2024年 3月 10日(日)9:30〜12:15 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 朝の陽ざしがやわらかく届いていましたが、気温は低く時折冷たい風が吹いていました。少しずつ気温が上がる中、次々と見つかる植物や昆虫の早春の姿をゆっくりと観察する穏やかな時間を過ごしました。 先月はオタマジャクシ池でたくさんのニホンアカガエルの卵塊を見つけましたが、この日様子を見に行くと、オタマジャクシはほんの少ししか見られませんでした。どこへ行ったのかみんなで考えると、見えない草の陰に隠れているとか、ザリガニに食べられたなどの意見が出ましたが、真相は不明です。水路にはセリが発芽していました。同じ場所ではチドメグサによく似た植物が見られました。チドメグサとは違って深い切れ込みが複数あるのが特徴でした。チドメグサの仲間にはノチドメ、オオチドメなどがあるようです。この両者には花柄に違いがあるようですので、花の時期にまた観察したいと思います。
中道沿いのせせらぎの周辺では、さまざまな草花が芽を出して小さな葉が育ち始めていました。ヤブジラミはセリ科の植物で、葉がニンジンに似ているとの声もありました。ヤブジラミかオヤブジラミかは葉での区別は難しいので、ここではヤブジラミの仲間としました。ヤブジラミは実がひっつき虫となりますが、ヤエムグラも茎や葉にカギ状のトゲがあり、衣類にくっつきます。ヘビイチゴもたくさん見つかりました。
中道の北側のヤマコウバシは、枯れた葉がまだ枝についている状態でした。子どもが木を揺すっても葉が枝から離れる様子はなく、「落ちない木」として受験生のお守りになるそうです。
新しく枝打ちされたアベマキの切り口と、古い枝打ちの痕を見比べると、時間が経過した方は周囲の組織が切り口を包み込むように盛り上がっていました。植物が傷ついたときに治癒しようとしてできる組織を「カルス」と言うそうです。
ギシギシは早い時期に芽を出してすでに葉が大きく育っていました。その葉をめくると無数の黒くて小さなアブラアムシがついていました。アブラムシはついている植物で特定できる場合が多く、その名もギシギシアブラムシとのことでした。また葉の裏には黄色がかったコガタルリハムシの卵が産みつけられていて、周囲のギシギシを探すと腹部が大きく膨らんだメスの成虫がたくさん歩き回っていました。
水路の近くの草むらではツクシも見つかりました。そこへ参加者の男の子がカナヘビを捕まえて嬉しそうに見せに来てくれました。カナヘビを家族で飼育したことのある参加者の男性が、雌雄の見分け方やエサについて説明していました。また別の男の子は大きなダンゴムシを手に乗せて見せてくれました。
先月は田んぼの近くでタネツケバナを観察しましたがこの日はたくさんのミチタネツケバナを見かけました。ミチタネツケバナは外来種で、在来種のタネツケバナとは種の長さやつき方で容易に見分けることができます。
つどいの丘へ渡る橋の脇に、見慣れないミントの仲間が生えていました。葉の表面には光沢があり、葉をちぎって香りを嗅いだ参加者は、アップルミントよりも香りが強いと話していました。
行く先々でタンポポが咲いていました。花を取り囲む緑色の小さな葉の集まりを総苞と呼ぶそうですが、そのつきかたを調べるとニホンタンポポかセイヨウタンポポかを区別できます。総苞片が花の付け根から離れているのがセイヨウタンポポ、くっついているのがニホンタンポポで、この日はニホンタンポポもたくさん咲いていることが確認できました。
ノビルがたくさん生えている場所があり、久しぶりに掘ってみることにしました。掘り出した根をせせらぎの水で洗うと泥が落ちて白い球根が現れました。食べてみた子どもが美味しいと話していました。
倒木を調べた参加者が美しい甲虫を見つけました。陽の光が当たって様々な色に光って見えました。子どもたちに何色が見えるか聞いてみると、赤、緑、紫などの色の名前が出ました。その場では種名がわからず、後日甲虫に詳しいこの観察会の常連の男性がナガニジゴミムシダマシの仲間と知らせてくれました。
この日はヤママユの繭を2度拾いました。どちらも成虫が羽化したあとと見られ、中身を取り出して調べてみましたが、時間が経っているせいか繭の中からは形のない黒い粉状の破片が出てくるばかりでした。
最後にシュンランを見に行きました。ちょうど一つ目の花が咲いたところで、別の株には少なくとも4つのつぼみが見つかりました。
3月の自然観察会では多くの年に越冬を終えたナナホシテントウを観察してきました。この日もきっと見つかるだろうと意識して探しましたが、一度も出会うことはありませんでした。この日の寒さと関係があるのかもしれませんが、少し不思議な気がしました。
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| 2024-3-31 | 27 | |
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