2023年 4月 9日(日)9:30〜12:15 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 芽吹き始めた木々の緑が美しい季節になりました。よく晴れて心地のいい風が時折吹く中、ここ数年では行っていなかった奥池まで歩き、さらに南尾根を通って帰る長い距離を移動しました。 もうすっかり4月の自然観察会の定番となったミノウスバの幼虫を見に行きました。例年通りの様子で新緑のマサキの葉に群がっているのを確認することができました。そのすぐ近くで子どもたちが見つけたのはキバラヘリカメムシでした。その名の通り腹部の黄色が目立ちました。すぐ近くでクワの花が咲いていました。クワは雌雄異株で、6月に実をつけるこの株は雌株、花は雌花ということになります。そこへクワハムシが訪れていました。
続いてオオイヌノフグリの実を観察しました。先月花を見た時にその名は実の形が由来となっているということが話題になり、実の観察は今月の宿題となっていました。アンズの木の新芽でモモチョッキリを見つけた参加者があり、その美しい金属光沢を身にまとった姿にみんな感激していました。モモチョッキリは同じ木の別の枝にもう一頭いました。また落ちていた朽木の割れ目にマクラギヤスデが隠れているのを子どもが見つけました。
先月はギシギシの葉の裏にコガタルリハムシの卵がたくさん産みつけられていましたが、この日ギシギシの葉を裏返すと孵化したばかりの幼虫を見つけることができました。中には幼虫に食べられてレース状になったギシギシの葉も見られました。辺りの草むらではハルジオンの花が咲き始めていました。茎の中がストローのように空洞になっているのを確認しました。また中道沿いのコバノミツバツツジやヤマツツジは満開の花をつけていました。
里山の家近くのオタマジャクシ池ではあまり見当たらず心配されたニホンアカガエルのオタマジャクシですが、田んぼの手前のヨシ原ではたくさん泳いでいる姿を見ることができました。田んぼのあぜ道ではレンゲの花が咲いていました。中には実になっているものもあり、さやが放射状に伸びていました。このさやはこのあとねじれて弾けるように種を遠くに飛ばすそうです。田んぼの周辺にはヌマガエルがはねていて、子どもたちがあとを追いかけていました。
この日はできるだけ長い距離を歩こうと、何度も参加者に声かけをして先に進むよう促した結果、11時前には田んぼを通過しました。その先のシキミの花を観察していると、参加者の一人がハランを紹介してくれました。花は葉の根元の地面すれすれに咲いていて、教えてもらわなければ気づくのは難しそうでした。道沿いにはヒカゲノカズラが茂っていました。シダの仲間と紹介され意外と感じる参加者もいるようでした。
ハランの花の咲いていた草むらからナナフシモドキの幼虫が出てきました。身体も脚も細く、特徴のある歩き方でゆっくりと動いていました。初めて見ると言う参加者が多くいました。カラタチの白い花が目を引きました。その枝の上の方にムネアカハラビロカマキリの卵鞘がついていたので、駆除のため持ち帰りました。トウチク林を抜けると一重のヤマブキの花の鮮やかな色が目を引きました。
イロハミミジと聞くとその秋の紅葉の美しさがまず思い浮かびますが、春には春の姿があり、数えきれないほどの鮮やかな色の小さな花が咲いていました。ある参加者は「モミジのお花見」と表現していました。その先の花が終わったコブシの木には実がつき始めていました。急ぎ足でエニシダやサクラ、オオカマキリの卵鞘などを観察しながらさらに進み、ついに中道の終点、奥池まで到達しました。すぐそばにあるポンプで地下水をくみ上げ、せせらぎへ流しているとの説明を聞いたあと、南尾根を通って帰ることに決めました。歩き始めると道の脇にはアヤメによく似た雰囲気の花が見られ、シャガと教えてもらいました。
南尾根沿いではサワフタギやコバノガマズミが白い花を咲かせていました。最後にオケラを観察しました。秋に可憐な白い花が咲く植物で、ここ東山の森ではこの場所でしか見つかっていないそうです。日当たりがよくないのが気がかりとのことでした。
久しぶりに南尾根を歩きました。尾根道には見るべきものが少なくて面白みがないという考えもあるようですが、何年かぶりに歩き以前に比べて木々が大きくなっているのに気づきました。長い年月の経過にしばし思いを馳せた今月の自然観察会でした。
|
この記事の添付ファイル | |||
ファイル名 | 掲載日 | ヒット | |
4月度の観察記録
2023年4月度の観察記録(PDF)です
| 2023-4-23 | 59 | |
ページ移動 | |
2023年3月度の観察記録 | 2023年5月度の観察記録 |