2022年 8月 14日(日)9:30〜12:00 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 連日最高気温が35度前後となる猛暑が続いてきましたが、この日は明け方まで雨が降った影響か連続熱帯夜の記録は途切れて猛暑は一休みとなりました。虫網や虫カゴを手にした夏休み真っ最中の子どもたちの姿も見られました。
ヨシの葉が不思議な形に綴られているのを見に行きました。この葉をはしご状に綴ったのはメイガの幼虫とのことで、今後の様子を観察しようということになりました。トンボに詳しい少年がシオカラトンボのお腹の先を水につけて産卵させていました。このトンボは体の色が青白く、一見オスのようでしたが、オス型メスというそうです。中道沿いのコナラの幹のうろの中ではキセルガイが歩いていました。
久しぶりにウシカメムシの成虫に出会うことができました。その形と模様がウシの顔に見えるというので人気のあるカメムシだそうです。アベマキの実がつき始めているのを観察していたら、小枝の葉の陰にオスのコクワガタが隠れていました。そこへ畑のアキニレの枝に小さなアシナガバチの巣がついているのを持ってきた人がいました。作りかけのようにも見えましたが、詳細はわからず、蛹室のフタが明るいレモン色なのが印象的でした。昆虫に詳しい青年がこの巣はヤマトアシナガバチのものであると教えてくれました。珍しいハチで、この黄色いフタこそが同定の決め手になるとのことでした。
田んぼの中にしかけたアメリカザリガニを捕獲するためのもんどりを引き上げてみることになりました。中にはたくさんのアメリカザリガニの死骸があり、4匹の大きなザリガニが生きていました。共食いの結果と思われました。この田んぼには希少な植物であるトリゲモが育っていて、アメリカザリガニはそのトリゲモやイネを食べてしまう可能性があり、また穴を掘る習性のせいで水漏れの原因にもなるということで、駆除に努めているそうです。
田んぼの周辺の植物を観察しました。アメリカタカサブロウはその名の通り外来種ですがその地味に見える小さな花をよく観察すると精巧なつくりになっていました。そのとなりにはヒレタゴボウの黄色い花が咲いていました。すぐ近くではイラクサ科の植物が穂状の花をつけていて、その場ではアカソかヤブマオと言われました。あとで調べるとどの図鑑を見てもアカソには「葉が三裂する」という説明があり、これはアカソではなくヤブマオのようです。
湿地に差し掛かるとミソハギの花があたり一面咲いていて、その中にナガコガネグモが網を張っていました。大きなサイズの成虫でした。先月はつぼみが膨らみ始めていたシロバナサクラタデも今月はたくさんの開花が見られました。ワレモコウの花を見た参加者が、つぶさに観察すると小さな花が密集していることに気づいて感心していました。
虫好きの大学生がイオウイロハシリグモの雌を虫網で捕らえてくれました。白くて大きな卵嚢を抱えていました。卵が孵化するまで持ち運んで守るそうです。湿地ではほかにミズギボウシ、サギソウの花が咲いていましたが、どちらも数は多くはありませんでした。 ※この日のサギソウの花の数を数えたところ19であったと後日報告がありました。
雑木林の間を抜けて帰り始めました。久しぶりに木の根元に集まったゴマフボクトウのフンを見かけました。湿った地面に特徴的なフンが鮮やかに目立っていました。里の道を通る途中、イネ科の植物にトビイロハゴロモが止まっているのを見つけた参加者がいました。とび色というと赤茶色を思い浮かべますが、白っぽい印象のハゴロモでした。
道沿いにはキク科の植物がいくつか見られ、小さな白い花がたくさん開花していたのはキダチコンギクでした。ベニバナボロギクは初め筒状のつぼみが頭を垂れているように見えましたが、この植物は舌状の花びらを持たず、これが開花した状態であることがわかりました。
最後にイシミカワとママコノシリヌグイの見分け方について確認しました。両者はよく似ていますが、葉を裏側から見るとその違いがわかりやすく、イシミカワの葉は葉柄が葉の内側に入り込んでいます。ママコノシリヌグイではそのようなことはなく葉柄は葉の端に続いています。
ツクツクボウシの声が響く森は日陰に入るとやや涼しさも感じられ、少し秋の気配を見せ始めていました。たくさんの子どもたちを迎えて、初めは今日の写真は昆虫ばかりになるのではないかと思われましたが、田んぼや湿地の植物の様子も観察でき、盛りだくさんの内容になりました。虫の観察に夢中になるあまり水分補給がおろそかにならないように注意を払いながら夏の観察を楽しみました。
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