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2022年6月度の観察記録
2022年6月度の観察記録です。

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2022年 6月 12日(日)9:30〜12:15

作成:田畑恭子 監修:瀧川正子
写真協力:伊藤義人氏
参加者:大人 33名,子ども 8名 天気:晴れ

久しぶりに大勢の参加者を迎えて、里山の家は早くから大賑わいでした。前日の雨は明け方まで続き梅雨入り間近と思われましたが、貴重な晴れ間の広がる中、気持ちのいい時間をみなさんと共有することができました。

里の道を進みました。イボタノキの葉にはいろいろな食痕が見られましたが、食べている昆虫は見つけられませんでした。イネ科の植物の葉の裏にはキマダラカメムシのものと思われる卵が産みつけられていました。肉眼では難しいのですが写真を拡大すると並んだ卵の隙間から黒いものが見られ、これは親から子へと受け渡される「共生菌」のカプセルと紹介されました。またこの日は昼間に活動するガの仲間、カノコガが何度も見かけられました。コムラサキの花が咲き始めていて、匂いを確かめるとほんのりと優しい香りが感じられました。

(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
キマダラカメムシの卵 カノコガ コムラサキ

里の道沿いにはイモカタバミが群生しているところがありますが、この日はその名の由来となっている根を掘ってみることにしました。3株ほどを掘り、どれも根が芋状になっていることがわかりました。近くにオッタチカタバミが咲いていたので、同じく掘ってみましたが、こちらは芋と呼べるような根ではなく、小さな豆粒状になっているのが確認できた程度でした。少し進んだところにムラサキカタバミも見つかり、この根を確認すると球根状になっていました。

イモカタバミ(名古屋平和公園) オッタチカタバミ(名古屋平和公園) ムラサキカタバミ(名古屋平和公園)
イモカタバミ オッタチカタバミ ムラサキカタバミ
イモカタバミの根(名古屋平和公園) オッタチカタバミ(左)とムラサキカタバミの根(名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
イモカタバミの根 オッタチカタバミ(左)とムラサキカタバミの根

イモカタバミの葉を使って10円玉をこすると、サビが取れてピカピカになるのをみんなで実験してみました。カタバミの仲間は葉にシュウ酸が含まれているので、その働きでサビが取れるとのことでした。

イモカタバミの葉で磨いた10円玉(左)(名古屋平和公園) (名古屋平和公園) (名古屋平和公園)
イモカタバミの葉で磨いた10円玉(左)

参加者の大学生が、大きなトビズムカデを捕まえました。初めて間近で見た子どもたちは大きな声を上げてはしゃいでいました。スズコナリヒラタケのタケノコが竹林からはみ出していくつも頭を出していました。この森で竹林の整備をしている参加者から、簡単に折れるタケノコのうちに退治すると手間が省けると聞き、多くの参加者が次々と蹴り倒していきました。エノキの木の下で、葉の主脈は3本のものがほとんどで、付け根から半分くらいには鋸歯がなく、葉先に近い部分にあると説明があり、実際に葉を観察して確かめました。

トビズムカデ(名古屋平和公園) スズコナリヒラタケ(名古屋平和公園) エノキの葉(名古屋平和公園)
トビズムカデ スズコナリヒラタケ エノキの葉

クサカゲロウの仲間を捕らえた参加者の女の子は金属光沢を放つ複眼に見入っていました。いぶし銀のビーズのようでした。少し離れた場所で参加者の青年がコクワガタを捕らえて見せてくれました。小さなオスで、大顎が小ぶりなので一見メスと間違えそうでした。目の前のコナラの幹を見るとキマワリが歩いていました。

クサカゲロウの仲間(名古屋平和公園) コクワガタ(名古屋平和公園) キマワリ(名古屋平和公園)
クサカゲロウの仲間 コクワガタ キマワリ

田んぼに出て生きもの探しをしました。2週間ほど前に田植えが済んだばかりですが、イネが一回り大きく育っていました。よく見るとその葉には小さなゾウムシが多数とまっていました。イネの害虫のイネミズゾウムシで、一人5頭捕まえて、と声をかけられた子どもたちは次々と捕まえ始め、50頭ほどが15分ほどの間に集まりました。この数字からここにはこの虫が無限に発生していると言えると言う人もいました。水路で水網を使って生きもの探しをしていた青年はヌマガエルとハイイロゲンゴロウをみつけました。

