありませんでした。道端のチヂミザサは穂が育ち、触るとベタベタしていました。チヂミザサの粘液は洗濯しても取れにくく、カギ状の実がくっつくタイプのひっつき虫よりもやっかいだという人もいました。
参加者の女の子たちが次々と虫網でチョウをつかまえてきました。ヤマトシジミ、ウラナミシジミ、イチモンジセセリなどです。チカラシバやカゼクサなどイネ科の植物の穂もとてもたくさん目につきました。
8月に見たときは広い範囲に繁茂していたエビスグサですが、その後草刈りがされて数が減っていました。黄色い花とともに細長く伸びた豆の鞘が見られました。湿地の方へさしかかったあたりでウメモドキがたくさん赤い実をつけていました。またミゾソバが一面に咲いていてその中にシロバナサクラタデの花もところどころで見られました。
池の脇のミソハギでベニスズメの幼虫が見つかりました。ヘビに擬態しているとも言われますが効果があるのかどうかは不明です。またすぐそばにナシケンモンの幼虫もいました。ナシケンモンの幼虫には黒いタイプとオレンジ色のタイプがあり、去年の11月の自然観察会でも同じ場所で見つかっているのですがその時の幼虫は黒いタイプでした(写真円内は去年の幼虫)。
シラタマホシクサを見に行きました。今年もたくさんの花を咲かせていました。一緒に見られるスイランは、数が減っているのが心配されているそうです。そうしているところへ黒いガがヒラヒラと飛んできてとまりました。ホタルガでした。幼虫はヒサカキを食べます。
田んぼへ移動すると、色づいたイネが穂を垂れていました。もち米の「コハルモチ」という品種で、次の土曜日に稲刈りを予定しているとのことでした。近く杭にとまっていたのはヒメエグリバでした。この自然観察会では過去にアオツヅラフジについている幼虫を観察したことがありますが、成虫を見たのは初めてです。
この日が初参加という男の子はカマキリが大好きで、朝から「カマキリが採りたい」と言っていましたが、観察会が終わりに近づいた頃にオオカマキリが見つかり夢中で追いかけました。長い距離を飛んで高い木の上にとまってしまいましたが、柄を竹の棒につないで長くしてもらった虫網で追い込んで、時間はかかりましたが最後にはなんとか捕らえることができました。
コロナ禍に見舞われてからもう1年半以上が経ちます。多くの人が集まって自然観察会ができることが当たり前のことではなかったことに気づかされました。感染者数の波はまたいつかやってくるかもしれません。不安なく自然観察会が実施できる日が続くよう願います。
|
この記事の添付ファイル | |||
ファイル名 | 掲載日 | ヒット | |
10月度の観察記録
2021年10月度の観察記録(PDF)です
| 2021-10-24 | 136 | |
ページ移動 | |
9月度の観察記録 | 11月度の観察記録 |