2022年 5月 8日(日)9:30〜12:30 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 ゴールデンウィーク最終日はさわやかな初夏の装いとなりましたが、意外にも平和公園には人が多く来ていない印象でした。自然観察会もいつもより子どもの参加者が少ない中、たくさんのイモムシケムシに出会いながら歩きました。 最初にカイコの原種と言われるクワコを見に行きました。同じクワの木にサイズの異なる2頭の幼虫が見られました。確かにカイコの幼虫の姿によく似たシルエットをしていました。そのすぐそばでハンゲショウが紹介されました。ハンゲショウは一般的に葉に白い斑が入ることが知られていますが、これは昔から白くならないそうです。
足元をザトウムシが何匹も歩いていました。この観察会では久しぶりの登場です。前から2番目の1対の脚を盲人の杖のように動かしながら歩く姿からその名がついたと説明がありました。ザトウムシが歩くその草むらにミツバが生えているのに気づいて葉を摘んでその匂いを確かめました。近くには葉の形がよく似たキツネノボタンも見られ、こちらには毒があるので誤って食べないようにと注意がありました。
少し歩いて別のクワの木を観察すると、実がつき始めていました。近年は実が熟す前に病気になってしまうことの多いクワの実ですが、今年はどうでしょうか。またオオシマザクラもたくさんの実が色づき始めていました。このサクランボは熟せば食べることはできるが美味しくないとのことでした。
シホウチウクの手触りを確かめてみました。その名の示す通り、稈の部分は角ばって、ザラザラしていました。スイバは雌雄異株と紹介されましたが、この辺りでは雌株ばかりが目につきました。よく似たギシギシと見分けるには葉のつき方を見るのがわかりやすく、茎を抱くように葉がつくのがスイバとのことでした。
イタドリがあたり一面に群生していました。この辺りではヒメウラナミジャノメやヤブキリの幼虫、ハムシの仲間など、いろいろな昆虫が次々と現れて参加者の足が止まりました。イタドリに巻きついて伸びるガガイモの葉ではチャバネツヤハムシが交尾していました。これはガガイモの葉を食べるハムシだそうです。
道沿いのイモカタバミは広い範囲で花を咲かせていて、年々その数を増やしているようにも見えました。そのすぐそばではノイバラの花が満開で、こちらはいい香りがしました。
何かに葉を食べられたエノキを調べると、葉の裏にテングチョウの蛹がついていました。成虫で越冬するチョウなので、この春孵化した幼虫が成長して蛹になったと思われます。コナラの葉裏にはベニヘリテントウと思われる蛹も見つかりました。
ガマズミを観察していた参加者が、幹を這っているトビズムカデを見つけました。かなり大きな個体で上の方から降りてきました。マルバヤナギは実がふくらんでいました。柳絮と呼ばれる白い綿毛を伴った種を飛ばし始めるのはもう少し先になるようでした。
ゾウムシに詳しい参加者が、マツの倒木の樹皮をめくって見つけたマツノシラホシゾウムシを紹介してくれました。幼虫と蛹が1個体ずつ見つかりました。また別の参加者が見つけたヤママユの幼虫はコナラの幼木についていました。まだまだ大きくなりそうで、その幼木についている葉だけでは餌が足りなくなるのではないかと思われました。
そのほかに、エノキについたミツボシキリガの幼虫、サルトリイバラについたルリタテハの幼虫、コナラについたオオトビモンシャチホコの幼虫など、チョウやガの幼虫が次々と見つかりました。
この日はコムラサキを何度も見かけました。ヤナギ類を食草とする美しいチョウです。飛ぶのが速くカメラに収めるのが難しいのですが、観察会の最後にその姿の写真を撮ることができました。
毎年この季節は子どもの参加者が多く、昆虫ばかり見ているのはそのせいかと思っていましたが、今回のように子どもの参加が少なくても撮った写真は圧倒的に虫が優勢になっていました。これから少しずつ雨の季節が近づき気温も上がる中での植物の変化にも注目していきたいと思います。
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5月度の観察記録
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| 2022-5-22 | 254 | |
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