2024年 8月 11日(日)9:30〜11:45 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 今年の7月は「観測史上最も暑い7月」になったそうです。8月に入ってからの最高気温も35℃を下回ることがなく、雨も降らず厳しい暑さが続いています。そのためか久しぶりに小さい子どもの参加のない少人数の自然観察会になりました。 8月8日に日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生しました。この地震の発生に伴って、気象庁から南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)発表され、自然観察会の集合場所である里山の家でも臨時閉館に関する告知が掲示されていました。
里山の家の南にあるケヤキの幹をキマダラカメムシの幼虫が歩いていました。全体にツヤのない背部ですが、1ヶ所特徴的な黒い模様があり、陽の光を受けて目立っていました。カラスウリは一晩だけ咲く花をつけますが、今がちょうど開花のさかんな時期で、昨夜咲いたあとの花や今夜咲くであろうと思われる蕾がいくつも確認できました。その蕾にはクロウリハムシがやってきていました。
この日はトンボに詳しい高校生が久しぶりに参加して、次々と捕らえたトンボを見せてくれました。この日に見た中ではギンヤンマは最も大きく、その美しい体色に目を引かれました。草むらではツチイナゴの幼虫が何頭も見つかりました。
イボタノキの南に作られた小さな畑では、ワタ、ローゼル、ヤーコンなどが栽培されていました。ワタとローゼルはどちらもアオイ科でよく似た形状の花を咲かせますが、ローゼルの花の時期にはまだ早いようで、この日はワタの花だけを確認しました。
さとの道を進み始めるとギボウシが咲いていました。以前見た時よりも株が大きくなっていました。少し進むと道沿いの草むらでは人間の背丈よりも高くセイバンモロコシの穂が伸びていました。セイバンモロコシはスズキと似ていて穂が出ていないと見分けが難しそうです。エノキを観察していると、葉に虫こぶが見つかりました。虫こぶは植物の名前がわかれば同定は比較的容易であると前に教えてもらいました。今回もこの虫こぶはエノキハトガリタマフシであるとわかりました。虫こぶの形成者はタマバエの仲間です。
湿地に到着して目当てのサギソウを探すと2輪咲いていました。シラタマホシクサも小さな花をつけていました。そのほかヌマトラノオ、ミズギボウシもわずかながら咲いているのを確認することができました。
ワレモコウはたくさん花をつけていました。ワレモコウの花穂は小さな花が集まっているように見えますが、花びらではなく萼の部分とのことでした。
湿地の葉陰ではアカイロトリノフンダマシが休んでいました。トリノフンダマシの仲間は夕方から活動して網を張ってエサを獲り、昼間は一見クモの仲間とはわからないような姿でじっとしています。その後移動した田んぼの脇の草むらではトリノフンダマシの卵嚢も見つかりました。また田んぼの南のカキノキでは今年もヒメクロイラガの幼虫を確認しました。
田んぼのあぜ道では次々と水辺を好む植物を観察しました。ヒレタゴボウは別名アメリカミズキンバイという外来種です。今回初めて教えてもらったヒメミソハギは、まだつぼみでしたがミソハギよりもずっと小さな花が咲くようです。葉には何かに食べられた痕がありました。クサネムは1cmほどの大きさの淡い黄色の花が咲いたところでした。
さらに田んぼではハッカの花を紹介してもらいました。穂状の花をつけるミントやアップルミントと違って、葉の付け根にたくさんの小さな花が集まって咲いていました。
さとの道を通って帰る途中、ミノムシを見つけました。大きさは3cmほどあり、このサイズのミノムシを見るのは久しぶりとの声が聞かれました。ヘクソカズラの花を観察すると、赤紫色の内側部分には無数の毛が生えていました。
ニシキギの葉にきれいなカメムシがとまっていました。すぐには種名がわからなかったのですが、参加者の一人が写真で種名を判定するスマートフォンのアプリで調べたところ、キバラヘリカメムシと判定されました。その名の通り腹の黄色い、美しいカメムシでした。
そこへ白いチョウがひらひらと飛んで来ました。初めはモンシロチョウかと思いましたがよく見ると産卵行動を取っていて、クローバーに産卵していることが確認できました。モンシロチョウであればアブラナ科の植物に産卵するはずなので、どうしたことかと思い生きものに詳しい参加者に話すと、チョウはモンキチョウであり、オスは黄色いがメスは白いものが多いと教えてくれました。
暑さが厳しく、11時30分頃には里山の家に戻りました。水分補給に気をつけて歩きましたが、思った以上に汗をかき、熱中症になる危険も感じました。観察会の途中でツクツクボウシの声も聞かれましたが、秋の気配はまだまだのようでした。
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