沖縄に台風が来ており,梅雨前線がはりだしてきて雨という天気予報でしたが,何とか降らずにずっと曇りでした.ただし,蒸し暑く,歩くと汗が噴き出しました.新池のスイレンは,一斉に白い花を咲かせていました.水面ではコシアキトンボや真っ赤なアカトンボ(ナツアカネ)が飛んでいました.ツバメは,水面すれすれを飛びながら上手に口だけを水面につけて水を飲んでいました.それ以外の鳥はムクドリとドバトだけでした.センダン(栴檀,センダン科)は,緑の多くの実を付け始めていました.実を1つとり,断面を見ましたが,まだ,成熟していませんでした.剪定されてしまったイチョウ(銀杏,イチョウ科)にも,少しですが緑色の銀杏が付いていました.新池周辺と元清風荘では,ムクゲ(木槿,アオイ科)がきれいな花を咲かせていました.参加者は,子供8名を含む48名でした.ビーティングネットを持ってゾウムシの研究者が,今回も参加されました.子供達も使えるように複数のビーティングネットが用意されていました.
まず,集合場所の新池北の公園で,「なごや平和公園の自然?」の紹介がありました.2005年の観察会を記録した本で,2004年の「なごや平和公園の自然」の続編です.その後,先月の記録を見ました.記録に載っていたキンシバイ(金糸梅,オトギリソウ科)とビヨウヤナギ(未央柳または美容柳,オトギリソウ科)の違いについて,参加者の1人が持って来ていた葉を比較しました.葉脈がはっきりと見えるのがキンシバイの葉だそうです.2つを並べてみれば分かりますが,片方だけ見ても判定は難しいようです.
外来種の植物ということで,オオキンケイギク(大金鶏菊,キク科)が,アレチウリ(荒地瓜,ウリ科)と同じように外来生物法で平成18年2月1日より特定外来生物に指定され,駆除の対象になったという報告がありました.どの基準で決めているのかという議論の中で,セイタカアワダチソウ(背高泡立草,キク科)はもう駆除できないだろうという発言が出ました.
平和公園へ行く道路脇の若木のアカメガシワとハリエンジュ(針槐,マメ科)にアオバハゴロモの白い幼虫が付いているのを観察しました.触ってみると確かに動きました.そこで,キマワリ(ゴミムシダマシ科)も捕まえて観察しました.木の上をよく歩き回るから,この名前がついたのだろうという説明がありました.
平和公園に入ってすぐの所で,ハシボソガラスが草原の中にいました.ハシブトガラスは,森や市街地に棲み,ハシボソガラスは里山や農耕地に多く棲むという説明がありました.ハシブトガラスにとっては,ビルは森と同じに感じているということでした.里山を大事にするということで,ハシブトガラスよりハシボソガラスを大事にしたいという説明でした.近くでウグイスがしきりに鳴いていました.
芝生広場を過ぎて,キリ(桐,ノウセンカズラ科)を観察しました.根元には,ヤブカンゾウ(薮萱草,ユリ科)の黄色い花が咲いていました,もう,盛りは過ぎていましたが,ムシが多く付いていました.キスゲ(黄菅,ユリ科)も少し離れたところに咲いていました.キリは,今年の新しい実と昨年の茶色くなった実が一緒に枝についていました.学生の参加者が木登りをして,今年の実を採ってきました.ナイフで切って,縦断面と横断面を見ました.切ったときの断面は,白っぽいですが,すぐにリンゴを切った時のように薄い茶色に変色しました.実は2房に分かれていることが分かっただけでした.まだ,これから成熟するようです.5cm長の紡錘形の実は,表面がぬるぬるしていて,手にべとつきが残り,なかなかとれませんでした.特別なにおいはありませんでした.キリの成木の近くに2本のキリの幼木がありました.まだ,幹は木質化していませんでした.幼木の葉の大きさは成木の葉より少し大きくて厚肉で,触ると非常にやわらかいものでした.前に,農学部の学生がキリの幼木を見て,ヤツデ(八手,ウコギ科)というとんでもない紹介をしていたのを思い出しました.近くにヒメクグ(姫莎草,カヤツリグサ科)もありました.
カナヘビ(カナヘビ科)を子供が捕まえてきて,皆で観察しました.カナヘビとトカゲ(トカゲ科(スキンク科))の違いについて,カナヘビはトカゲに比べ尾が長く(全長の約2/3),表面がカサカサしている(トカゲはつやつや)という説明がありました.尾を触ってウロコが取れることを確認しました.皆で触って,背中がごつごつして,腹がつるつるしていることを確認しました.ゾウムシの研究者が,カナヘビの腹をなでると眠ったように,じっとすることを見せると,男の子達は,きそって取り合いをして,お腹をなでていました.参加者の女性は,お年寄りの方も含めて,この現象を知りませんでした.私たちの年代では,男の子は皆やった経験があると思います.
いそいでハンノキ湿地に向かいました.途中で,ハツタケのようなキノコやヤマモモ(山桃,ヤマモモ科)を観察しました.ヤマモモの実は,既に枝にはついていませんでした.下の草原を探すと,落ちた深紫色の実がありました.近くにある2本のシマトネリコ(島トネリコ,別名タイワンシオジ,モクセイ科)が小さな白い花を咲かせて,木全体の表面が白く見えました. 最後に7月20日夜に行われるセミの脱皮の観察会の案内がありました.暑かったですが,よく歩き,気持ちの良い観察会になりました.
観察項目:スイレン,センダン,ムクゲ,コシアキトンボ,ツバメ,ナワシロイチゴ,アカメガシワの花,キンシバイ,ビヨウヤナギ,アオバハゴロモの幼虫,ハリエンジュ,ハシボソガラス,ナンキンハゼの花,ヤブガラシ,ミゾハギ,ムクノキ,セイタカアワダチソウ,アシナガバチ,コフキゾウムシ,ヒメクグ,チビゾウムシ,カナヘビ,ママコノシリヌグイ,キリ,キリの幼木,キマワリ,ヤブカンゾウ,キスゲ,クワカミキリ,ゴマダラカミキリ,チョウトンボ,ウメ,シマトネリコ,ネジバナ,ヤマモモ,アメンボ,コシアキトンボ,ナツアカネ,ニジゴミムシダマシ,シロコブゾウムシ,ヘビイチゴ(概ね観察順) |
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