蒸し暑く,じっとしていても汗が噴き出しました.しかし,曇りで日差しはほとんどなく,8月の名古屋としては,例年に比べればそれ程厳しいものではありませんでした.新池のスイレン(睡蓮,スイレン科)は,先月と同様に白い花を沢山咲かせていました.残り少ない水面にチョウトンボが飛んでいました.鳥は,ハトやスズメだけでした.集合場所の剪定されてしまったイチョウ(銀杏,イチョウ科)の緑色の銀杏が目立つようになりました.参加者は,お盆にも関わらず,子供2名を含む35名でした.
まず,セミ時雨の集合場所の新池北の公園で,参加者が持ってこられたゾウムシの標本を見ました.名古屋大学と平和公園で採取した,米粒より小さなチビゾウムシから20mm大のオオゾウムシまで,97種が並んだ立派なものでした.同じゾウムシが2匹ずつペアーに並んでおり,雌雄だと思った参加者もいましたが,ゾウムシの雌雄はほとんどが判定できないそうで,この標本は,名古屋大学と平和公園で採取したものをそれぞれ並べるようにしたものだそうでした.大きなゾウムシは,直接虫ピンで刺してありましたが,大半は紙の先端にタラカントゴムで接着してあるそうです.簡単に剥がせて,標本を痛めないので,昆虫の裏側を観察するときに便利だそうです.
先月の記録を見た後で,セミの羽化観察について報告がありました.当日は雨であったのと,例年にくらべ羽化が2週間ほど遅れていたため,定例会では羽化の観察はできなかったそうです.最後に,8/25と9/22に行われる虫の灯火採集の案内がありました. 【外部リンク】みやび通信 同じときに子供の参加者が捕獲したセスジイトトンボも観察しました.
平和公園には,いつもの農地沿いではなく,新池寄りの斜面を登って入りました.斜面のところで,ヨモギ(蓬,キク科)の虫こぶ(虫えい)を観察しました.ヨモギワタタマバエが寄生したことによって作られたヨモギの虫こぶでした.普通の虫こぶと違って,ヨモギの茎にカマキリの卵のような白いかたまりが出来ており,表面は糸状になっていました.それをぐっと引っ張っても簡単には引きちぎれませんでした.植物の遺伝子の中には,刺激を受ければこのような綿状のものを作る能力があり,本物のワタもこのような遺伝子によって作られているかもということが話題になりました.
ゾウムシの研究者が,自製の吸虫管の説明をしてくれました.ビーティングネット上の小さな虫を観察ビンの中に入れるもので,口の中に虫が入らないように吸い口の途中に網がついているそうです.最初に,これを見た子供から「虫を食べているの?」という質問を受けたそうです.このときに試したビーティングネットに先月幼虫を観察したアオバハゴロモの成虫が4匹採れました.
斜面を歩いていると,斜面にまかれた木片チップから,ひょろ長いトフンダケ(兎糞茸)が沢山出ていました.トウカイコモウセンゴケ(東海小毛氈苔,モウセンゴケ科)の花期も終わっていましたが,1つだけ白い小さな花をまだ咲かせていました.
水田近くの湿地では,サギソウ(鷺草,ラン科)が白い花を咲かせていました.咲いている花だけを数えると60程ありました.サギが飛んでいるような形の花であるという説明がありました.残念ながら今年もシラタマホシクサ(白玉星草,ホシクサ科)はありませんでした.紫の花をつけたミゾハギ(溝萩,ミソハギ科)も沢山ありました.ヒメギボシ(姫擬宝珠,ユリ科)の花は,1株だけ花が蕾のものがありました.
小さなヒキガエルを捕まえて,腹をさすってみると,先月のカナヘビのように死んだふりをしました.近くにナガコガネグモが巣を作っていました.隠れ帯のついた網を触ると前後に揺れました.この後,ウシカメムシ(カメムシ目カメムシ科)が,ビーティングネットで捕獲されたため,皆で観察しました.両側に張り出した突起を,牛の角に見立てると,姿が牛の顔に似ていることを確認しました.小さくよく動くので,写真には,撮りずらい被写体でした.
ここまでで,12時近くになってしまい,急いで里山の家に戻って感想会を行いました.途中の畑で,ラッカセイ(落花生,マメ科)が小さな黄色い花を咲かせていました.また,カラスウリ(烏瓜,ウリ科)の実も既に沢山なっていました.
観察項目:スイレン,センダン,ゾウムシの標本,ヒゲボソゾウムシ,セスジイトトンボ,アブラゼミに付いたセミヤドリガの幼虫,サルスベリ,ヨモギの虫こぶ,タカサゴユリ,ノギラン,アオバハゴロモ,ヒメサビキコリ,トフンダケ,トウカイコモウセンゴケ,マンネンダケ,サギソウ,シロバナサクラタデ,ヤハズソウ,オオキノコムシの仲間,アゼムシロ,ミゾカクシ,ウスノキの実,ヒメギボシ,ミゾハギ,アズマヒキガエル,ナガコガネグモ,チビゾウムシ,ウシカメムシの幼体,シオカラトンボ,セリの花,アズキナシの実,チョウトンボ,マツモムシ,ラッカセイ,カラスウリ,タガメ(概ね観察順) |
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