2024年 4月 14日(日)9:30〜12:10 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 夏日となることが予想されたこの日は、朝から日差しもたっぷり注ぎ上着を脱いで出発する参加者も見られました。たくさんの植物や昆虫に出会い、なかなか観察の列が前に進みませんでしたが、さまざまな新しい発見を楽しみました。 4月の観察会ではヒメオドリコソウがよく取り上げられますが、今回はホトケノザがすぐそばで咲いていたので比べて観察しました。両者は似ている印象ですが、よく見ると葉の形や花のつき方など、はっきりとした違いがありました。すぐそばにはキュウリグサが小さな花を咲かせており、葉をちぎってその名の由来となっている香りを確かめました。また久しぶりにカラスノエンドウとスズメノエンドウの違いについて、草花に詳しい参加者に教えてもらいました。花の色やつき方、葉の形状など見分けるポイントは複数ありました。この日はあとからカスマグサも観察し、エンドウ三兄弟と紹介されました。
ヒラタアブの仲間の幼虫や蛹をたくさん見かけました。幼虫はアブラムシを捕食するので益虫とされています。オタマジャクシ池ではショウブの花が咲いていました。ショウブは時として水面を埋め尽くすほど繁茂するので、トンボの産卵場所としての水辺の役割に支障が出る心配があるとのことでした。近くの草むらではカキドオシの花が見られました。カキドオシはシソ科で、葉をちぎるといい香りがします。
またこの日はカラスノエンドウの上を歩き回るナナホシテントウの終齢幼虫をたくさん見ましたが、ナナホシテントウの蛹も多く見つかりました。せせらぎの近くの偽木柵では1本に複数の蛹が、いずれも南側についていました。中道の脇ではコナラの雄花が咲いてたくさん垂れていました。写真に撮ってあとで確認すると偶然ワカバグモが写りこんでいました。コバノミツバツツジも美しく咲き、葉があとから出てくるので花のピンク色がひときわ目立っていました。
3月の観察会では、ギシギシについたコガタルリハムシの卵や腹部の膨らんだメスの成虫を観察しましたが、この日ギシギシは食痕で穴だらけになっていて、黒いコガタルリハムシの幼虫がたくさん見られました。
イモカタバミの花を見た参加者から、その名の由来となっている根の部分がどんなふうにイモ状になっているのかとの質問が出ました。そこで何年かぶりに根を掘り出して観察しました。また参加者の一人が、アカメガシワを使った子どもの頃の遊びを紹介しました。新芽の赤い部分をマツやにを塗った皮膚に貼りつけると、写し絵のように転写される様子を、ほかの参加者も興味を持って真似をしていました。
コナラの新芽では葉がギョウザ状に閉じた状態になっているものをいくつも見かけました。中を開けてみると、脚のない白い小さな幼虫が10頭以上いて動いていました。これが何であるのか調べてみましたが、分かりませんでした。同じコナラの別の新芽の中にもぐりこんだクヌギカメムシの幼虫も見つかりました。
畑を見ると、菜の花に姿のよく似た白い花が一面に咲いていて、ダイコンの花と教えてもらいました。こんなに花が咲いたダイコンは中がスカスカで食べられないそうです。その花をたくさんのチョウが訪れていて、ツマキチョウのオスも一頭だけ見ることができました。ツマキチョウはモンシロチョウやキタキチョウと同じシロチョウ科のチョウですが、年に一度春だけに見られるため、春の使者、スプリングエフェメラルなどと表現されます。ダイコンの葉にはたくさんのモンシロチョウの卵が産みつけられていました。
少し暑くなってきたので、日陰を通って田んぼの方へ向かうことにしました。雑木林の林床ではアベマキの実生が育っていて、子どもたちと一緒に観察しました。またつやのある傘にいぼのついた茶色いキノコが目を引きました。
林床の別の場所ではヒメカンアオイと思われる一群が紹介されました。わずかながら花が咲いていて、その目立たない地味な姿を意外に感じると話す参加者もいました。
田んぼに到着した頃には11時30分を回っていて、戻り始める時間が迫っていましたが、花の咲いたトキワハゼやタチイヌノフグリを観察しました。またヨシの葉で作った舟を水路に流して楽しむ参加者の姿も見られました。
子どもの参加が思いのほか少なかったこともあってか、植物を多く見て歩きました。しかもほとんどが花の観察となり、春に咲く花の多いことを実感しました。
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