田んぼの観察(名古屋平和公園) イネミズズゾウムシ(名古屋平和公園) ハイイロゲンゴロウ(名古屋平和公園)
田んぼの観察 イネミズズゾウムシ ハイイロゲンゴロウ

あちこちで今年のオタマジャクシが上陸したと思われる小さなニホンアカガエルがはねていて、子どもたちが夢中で追いかけていました。昆虫好きの青年がオオスズメバチの女王バチを捕らえると、大人も子どもも興味津々の様子でケースをのぞき込んでいました。女王バチは自分が命を落とすと子孫を残せないため、人に対して攻撃してくることはめったにないというその青年の説明が印象に残りました。田んぼの脇のヤブガラシに黒いイモムシがついているのを子どもの参加者が見つけました。セスジスズメの幼虫でした。ヤブガラシはセスジスズメの幼虫の食草ですが、そこにはあまり葉が残っておらず、もう少しで食べ尽くされてしまいそうでした。

ニホンアカガエル(名古屋平和公園) オオスズメバチの女王(名古屋平和公園) セスジスズメの幼虫(名古屋平和公園)
ニホンアカガエル オオスズメバチの女王 セスジスズメの幼虫

ヒメギスの成虫を捕まえた参加者がいました。この日はほかにヤブキリの成虫も捕らえられ、先月までの観察会で見かけたたくさんの幼虫はこの日は見られませんでした。季節の移ろいを実感しました。帰り道ではイネ科の植物の葉の裏にシオカラトンボのヤゴの抜け殻がくっついているのを見つけました。水路から中道を横切ってきた位置にあり、羽化のためにヤゴが長い距離を歩いてきたことがわかりました。最後に久しぶりに色よく熟したクワの実をみんなで食べました。触れるとぽろっと落ちるくらいの状態のものが十分熟していると教えられ、子どもも大人も次々と食べていました。

ヒメギス(名古屋平和公園) シオカラトンボの抜け殻(名古屋平和公園) クワの実(名古屋平和公園)
ヒメギス シオカラトンボの抜け殻 クワの実

この日は気温も上昇し時折日差しも強くなる晴天でしたが、東海地方ではこの2日後に梅雨入りの発表がありました。森の木も草も雨に濡れ、田んぼのイネも一気に生長していく季節です。これからもそんな生きものたちの姿を観察するのが楽しみです。

平和公園での観察項目:ヒメジョオン,イボタノキ,コムラサキ(花),ナミテントウ,キマダラカメムシの卵,イモカタバミ,ノリウツギ,ニシキギ,アカメガシワ,トビズムカデ,オッタチカタバミ,オオカマキリの幼虫,スズコナリヒラタケ,ムラサキカタバミ,アズマネザサ,エノキ,カキノキ,アップルミント,ヒメジャノメ,ツチイナゴ,ハシブトガラス,クロハナムグリ,オジロアシナガゾウムシ,ネブトクワガタ,アカガネサルハムシ,ミツバアケビ,ザトウムシ,コクワガタ,クサカゲロウの仲間,樹液,コシアブラ,ベニヘリテントウの抜け殻,イセノナミマイマイ,ネズミモチ,シャクガの仲間,ゼンマイ,オオスズメバチの女王,クロスジギンヤンマ,イネミズゾウムシ,オオシオカラトンボ,イネ,ヌマガエル,ハイイロゲンゴロウ,ヒメギス,アメリカザリガニ,ヨツモンカメノコハムシ,ニホンアカガエル,キノコの仲間,セスジスズメの幼虫,シオカラトンボの抜け殻,カノコガ,クワの実,アカサシガメ,ヤブキリ,モンシロドクガの幼虫,ウシガエルの声,ウグイスの声
 

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