2022年 7月 10日(日)9:30〜12:10 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 降りしきる雨にもかかわらず、この日が初めてという参加者が何人も来てくれました。少人数での開催となり、低めの気温にも助けられていつもよりも長い距離を歩き、たくさんの生きものの姿を観察することができました。 初めにこの自然観察会の代表に案内されて希少種のナツハゼを見に行きました。名前にハゼとついていますがウルシの仲間ではなくツツジ科の植物で、周辺のツツジの保護活動の際に見つかったとのことでした。中道に戻りオタマジャクシ池のショウブを見るとツマキホソハマキモドキがたくさん羽化していました。金属光沢を放つ美しい翅を持つ小さなガです。ショウブを食草としています。この日は行く先々でイセノナミマイマイが活動しているのを目にしました。
畑で育つ作物を観察しました。サトイモの葉は雨粒をはじき、両手で持って揺らすとちらばっていた水滴がコロコロと転がり一つに集まりました。葉の表面の特殊な凹凸の効果であるという説明を聞きました。ゴーヤ(標準和名はツルレイシ)がツルを伸ばしていくつも花を咲かせていました。咲いているのは雄花ばかりだったので雌花を探すと、まだ硬い蕾が見つかりました。雄花にはアリが来ていました。
ジャガイモの葉を調べるとニジュウヤホシテントウが二頭いて、その食痕も多く見られました。すぐそばでコシロシタバが見つかりました。普段は食草であるコナラなどの幹で見られることが多いのですが、ここでは濃い色の石垣にとまっていて、保護色のようになっており、自分の翅の模様と似ている場所を探した結果ここへ来たのだろうか、と話す参加者もいました。
湿地へ移動すると茶色いガマの穂が目につきました。シロバナサクラタデやミソハギの花も咲き始めていました。
ナンキンハゼに目をやると見事な花盛りで、たくさんの花穂を伸ばしていました。湿地沿いを歩くうちにヒメカメノコテントウやヨツスジトラカミキリ,コシロシタバやマメキシタバ、トビズムカデなどを次々と観察しました。ヨツスジトラカミキリはアシナガバチに擬態していると言われています。
朝までの雨は相当な量になり、中道沿いのせせらぎは今までにないくらい増水して、ところどころで音を立てて流れていました。
田んぼの脇を歩くと小さなカエルが次々に水の中に飛び込んで行きました。ウキクサがたくさん浮いている中に顔を出しているヌマガエルもいました。さらに進むと木の幹にスマートフォンを向けて写真を撮っている家族連れに出会いました。大きなナナフシモドキがとまっていました。秋になると濃い紫色の実をつけるヨウシュヤマゴボウが花を咲かせていました。
ウマノスズクサのラッパ状の花は開花初日には筒の部分の毛が内向きに生えていて蜜を求めて入ったハエを付け根の子房部屋に閉じこめたあとおしべが花粉を出し、翌日になると筒の毛がしなびて花粉をつけたハエを外に出す、というしくみになっているそうです。前日から咲いていた花を一つ取って調べると確かに中からハエが出てきました。ウマノスズクサを食草とするジャコウアゲハの幼虫も見られました。
去年の9月の自然観察会で初めて記録した外来種のハゴロモがまた見つかりました。最近では在来のハゴロモよりも目にする機会が多くなっています。帰り道ではヒカゲノカズラの胞子嚢を観察しました。また今まで見た中でもかなり長いオオミスジコウガイビルが倒木の上を這っていました。参加者が持参したものさしを使って調べると優に40センチはありそうでした。
雨は出発して間もなく止み、雨上がりの自然観察会となりました。久しぶりの大雨のあと、あちらこちらで水たまりの中を歩くことになり、子どもたちの運動靴は水浸しになってしまいました。でも雨の日ならではの生きものの様子を観察することができました。
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