朝から雨が降り,自宅から出るときに躊躇した人も多かったと思います.集合時間の少し前から雨はやんでいましたが,その後は降ったりやんだりで,観察会途中では,陽も少しだけ差すような天候で,傘を差したりたたんだりしました.秋の気配が濃厚で,街路樹のトウカエデ(唐楓,カエデ科)が,紅葉して大変きれいでした.ただし,個体差があり,並んでいても全体が紅葉しているものとまだ緑を維持しているものが例年のように混在していました.イチョウ(銀杏,イチョウ科)とサクラ(桜,バラ科)の黄葉もきれいでした.
新池には,アオサギ(青鷺,サギ科),ダイサギ(大鷺,サギ科)およびコサギ(小鷺,サギ科)がそれぞれ1羽ずつ来ていて,雨で多少水位があがっていましたが,開掘のため水を抜いていたため,池の真ん中で餌を採っていました.ヒヨドリ(鵯,ヒヨドリ科)とハクセキレイ(白鶺鴒,セキレイ科)は水面上を飛んでいました.集合場所の上の電線には,6羽のハクセキレイが風にあおられてとまったり飛んだりしていました.天候が良くなかったため,参加者は子供1名を含む17名でしたが,少人数でなごやかな観察会になりました.
集合場所で,参加者が持ってきたスダジイ(すだ椎,ブナ科)とマテバシイ(全手葉椎または馬刀葉椎,ブナ科)の煎ったドングリ(団栗)を食べながら,同じく参加者が持ち寄った木の実などを観察しました.ドングリを集めるときは,新鮮なものを選ぶため,尻が白くて落ちたばかりのものを拾うという話がありました.
報告では,アサギマダラ(浅葱斑,タテハチョウ科)とヤブマメ(薮豆,マメ科)が取り上げられました.ある参加者が,先月の観察会の後で,同じ場所に行ってもツルマメ(蔓豆,マメ科)は無かったので,やはり平和公園にはヤブマメしかないのではという報告がありました.ツルマメは,ヤブマメより1ヶ月くらい実のなるのが早いので,もう無かった可能性が高く,先月の観察では,確かに葉や実の特徴も違ったという意見が出ました.来年度,再度,確認することになりそうです. この後で,アオツヅラフジ(青葛藤,ツヅラフジ科),シロサワフタギ(白沢蓋木,ハイノキ科,別名:クロミノニシゴリ(黒実の錦織木)),エノキ(榎,ニレ科),カマツカ(鎌柄,バラ科),シャリンバイ(車輪梅,バラ科),シャシャンボ(小々坊,ツツジ科),センダン(栴檀,センダン科),タカノツメ(鷹の爪,ウコギ科)などの葉と実の付いた枝を観察しました.特に,アオツヅラフジの青い実の中の種は,アンモナイトの形をしているということで,果肉は毒だと言われても,噛んで種を出した人がいました.小さいですが確かにアンモナイトそっくりでした.シロサワフタギは,伊勢湾岸要素であるという説明もありました.また,アブラギリ(油桐,トウダイグサ科)とザクロ(石榴,ザクロ科)の実も観察しました.アブラギリの実は,戦時中に軍事用の油(有毒,塗料や油紙の原料)にするために集めさせられたという体験談も出ました.
平和公園に行く前に,傘を差しながら,新池の柵の中へ運動場から入りました.新池の南側の土手に置かれて,鳥よけの網をかぶせた2つの水槽の小魚などを網ですくって観察しました.外来種は駆除したそうです.水の循環は,洗濯機にお風呂の水を入れるポンプを使っていました.ギンブナ(銀鮒,コイ科),トウヨシノボリ(橙葦登,ハゼ科),モツゴ(持子,コイ科),サナエトンボ(早苗蜻蛉)科のヤゴおよびスジエビ(条蝦または筋蝦,テナガエビ科)などがいました.チョウトンボ(蝶蜻蛉,トンボ科)のヤゴではという人もいましたが,アカネ系のトンボは卵で冬を越すので,サナエトンボ科だということになりました.スジエビは,種々の生物の死体を掃除してくれるという話もでましたが,生きた魚も食べるようです.
