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2006年 > 12月度の観察記録
12月度の観察記録
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 昨日の雨があがって快晴でした.ほとんど風もなく,コートを着て歩くと汗がでる程でした.芋煮会にとって,昨夜の雨で枯葉や枯枝がしめっており,火おこしが大変でした.
新池のスイレン(睡蓮,スイレン科)は,すっかりなくなって,カルガモ,コガモ,カイツブリなどのカモ類が気持ちよさそうに泳いでいました.1羽のアオサギが,水辺でじっとしていました.新池周辺の電線にはドバトとムクドリが仲良く並んでいました.センダン(栴檀,センダン科)の熟した実を複数のムクドリが食べていました.ヒヨドリがセンダンの実を食べるのはよく見ますが,ムクドリは初めて見ました.元清風荘では,花の咲いたサザンカ(山茶花,ツバキ科)にメジロが沢山来ていました.イロハモミジ(伊呂波楓,カエデ科)もまだ葉を落とさずに見事に紅葉していました.

センダンとムクドリ アオサギ

 集合時間の前に1時間ほど,平和公園の中を1人で散策しました.多くの小径が,アベマキ(阿部槇,ブナ科)やコナラ(木楢,ブナ科)の枯葉で一面に覆われ,歩くとカサカサと音がして気持ちのよいものでした.さらに,今年は野鳥が多く,アオジ,ジョウビタキ,メジロ,シジュウカラ,カケスなどと出会いました.特に,アオジはジョギングの人が横を通っても,知らんぷりで餌をついばんでいました.ハギ(萩,マメ科)は枯葉を付けたまま,また,ナンキンハゼ(南京黄櫨,トウダイグサ科)はすっかり葉を落として,白い実が目立っていました.キジバトやシジュウカラが盛んに,その白い実をついばんでいました.先月観察したケバエの幼虫のコロニーは,既に痕跡しかない所と,まだ,かたまってじっとしている所がありました.死んでしまったかと思いそのかたまりを少しつついてやると,ごそごそと動き出しました.フユイチゴ(冬苺,バラ科)も赤い小さな実を付けていました.また,愛護会の人達が植えたナノハナ(菜の花,アブラナ科)はすっかり大きくなり,黄色い花をつけている株もありました.冬を越すために間引きの作業がされていました.

アオジ フユイチゴ ナノハナの花

 今回の参加者も,例年の12月と同じで非常に多く,子供13名を含めて67名になりました.芋煮会の場所に直接来た参加者もおり,最終的な人数はもっと多かったようです.

 集合場所で,まず先月の報告を見ました.参加者が多かったため,報告が足りなくなり隣りの人と見せあって説明を聞きました.先月の稲刈りの様子は12月23日に放送されるというアナウンスがありました.カシノナガキクイムシについての各地の公園の最近の状況の追加説明がありました.
 参加者が持ってきたクロガネモチ(黒鉄黐,モチノキ科)とモチノキ(黐の木,モチノキ科)の実のついた枝が比較され,赤い実の付き方が違うことが観察されました.クロガネモチの実は,まとまって付いているのが特徴でモチノキの実は,クロガネモチの実よりは大きめでした.
 次に,同じく参加者の1人が持ってきたキカラスウリ(黄烏瓜,ウリ科)の2つの実を観察しました.普通のカラスウリの実より大きく,黄色の実でした.金色と見て,キンカラスウリと言う人がいるそうですが,間違いだそうです.昔はこのキカラスウリの根をスライスして乾燥して後,砕いて天花粉(ベビーパウダー)を作ったそうです.現在のベビーパウダーは滑石(タルク,含水ケイ酸マグネシウム(3MgO・4SiO2・H20))が主成分のものが多いようです.

【外部リンク】フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 滑石

 参加者が持ってきたアマランス(ヒユ科),トックリバチの巣,ゾウムシおよびツブラジイ(ブナ科)のドングリなども観察しました.

クロガネモチとモチノキの赤い実 キカラスウリ

 元清風荘の跡地に自然史博物館あるいは里山の活動研修センターなどを造りたいということで,来春にシンポジウムを予定しているという話もありました.
 ここまでで,10時半になり急いで芋煮会の場所へ向かって出発しました.

 途中の里山の家で,タンクに入った水や芋煮の材料などを受け取って運ぶ予定でしたが,愛護会の人達が,事前に芝生広場まで運んでくれていました.自分たちで全てをやり,その過程を楽しむのが観察会の趣旨であり,残念だという参加者もいました.

