2023年 6月 11日(日)9:30〜12:00 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 自然観察会の日が2ヶ月続けて雨になるのはとても珍しいことです。でも幸いにも大雨になるとの予報ははずれてびしょ濡れになるほどではなく、傘は手放せなかったものの少人数でたくさんの生きものを観察しました。 カエル池を観察すると、去年と同じくタテシマノメイガの幼虫が作ったハシゴ状のヨシを見ることができました。マサキは花が咲き始めていましたが、その数が例年になく多いように思われ、木全体が白っぽく見えるほどでした。1本のクワの木の幹の上を3頭のカタツムリが這っているのを観察していると、同じ木にタマムシが止まっているのが見つかりました。生きたタマムシは久々の登場で、参加者たちは興奮気味で代わる代わる写真に収めていました。
オタマジャクシ池のショウブの葉には早くもツマキホソハマキモドキが羽化していました。大坂池の北の広場では、春に花を楽しんだアンズやウメなどバラ科の木の実が熟していて、木の下に目をやると地面に落ちている実もたくさんありました。中でも実の数が際立って多かったのがプラムの木でした。食べた参加者が「お店で買うのと同じ味」と言っていました。
中道沿いに見慣れない背の低い植物が茂っていました。よく見ると特徴的な緑色の実がついていて、ホオズキとわかりました。くらしの森は広大な墓地が近くにあるので、去年のお供えのホオズキの実が鳥によって運ばれて来たのではないかと推測しました。畑の横の石垣を淡い灰色のナメクジが3匹ほど這っていました。いずれも在来種のナメクジで、普段よく見かける茶色味がかったナメクジはチャコウラナメクジという外来種であるとのことでした。
田んぼに移動して、時間をかけて周辺の生きものの観察をしました。最初に水面の一部が驚くほど大量のウシガエルの卵に覆いつくされているのを見つけてすべて除去しました。
ウキクサやアオウキクサに交じってイチョウウキゴケが所々で見られました。ウキクサやアオウキクサは数本の根が細長く伸びているのに対してイチョウウキゴケは裏返すと黒っぽい無数の短い根が生えていました。田植えから2週間ほど経ったイネはスクスクと30センチほどにもなっていて、少し探すとイネミズゾウムシがあちこちにくっついていました。
水網を持参した子どもが捕らえた生きものを見せてくれました。ハイイロゲンゴロウの幼虫でした。また水中にいる黒い巻貝は右巻きのものと左巻きとがあり、右巻きはモノアラガイ、左巻きはサカマキガイと教えてもらいました。
水の表面を上手に移動しているクモがいました。ハリゲコモリグモの仲間とのことで、撮った写真をよく見るとエサの昆虫をくわえたまま移動していました。田んぼの中でポットに移して単独で育ててられているイネ科の植物があり、コウキヤガラとのことでした。都道府県によっては絶滅危惧や準絶滅危惧種に指定されていますが、インターネットで検索すると「除草」とか「防除」といった単語と一緒になっているものの方が先に出てきます。
田んぼのふちにいたヒメタイコウチを参加者が見つけました。地面に戻すと自ら水に入り、水面下ギリギリのところを上手に移動して行きました。よく見るとおしりの先の短い呼吸管を水面に出して泳いでいました。田んぼの南の大木を伐採したあとの枝が山積みされている所にいろいろなカミキリムシがよく来ているとのうわさを聞いて探しに行くと、フタオビミドリカミキリが見つかりました。
田んぼの周りにたくさんのシロツメクサが咲いていました。その中で小葉が4枚以上のものが集中して生えている場所を見つけた参加者がいました。小葉は5枚のものもありました。
中道を帰りながら、エニシダが実をつけているのを観察しました。よく熟してさやが真っ黒になっていました。中を開くと小さな種が並んでいました。またトウチクのタケノコを採ってきた参加者があり、皮のふちに長い毛が生えていることが話題になりました。
倒木に地衣類が生えていました。うす緑色で大きく波打っており、樹皮に貼りつくというより直立する形状でした。この日もイセノナミマイマイは至る所で活動していました。次々と観察するうちに色の個体差が大きいことに気づきました。最後にヤマウルシが明るい緑色の実をつけているのを観察しました。ヤマウルシは雌雄異株です。実にはうぶ毛が生えて雨をはじいていました。
少人数の自然観察会は、観察の対象を全員で共有できるという特徴があります。最後まで雨が止むことはありませんでしたが、この日は生きものの活動がいよいよ盛んになる季節であることをみんなで実感しました。
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