水槽の横に,ヘドロの中から採ったスイレン(睡蓮,スイレン科)の根が網をかぶせて積まれていました.今回の業者への入札仕様では,水面清掃とヘドロの一部除去ということで,結局,スイレンの根を業者が除去できないということになり,ボランティアにより一部だけを区切って,試しに採ったのが積まれていたものでした.それも,ヘドロが付いていると処理業者が引き取らないので,きれいに洗ってありました.どちらにしても,大半のスイレンの根はヘドロの中に残っているため,来年も水面はスイレンで埋まる可能性が高いようです.
里山の家に寄り,新池で捕った大きなライギョ(雷魚,タイワンドジョウ科)を観察した後,平和公園にいつもの農道を通って入りました.アベマキ(阿部槙または?,ブナ科)の根元の樹液の出ているところに,オオスズメバチ(大雀蜂,スズメバチ科)が2匹いました.近寄らないようにトラ柵が周辺にしてありました.スズメバチに刺されたことがある参加者の体験談が出ました.ハチが近づいてきても,手ではらわず姿勢を低くするのがよいそうです.刺されても騒がず冷やして急いで病院に行くことを勧められました.1回目に刺された時でも病院に行って抗体検査を受けてアナフィラキシーの可能性を確認するとよいそうです.10%くらいの人が,抗体ができてしまうそうです.スズメバチに刺されて,1984年が最高で全国で73名が死亡し,最近は毎年30名程度が死亡するそうです.
芝生広場から東へ,舗装された斜面を登って行きました.途中で,ススキ(薄,イネ科)に似たウンヌケ(和名:牛の毛,イネ科)を観察しました.第?種絶滅危惧種に指定されているそうです.ウンヌケモドキ(イネ科)との違いは,茎の根元に毛があることだそうです.ススキと違って,葉の表面が粗くて,裏面に光沢がありました.また,集合の時に見たアオツヅラフジもあり,濃青色の実を沢山つけていました.蔓は左巻きでした.近くで,男の子がソヨゴ(冬青,モチノキ科)の赤い実に小さな黒い穴があいているのを見つけました.穴が数個あいているものもあり,よく観察すると穴は種まで達していました.卵を産み付けた穴か,虫が出てきた穴かという疑問がでました.
ヌルデ(白膠木,ウルシ科)が見事に紅葉していました.独特の実を付けているものもありました.舗装されている小径の上でケバエ(毛蠅,ケバエ科)の幼虫のコロニーを2つ見つけました.大きい方は約300匹がうごめいていました.多分,舗装の上の犬のフンに産卵されて,生まれた幼虫だろうということになりました. 感想会は,パンパスグラス(和名:シロガネヨシ,イネ科)の前の椅子が整備された場所で行いました.ウグイス(鶯,ウグイス科)のチャチャという地鳴きが周辺で聞こえました.後ろの方にはアオギリ(梧桐または青桐,アオギリ科)が黄葉して落ちかけていました.ここで,また雨が降ってきて傘を差さざるをえなくなりました.鳥の巣箱をかけるのは,環境によいのかという話に対して,ずっと面倒をみるつもりならよいが,普通は環境にはよくないという話がありました.巣箱は木の穴などを巣として利用する特定の野鳥しか使わないので,鳥類相のバランスを崩すなど多くの問題があるようで,周辺環境をよく理解し,かなり限定した使い方が必要と言われています.愛鳥週間などに,安易に巣箱をかけることは,最近少なくなりましたが,環境の破壊につながるという認識も必要なようです.
観察項目:アオサギ,ダイサギ,コサギ,ハクセキレイ,セグロセキレイ,シジュウカラ,ヒヨドリ,スダジイのドングリ,マテバシイのドングリ,実の付いた枝(アオツヅラフジ,オオバヤシャブシ,シロサワフタギ(クロミノニシボリ),クスノキ,ソヨゴ,シャシャンボ,シャリンバイ,ビナンカズラ,センダン,エノキ,タカノツメ),コブシの実,ザクロの実,アブラギリの実,ギンヤンマのヤゴ,サナエトンボ科のヤゴ,マツモ,スイレンの根,ギンブナ,トウヨシノボリ,スジエビ,カワセミ,ウシガエル,ライギョ,ナンテン,トウチク,オオスズメバチ,ウンヌケ,穴のあいたソヨゴの実,コバノガマズミ,アオツツラフジ,ヌルデ,ウグイス地鳴き,アオギリ(概ね観察順) |
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2007年11月度の観察記録 | 2008-7-19 | 870 | |
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