春が来て色彩の季節になりました.風は多少冷たかったですが,平和公園は至る所が春で気持ちのよい観察会になりました.集合場所の公園のサクラ(ソメイヨシノ)は満開でした.ヒヨドリがしきりにサクラの花の蜜を吸っていました.新池横では,親子3人連れが,朝からサクラの下でお弁当を広げていました.新池の水面には,いつものようにスイレンが増えてきました.新池の土手の木の枝にコサギが2羽留まっていました.下の枝についていた2つの黒いものは,カワウかと思って写真を撮りましたが,残念ながらゴミ袋でした.カワウは,対面の岸にいました.カイツブリも,いつもの場所に2羽いました.今年も営巣するとよいですが,きれいに木々が剪定されているので,うまく隠れて営巣できるか心配です.周辺のセンダン(栴檀,センダン科)の実はほとんど無くなっていましたが,わずかに残った実をヒヨドリがしきりに食べていました.参加者は,集合時間には少なかったですが,出発する時は,子供8名を含む63名と大勢になりました.
集合場所で, 参加者の持ってきた発芽したアベマキ(阿部槙,ブナ科)のドングリを観察しました.ドングリから芽を出して地中に根を張り,その途中から茎が上に出ていました.根と茎が分化していると言う説明がありました.茎の赤い色は,紫外線よけのポリフェノールだという説明もありました.次に,アケビ(木通,アケビ科)とその亜種を観察しました.花の付き方などが微妙に違っていました.
まず,平和公園入口の駐車場の「里山の家」で,紙コップに入れた孵化したトウキョウサンショウウオの幼体を子供達が優先して受け取りました.ハンノキ湿地に放流するためです.初めてトウキョウサンショウウオを見る人も多く,子供達はびっくりして観察していました.カエルは,後ろ脚が先で,その後で前脚が出てきますが,トウキョウサンショウウオは逆で前脚が先だそうです.しかし,渡されたコップの中のトウキョウサンショウウオは,まだ前脚はなく鰓がしっかりと観察できました.
遠くを眺めると,5色の木々の花がかすんで見えて,一幅の絵のようでした.サクラ(桜),バラ科),ハナモモ(花桃,バラ科),モクレン(木蓮,モクレン科)などのようでした.まさに色彩の季節になりました.
近くで小手玉を作るためのジュズダマ(数珠玉,イネ科)の実を集めました.既に大半の実は,下に落ちていましたので,採取というよりは拾うことになりました.その後,タマゴサンドをつくるためのノビル(野蒜,ユリ科)を皆で採取しました.球根の部分を採るために,大きなスコップも愛護会の倉庫から借りてきました.お土産に持って帰れる程の量がとれました.
馬の背の近くでは,マキノスミレ(牧野菫,スミレ科)の紫色の花がひそかに咲いていました.細長い葉が特徴的でした.
芝生広場に戻ったときに,2羽のツグミがアベマキの枝で鳴いていました.感想会をする前に,ノビル入りのタマゴサンドイッチを作りました.まず,ノビルの皮むきをしました.子供達は最初どうしたらよい分かりませんでしたが,大胆に皮をむくことを教えられ,喜んで作業をしていました.球根の部分だけでなく,茎の部分も刻んでゆで卵に混ぜ込みました.食べてみると,ノビルの食感が気持ちよく,春の味覚でした.ソヨゴの蜂蜜もパンにつけて食べましたが,感想はあっさりしておいしいと言う人と,味がなく旨くないという人に分かれました.宇宙アイスクリームと称して,米国の宇宙飛行士が宇宙に持っていった−40℃でフリーズドライした食べ物を持ってきた参加者がいました.食感はスカスカで,うま味も少なく,すぐにとけて頼りない食べ物でした.
感想会ではトウキョウサンショウウオに関するものが多く出ました.採取したゾウムシの種類を説明した研究者から,ゾウムシの標本を見せてもらい,これにも多くの感想が出ました.
観察項目:コサギ,カワウ,ヒヨドリ,カイツブリ,センダン,アケビ,発芽したアベマキのドングリ,トウキョウサンショウウオ,ハコベ,ヒメオドリコソウ,ナナホシテントウムシ,カニグモ,ジュズダメ,モンシロチョウ,モンキチョウ,キチョウ,ノビル,セリ,ウスノキ,フユノハナワラビ,イオウイロハシリグモ,ハンノキ,マキノスミレ,ビロードツリアブ,ベニシジミ,ルリタテハ,ウバタマコメツキ,ゾウムシの標本,フユイチゴ,ツクシ,モズ,ツグミ,コゲラ,ハシブトガラス,ダイコンサルゾウムシ(2),イチゴハナゾウムシ(2),アルファルファタコゾウムシ(1),ツツジトゲムネサルゾウムシ( 1) ,クロオビトゲムネサルゾウムシ(37),オジロアシナガゾウムシ(1),ツンプトクチブトゾウムシ(1),ジュウジチビシギゾウムシ(1),クチブトチョッキリ(1)(概ね観察順,カッコ内は個体数) 【外部リンク】アルファルファタコゾウムシ(岐阜大学応用生物科学部 昆虫生態学研究室)
伊藤義人 |
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