2023年 2月 12日(日)9:30〜12:10 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 2月の観察会は本来最も寒さの厳しい時期に当たるのですが、この日名古屋の最高気温は18℃、例年の気温を大きく上回りました。動植物の動きの少ない季節ですが元気な子どもたちと一緒に生きもの探しを楽しみました。
オタマジャクシ池でニホンアカガエルが産卵を始めたと聞き、見に行くことにしました。オタマジャクシ池の上方の池も含めてたくさんの卵塊が見られました。卵塊の数を数えると、中段だけで18個も見つかり、用意したプラスチックの容器に入れて観察しました。
池のそばのエノキの根元ではゴマダラチョウの幼虫探しが始まっていました。落ち葉の裏で冬越しをしている幼虫が複数見つかりました。またすぐ脇のジャノヒゲをかき分けて、光沢の強い青い実をつけているのを観察しました。
中道を進み、道沿いのツツジの仲間の新芽を観察しました。モチツツジの葉には毛が多く葉先は丸みがかっていました。ヤマツツジの方は毛が少なく光沢を帯びていて葉先がとがっていました。コバノミツバツツジはまだ芽吹いていませんでした。
アベマキの樹皮についたクロウリハムシを見つけた参加者がいました。クロウリハムシは夏にはカラスウリの葉でよく見かけます。成虫で冬越しするとのことでした。
アベマキの木の下にはドングリがたくさん落ちていて、中には根を出しているものもありました。畑の脇のソシンロウバイは今年もたくさん花をつけていい香りを放っていました。
水路に水網を持った参加者の子どもたちが集まって、水の中の生きもの探しをしていました。つどいの丘には紅白のウメがありすが、コウバイの方はすでに満開でしたがハクバイはまだちらほらとほころび始めた花が見られる程度でした。
つどいの丘を横切って湿地の方へ降りると、水たまりでアメンボが動いていました。参加者の大学生が持参の容器で捕らえると、シマアメンボと分かりました。夏の間に多く見かけるアメンボのイメージと違って体形は丸みを帯びて、翅がありませんでした。通常のシマアメンボは無翅型なのだそうです。模様をよく見るとシマではなく印象的な幾何学模様のようでした。
里の道では在来種のハラビロカマキリの卵鞘が2個続けて見つかりました。先月は外来種ムネアカハラビロカマキリの卵鞘ばかり見つかり心配しましたが、在来種の卵鞘が複数見つかったのは嬉しいことでした。昆虫に詳しい参加者が、この2種のカマキリの産卵場所について、太い幹に産みつけられているのは在来種の卵鞘であると教えてくれました。
湿地から里の道に抜ける雑木林沿いの足元には、シダの仲間がたくさん見られました。ハナワラビの仲間は前にもこの場所で胞子嚢を観察しました。ベニシダと教えられたシダの葉裏には小さな丸い粒状の胞子嚢が規則正しく並び、トラノオシダの胞子嚢は大きめのだ円型でした。
そのほかにもヤブソテツの仲間、イノモトソウ、ヒカゲノカズラを次々と観察し、シダの仲間の胞子嚢の形やつき方はそれぞれで、葉の裏につくものだけではなく穂状になって伸びるものがあるという話が出ました。
去年の夏にエビスグサを観察した場所には、種の入った鞘が枯れたまま残っていました。種の形は六面体に近く、ロッカクソウとの別名もあるようです。この観察会でエビスグサはハブ茶の原料であると何度か耳にしてきましたが、調べてみるとこの種子を炒ったものを煮出して作ることがわかりました。
近くのシンジュの幹にシンジュキノカワガの繭がついているのを見つけました。シンジュキノカワガは南方系のガで、今のところ名古屋の気温下では冬越しできないと言われています。この繭は成虫が出た形跡がなかったので、中を調べてみることにしました。参加者の青年が繭をはがすと、中から蛹が出て来ました。すでに死んでしまった蛹でしたが、よく見ると特徴的な翅の模様が透けて見え、羽化間近であったことがうかがわれました。
ノイバラは早くも新芽から若葉が伸び始めていて、周囲の冬景色の中でひときわみずみずしく映りました。近くのサクラの幹にシロフフユエダシャクのオスがとまっているのを見つけた参加者がいました。このガは冬越しをしているのではなく、冬に活動する仲間です。
大学生の参加者が、倒木から黒光りする幼虫を探し出しました。ゴミムシの仲間とのことでした。最後にガガイモの実を観察すると、中にはたくさんの種がびっしりと、そして整然と並んでいました。子どもたちが種を取り出すと、やわらかで毛足の長い綿毛が広がりました。
気温が高い上にほとんど風が吹かず、子どもたちの中には上着を脱いで走り回る子もいました。春はもうすぐそこまで来ているようです。
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