2024年 9月 8日(日)9:30〜11:50 作成:田畑恭子 監修:瀧川正子 8月の最終週には台風10号の影響もあってか最高気温が30度を下回る日もありました。このまま秋が訪れてくれればとの願いも空しく9月に入ると猛暑日が復活、この日も観測史上最多日数を更新しました。熱中症への警戒も継続しながら、あちこちで目立ち始めたキノコを多く観察する日となりました。 里山の家のそばのクスノキの幹を調べると、たくさんの生きものが見つかりました。じっとして動かないのはイボバッタでした。シラヒゲハエトリは絶え間なく歩き回り、顔の前で一対の触肢を時々動かしていました。その他ヨコヅナサシガメの幼虫も数頭歩いていました。
今月もさとの道を進むことにしました。イタドリは白い花をつけていました。イタドリは雌雄異株とのことで、これは雄株でした。その近くでカマキリの成虫が見つかり、子どもが虫網で捕らえて虫カゴに入れました。
ヤブガラシの花を観察しました。ヤブガラシは雌雄同株ですが、その花が咲いたあとは時間の経過とともにおしべが落ちてめしべが発達し、その色もピンク色に変化するという興味深い説明を聞きました。
この時私のズボンにイモムシがくっついているのを参加者から指摘されました。その時は何の幼虫かわからずどの植物に戻せばいいか分からなかったのですが、調べるとチャバネセセリの幼虫であったことが分かりました。チャバネセセリの食草はイネ科の植物です。
クズの葉にはたくさんの食痕があり、コフキゾウムシが見つかりました。またタラノキをよく見るとその葉に小さな甲虫が数えきれないほどついていました。3mmにも満たない大きさで、美しい金属光沢を放っていました。甲虫に詳しい参加者がその場で調べてドウガネツヤハムシと教えてくれました。
道沿いのササにチュウゴクアミガサハゴロモの成虫がとまっていました。近年数を増やしている外来のハゴロモで、この自然観察会で何度も記録しています。今年の6月にも幼虫が観察記録に登場しました。またこの日は大きくなってきたジョロウグモの網も多く見かけました。
以前にも話題になったよく似た植物の見分けとして、ママコノシリヌグイとイシミカワが久しぶりに取り上げられました。葉柄のつき方を比べるとその違いは明瞭で、ママコノシリヌグイの葉柄は葉の端に続いていて、イシミカワの方は葉柄が端ではなく葉の中に入り込んでいるという特徴があります。実の様子でも見分けられるとのことでしたので、実がつく頃にまた観察したいと思います。
先月カラスウリの花が咲いていた場所には実がなっていて、すでに色づいたものもありました。道沿いにはツルマメの花も見られました。ツルマメは大豆の原種とのことで実を食べることもできるそうです。ワカバグモがいたのでよく見ると、ハチらしき昆虫を捕らえているところでした。
田んぼに移動しました。参加者の男の子が虫網で捕らえたオオシオカラトンボを見せてくれました。年中さんだそうですが、虫を持つ手つきは馴れたものでした。田んぼの周辺ではキツネノマゴが小さな花をつけていました。
急に男性の大きな声が聞こえました。見ると大型のガであるヤママユが田んぼの鳥よけの網に内側からつかまっていました。網から出られない様子だったので、この観察会の代表が救出しようと裸足になって田んぼの中に入っていきましたが、一旦イネの間に落ちたように見えたヤママユは、再び飛んで網の目を抜けて遠くへ飛び立ってしまいました。
この日はキノコが大好きな女性の参加者からたくさんの種類のキノコを紹介してもらいました。写真はその一部ですが、1週間前の雨のせいか、一斉に姿を現したように行く先々でさまざまなキノコに出会うことができました。 最初に観察したホコリタケの幼菌はまだ小さなサイズでしたが、成熟すると色が変わり、傘の中央に空いた穴から胞子を飛ばすようになるとのことです。林間ではイグチ科のキノコをいくつか見ることができました。キクバナイグチは柄の色が赤みを帯びていました。成熟したもの傘はパンケーキのように分厚く広がっていました。キイロイグチは鏡を下に置いて傘の裏側にヒダがなくスポンジ状になっているのを確認しました。ドクツルタケの仲間は柄の途中につばがあり、傘の裏側には深いひだがありました。そのひだの中には小さなハネカクシがたくさん入り込んでいました。田んぼの南側の草むらで見かけたニオイワチチタケは手のひらで覆って鼻を近づけて匂いを嗅ぐと、スパイシーな香辛料のような香りがしました。
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