水などの資材を運ぶ参加者

 今回の芋煮会の場所は,一昨年度まで使っていた芝生広場の東側にしました.まず,笹や草を鎌で刈って,延焼を防ぐようにしました.風がさっと吹いたときに,周辺のアベマキの木から,枯葉がふぶきのように降ってきました.シジュウカラが,しきりに樹上でさえずっていました.その後,芋煮(実際は豚汁)のかまどをつくりました.スコップで少し地面を掘り,周辺に石を並べて鉄鍋をその上に置けるようにしました.最初は大きな穴にしすぎて,少し埋め戻しました.コンクリートのU字溝ブロックを使うという案もありましたが,鉄鍋の底が広いので,熱効率からもかまどで煮た方がよいということになりました.かまどの中に新聞紙と細い枯枝を置き,火をつけましたが,枯枝がしめっていたため,なかなか火がつきませんでした.結局,団扇であおってやっと火がつきました.かまどの横では,パン焼きと焼き芋用のたき火を始めました.子供達は,薪や枯葉を集めにいきました.3人の男の子達は,早速,芝生広場の枯葉で遊び始めました.鬼ごっこで,鬼の子を枯葉で覆って,数を数えさせ,その間に他の子達は隠れました.

かまど用の穴掘り かまどの火おこし 枯葉の小径 枯葉で覆われたかくれんぼの鬼

 子供達を連れて,パン焼き用の竹を切りに行きました.芝生広場から東に行って,小径端の細い竹を鋸で切り,その後,棍棒で竹の枝を払いました.最初,子供達は上手に枝を払えませんでしたが,慣れてくるとひと払いで枝刈りができるようになりました.最後に,また鋸で1.5m程の長さに竹を切りそろえました.この竹の先端にパン生地を巻いて,たき火にかざしてパンを焼きました.犬のおしっこが付いているかもしれないということで,パン生地を巻く前にきれいに手ぬぐいなどで竹を拭いました.

パン焼き用の竹の準備 竹の枝はらい パン生地

 芋煮は,最初にサトイモ,ダイコンおよびゴボウを鍋に入れて,その後でタンクの水を鍋に入れました.途中でアクをすくって捨て,沸騰してから豚肉を入れ,醤油と日本酒で味をつけました.その後,シイタケと豆腐を入れ,最後に葱を入れて完成でした.具が一杯の芋煮(豚汁)になりました.

サトイモ 水の投入 豆腐の投入 ネギの投入で完成

 子供達には,パン焼きをさせ,大人の参加者は早速芋煮をお椀によそって食べ始めました.子供達から焼けたパンもお裾分けしてもらい食べました.芋煮もパンも素材の素朴な味がして,皆,満足した顔をして食べていました.2杯目を食べた参加者も多くいました.いつもある柚を忘れたため,愛護会から,瓶詰めの柚胡椒と唐辛子を借りてきて,それをかけて食べた参加者もいました.鍋の中が,ほぼ空になったので,2回目の芋煮をつくりました.なお,かまどの端で銀杏をやかんに入れて煎って食べました.

パンを焼く子供達 焼けたパン 銀杏の焙煎 芋煮を食べる参加者

 たき火によいおきができたので,サツマイモ(薩摩芋,ヒルガオ科)をその中に入れました.アルミホイルを巻かないかという質問もでましたが,そのまま入れても皮が焦げるだけでよいということでした.約200度で30分くらいでできあがるということでしたが,約25分後に,十分芯までやわらかくなりました.クロマツ(黒松,マツ科)の葉をとってきて,先端から刺して焼けているかどうかを確かめました.さすがに表面の皮を刺してもはねかえされるので,少しだけ皮を剥いて,そこから松の葉を差し込むと,芯まですっと入っていきました.量が少ないので,包丁で細かく切り分けて食べました.

たき火に投入されたサツマイモ 黒松の葉で焼け具合を確認

 昨年度と同じように,足踏み脱穀機で先月稲刈りをした稲束の脱穀をしました.最初に,足踏みだけの練習をしました.ドラムを回してからリズムにのって足踏みしないと,逆回転したり止まったりしました.足踏みミシンと同じ原理で,上下運動を回転運動に変換するものでした.小さな子供は,親と一緒に練習をしていました.脱穀に慣れている参加者が上手な手本を見せてから,子供達に実際にやってもらいました.子供達は列を作って,稲束を持って何度も並びました.昨年度も脱穀をやって,稲束ごと中に引きずりこまれそうになった女の子がこわごわと真剣な表情でやっていました.今回も,強い力で引き込まれ思わず稲束を放して,回転ドラムに稲束が巻き付いた例が数回ありました.

脱穀の模範 脱穀中の女の子

 芋煮会の最後に,購入してきた材料の費用を合計して,おおよその大人の参加者数で割り,1人300円を豆腐の入っていた容器に集めました.今回も事前に,サトイモ,ダイコン,ゴボウなどを洗って切るという大変な準備をしていただいた参加者に感謝します.

 芝生広場から見た平和公園の周辺の木々の紅葉(黄葉)は,まだ大変きれいでした.今年も楽しい12月の芋煮会で観察会を終了することができました.

芝生広場奥の紅葉

観察項目:ムクドリ,カイツブリ,カルガモ,コガモ,アオサギ,ドバト,キカラスウリ,トックリバチの巣,クロガネモチの実,モチノキの実,アマランス,ゾウムシ,アベマキ,コナラ,芋煮(サトイモ,ダイコン,ゴボウ,シイタケ.豆腐,豚肉,ネギ,醤油,酒),サツマイモ,パン,銀杏,シジュウカラ(概ね観察順)

伊藤義人
監修 滝川正子

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