2024年 5月 12日(日)9:30〜12:00 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 雨の降り始めは午後になるとの予報でしたが、開始時刻には雨が近いことを知らせる空模様になっていました。観察会が終わる頃にはポツリポツリと落ちてきましたが、幸い大きな影響はありませんでした。 出発前の里山の家で、1人の参加者がクスノキの花を紹介した朝刊の切り抜きを持参したのを見たので、実際の花を観察しに行きました。クスノキの花はちょうど満開で、その開花の様子に加えてちぎった葉の香りを確かめました。すぐそばではヨコヅナサシガメの成虫が歩いていました。同じ木にはキマダラカメムシも見つかりました。どちらも外来種のカメムシの仲間で、ヨコヅナサシガメは幼虫で、キマダラカメムシは成虫で越冬するそうです。
続いてこの観察会ではおそらく初登場という昆虫がどこからか飛んで来ました。生きものに詳しい参加者からラクダムシと教えてもらいました。飛ぶ力がはあまり強くない様子で、ふわりと飛んでまたすぐ近くにとまりました。メスのようで長い産卵管を持っていました。ラクダムシは幼虫成虫ともに肉食性とのことでした。
クワの実がなり始めていましたが、菌に侵されたものを多く見ました。今年はあまりたくさん食べられないかもしれません。クワの葉にはクワキジラミが発生していました。これを食べるハラグロオオテントウの幼虫を探しましたが見つからず、その代わりに複数の葉の裏にカメムシの仲間の卵が産みつけられているのを発見しました。
スイカズラが一斉に咲いていました。咲き始めの花は白く、のちに黄色く変化するそうです。この花の色からキンギンカと呼ばれるとのことでした。スイカズラにはニンドウ(忍冬)という別名もあり、寒い冬を枯れずに越すことからつけられたと言われているようです。
中道を進み始めると、右手の木がすっかり元気をなくしてしおれているのに気づきました。この木はオオウラジロノキと言って、以前は東山の森の北限近くに大木がありましたが枯れてしまい、苗木をこの場所に移植したものです。なぜしおれてしまったのかは不明で、その後調べているとのことです。
中道沿いのカナメモチも花をつけていて、葉の緑や赤とのコントラストで白い花がひときわ美しく見えました。またツツジの葉に黄色いシミのようなものが無数についていて、病気のようでもあり、植物に詳しい参加者も以前には見たことがなく何かわからないと話していました。一方開花間近と思われるネジキのつぼみが並ぶようについていて、間もなく可愛らしい花が見られるのが期待されました。
夏になると青い実が目につくヤマウルシですが、この日は花を観察しました。手に取って調べることは憚られたため遠目で確認しましたが、花は五弁のようでした。
畑ではシュンギクに花が咲いていました。花全体が黄色一色のものと、外側が白っぽいものとが混在していました。花びらをちぎって食べてみると、「甘い」という感想が聞かれました。ジャガイモの苗が植えられて育っていました。その葉は食痕だらけで、よく見るとニジュウヤホシテントウの幼虫や成虫が多数見つかりました。
湿地の方へ移動しました。今年もカキツバタがたくさん花を咲かせていましたが、相変わらずキショウブも近くで咲いていて、花の時期に駆除しないとわからなくなると話す参加者がいました。サワフタギの葉を探すと、今日の目的の一つであったシロシタホタルガの幼虫も無事見つかりました。
さとの道を通って戻り始めました。ガマズミの花は満開の時期を迎え、コアオハナムグリを初め、たくさんの昆虫が訪れていました。道の脇のアップルミントの葉をちぎって子どもたちと一緒に香りを確かめました。この日の最初にクスノキの葉の香りを嗅いだ時とは違って、「いい匂い!」という感想がすぐに出てきました。
先月はイモカタバミの根を観察しましたが、この日はイモカタバミとムラサキカタバミが近くで咲いているのを見てその花の違いを確かめました。観察した参加者は、イモカタバミとの最も大きな違いは花の中心部の色だと話していました。足元のザトウムシに気づいて見てみると、そのあたりには同じ種と思われるザトウムシがたくさん歩いていました。その中には赤いダニを体につけているものもいました。
ベニシダの種名の由来は胞子嚢が赤いことだと思っていましたが、若葉が赤いことからこの名がつけられたとのことでした。その若葉が勢いよく育っている場所で、参加者から「きれいだね」との声が上がりました。タラノキは2回羽状複葉で、葉にも幹にも鋭いトゲがありました。夏に花が咲くそうです。最後の振り返りの場所では足元にニワゼキショウやコメツブツメクサ、アメリカフウロなど、小さな花を咲かせる植物が一面に広がっていました。
この日は最初に「シロシタホタルガの幼虫を見に行く」というテーマを決めてスタートしたため、一ヶ所に止まりがちな観察の列に時々声かけをして進み、普段は急ぎ足になる帰り道にさとの道を選んで余裕を持って戻ることができました。心配された雨の降り出しも観察会が終わるのを待っていてくれたかのようで、ゆったりとした時間が流れました。
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