始めは小雨で,途中で大降りの雨の観察会になりました.生き物にとっては恵みの雨でした.すでに,多くの春が平和公園に来ていましたが,まだまだ小寒い感じでした.きれいな写真が撮れないのが残念でした.集合場所の公園の整備が終了してベンチも追加で設置されました.ベビーゴルフは撤去され,砂で表面が覆われていました.雑草が全くない状態で少し異様でした.周辺の樹木もひどく剪定されていました.いつも沢山の実をつけていた幹が傾いたイチョウ(銀杏,イチョウ科)は,支障木として哀れな程剪定されており,今年の銀杏は期待できそうもありませんでした.新池には,キュルルルルと独特な鳴き声のカイツブリと胴体がほとんど沈んでいるカワウがいました.周辺のセンダン(栴檀,センダン科)には,たくさんのヒヨドリが来ていて,薄黄色くなった実を丸呑みにしていました.ムクドリも多く来ていました.参加者は,子供3名を含む22名でした.
集合場所で,まず先月の報告を見ました.クズ(葛,マメ科)の根の年輪の写真を見ながら,クズの根からクズ餅を作ったとの報告がありました.全体重量の4.1%しかクズ粉はとれなかったそうです.それも2週間ほどさらしても市販のクズ粉のようには,純白にはならなかったそうです.でも食べてみると,黒いものが混じったクズのほうが美味しかったそうです.来年は,どの部分にもっともデンプン質が多いか研究してみることになりました.
早足で芝生広場前のアシ原に行きました.ここにミヤマホオジロが先週までいたので,野鳥の写真を撮る人たちが,コケや枝を持ってきて人工的に舞台を作っていたところを見ました.野鳥の写真には,このようにやらせのものも結構あるそうです.最近は,デジタルですので,背景なども変えてしまう合成写真もあるようです.
ヒメカンアオイ(姫寒葵,ウマノスズクサ科)の葉と花を数えに行くのは,雨が降っているのでいやがった参加者もいました.薮こぎを少しだけにするために遠回りをして,ヒメカンアオイの葉と花を数えに行きました.途中でコバノミツバツツジ(小葉の三葉躑躅,ツツジ科)とモチツツジ(餅躑躅,ツツジ科)のまだ堅いつぼみを観察しました.名古屋市が施工した土留めエも見ました.
パンパスグラス(イネ科,和名白銀華)の近くで,ヤシャブシ(夜叉五倍子,カバノキ科)の雌花と雄花を観察しました.まだ,昨年の実を付けている木もありました.エノコログサの穂のような大きな雄花と,小さな堅い感じの雌花ですが,雄花は非常にきれいな黄緑色でした.春がすでに来ていました.かすかですがニッキのような良い香りがしました.雌花は触るとネバネバがありました.ヤシャブシやハンノキ(榛の木,カバノキ科)は湿地に植生しますが,貴重な湿地の植物を観察会の人が見に行くと,開発をしたい住民とトラブルになるという話も出ました.ヤシャブシの木の根もとにロゼット状のタンポポがありました.来月には花が咲いているかもしれません.
キイーというオオタカの鳴き声がしました.見ると多くのカラスがしきりにオオタカを追いかけているようでした.近くの水溜りにもヒキガエルの卵塊がありました.まだ,卵割していないので,昨夜産まれた卵であるとの説明がありました.周辺はかなり開けたところでしたので,水たまりを求めて,ヒキガエルはずいぶん遠いところから来たようでした.周りのアべマキ(阿部槇,ブナ科)やコナラ(小楢,ブナ科)は,枯れた葉がついたままのものもありました.昨年度の気温変化が異常だったせいでしょう.
途中で,コブシ(辛夷,モクレン科)を観察しました.幹と枝だけのコブシの木の下に多くの実が落ちていました.実の塊を拾って,中の種を観察しました.1つの種は5mm大のハート形をしていました.種の形に対して「赤ちやんのお尻」,「モモ」という人もいました.実の塊から,糸を引いて種がたれ下がることを発見して,おもしろい写真が撮れました.
雨がやまないので里山の家まで戻って,中で感想会と昼食にしました.ヒキガエルの卵塊を初めて見たという感想も出ました.信州の一農村の写真を戦前から60年間も撮り続けたアマチュア写真家の熊谷元一の話しも出ました. 東京から帰省して,お父さんと参加した女子学生が,子供の頃に観察会に参加したときに,感想を言うのが嫌だったそうです.今回の2人の女の子はどう感じていたでしょう.嫌なことを避けるだけでは子供の成長は期待できません.今回のように立派に成長した人が帰省時に懐かしんで参加してもらえる状況を考えると,感想を強制はしていませんので,今のままでよいのかもしれません.どちらにしても自然観察が好きになるような観察会に今後もしたいと思います. 来月は,昨年と同じように野草の天ぷらをする希望が出ましたが,できるだけ簡単にすることにしました.
観察項目:カイツブリ,カワウ,ヒヨドリ,ムクドリ,センダン,イチョウ,トウキョウサンショウウオの卵塊,ヒキガエルの卵塊,アカガエルの卵塊,ネジキ,ヒサカキ,コバノミツバツツジ,モチツツジ,ヒメカンアオイ,ウスノキ,オオタカ,ヤシャブシ,ロゼット状のタンポポ,ツクシ,オオイヌノフグリ,カラタチ,コブシ,シンジュ(概ね観察順) |
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