2023年 5月 14日(日)9:30〜11:30 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 久しぶりに終始傘をさして歩く観察会となりました。雨に濡れた木々や草花もまた美しく、道すがら出会う生きものの姿も色鮮やかに映りました。初めての参加の親子も加わり、ゆったりとくらしの森を歩きました。 中道を歩き始めると、子どもたちがさっそくカエル池で生きもの探しを始めました。持参の水網にはヌマエビの仲間と小さなアメリカザリガニがかかりました。カエル池のほとりでは白い花をたくさん咲かせたノイバラが目立ちました。
雨の日の観察会は例外なく多くのカタツムリに遭遇します。この日も至る所でイセノナミマイマイが活動していました。マサキの花はまだつぼみばかりで、咲いている花はありませんでした。すぐそばのクワは先月花が咲いていましたが、この日は実が少しずつ熟し始めていました。すでに黒くなり始めている実もあり、今年は熟す時期が例年よりも早いのかもしれません。
そのクワの葉にキジラミがたくさん発生していて、それを捕食するハラグロオオテントウの幼虫も多数見られました。大坂池の周りの樹木を観察しました。アンズやウメは実が大きくなっていました。イボタノキの花はちょうどほころび始めたところでした。カキノキにも花が咲き、小さな実もつき始めていました。
コバネイナゴを捕らえた参加者がいました。この時期にしてはずいぶん大きくなっているとの声が聞かれました。ソヨゴの小さな白い花は目立ちませんが可憐な印象でした。参加者の大学生がアリグモの仲間を見つけて紹介すると、みんな口々に、教えてもらわなければアリと思って見過ごしてしまうと感心していました。
この日多くのクモを見かけましたが、中でもワカバグモについて新しく学ぶことができました。ワカバグモは網を張らないクモで、これまで自然観察会ではよく見かけてきましたが、その雌雄の区別について取り上げられたことはなかったように思います。参加者の大学生がワカバグモのメスとオスを示してそのはっきりとした外見上の違いを教えてくれました。
草むらのヘビイチゴが大きな実をつけていました。食べても害はないけれども味もないとのことでしたが、犬の散歩のコースであることも考えて、食べてみるのはやめておきました。
中道沿いのネジキには白いつぼみが下向きについているのを観察しました。大きく膨らんで、もう間もなく開花すると思われました。畑の近くで早春に花の香りを楽しんだソシンロウバイには偽果がたくさんついていました。例年よりも数が多いように感じられると複数の参加者が話していました。
この日の田んぼは、代掻きの講座を開催中だったので、田んぼには寄らず湿地の方から帰り始めることにしました。湿地の中ほどに、実生のナンキンハゼが樹高1mほどに育っていて若葉が赤くなっていました。ナンキンハゼは秋になると赤く紅葉しますが、この季節の赤い葉もまた美しいという感想が聞かれました。
先月はたくさんのナナホシテントウが活動していましたが、この日はそれほど数多くは見られませんでした。ミソハギの葉の上で蛹になっているナミテントウを見つけました。
カキツバタの花を見ていると近くにキショウブも咲いているのに気づきました。どちらもアヤメ科の植物ですが、キショウブは日本の侵略的外来種ワースト100に指定されていて、繁殖力が強い上に在来植物との交雑など、生態系への悪影響が懸念されるために東山の森では駆除の対象となっています。サワフタギの葉には多くの食痕が見られ、少し探すと複数のシロシタホタルガの幼虫が見つかりました。いつものように「ネコバス」と紹介すると、1人の参加者が「窓が多すぎる」と言ってみんなを笑わせました。
里の道を通って帰りました。草むらではカラスノエンドウの背丈が伸び、中にはさやが熟して黒くなっているものもありました。そのカラスノエンドウにはアブラムシがびっしりとついているものが多く見られ、それを捕食するナナホシテントウの幼虫も見つかりました。
エノキの葉を調べると、食痕やイモムシの抜け殻などが見つかりました。ヒオドシチョウの幼虫のものであろうと言う参加者がいて、よく探すと近くの杭にぶら下がっている蛹を見つけることができました。道沿いのサラサウツギは満開の花を咲かせていました。
雨の日の平和公園は訪れる人も少なく、静かな休日の風景の中での自然観察会となりました。大勢の参加者が集まる好天の日の開催とはまたひと味違った森歩きを楽しみました。
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