終日曇り空で,日差しは全くありませんでした.新池のスイレン(睡蓮,スイレン科)は,まだたくさん白い花を咲かせており,水面の見える所もよく見ると,水中ではオオカナダモ(大カナダ藻,トチカガミ科)がいっぱいでした.その上を先月と同じようにチョウトンボ(蝶蜻蛉,トンボ科)が飛んでいました.先月と違うのは,赤とんぼもいたことです.水鳥は先月と同じようにいませんでした.センダン(栴檀,センダン科)の実は大きくなっていて,緑の表面がつやつやしていました.オシロイバナ(白粉花,オシロイバナ科)は,細長い花と黒い実が混在していました.アカメガシワ(赤芽柏,トウダイグサ科)の雌木の花はすっかりなくなり小さな黒い実を付けていました.元清風荘の跡地ではタカサゴユリ(高砂百合,ユリ科)が白い大きな花を咲かせていました.集合場所では,クマゼミ(熊蝉,セミ科)の鳴き声が圧倒していましたが,アブラゼミ(油蝉,セミ科)とツクツクボウシ(つくつく法師,セミ科,別名:筑紫恋し)もわずかに鳴いていました.参加者は,先月より多く3名の子供を含む25名でした.
まず,参加者が持って来たたくさんの蓑虫がついたギョリュウ(御柳,ギョリュウ科)を見ました.自宅の庭に大繁殖したそうです.他の庭木にはつかず,葉が食べやすいのかギョリュウだけに蓑虫がつくそうです.蓑の端から,幼虫が黒い頭を出していました.次に,小さな緑色の実のついたホルトノキ(ほるとの木,ホルトノキ科)の枝を見ました.何故,日本原種なのにホルトノキというような名前になったかという問いに,ポルトガルから来たオリーブの木と平賀源内が見誤ったという回答がでました.次に,3cm大の複数の重い実がついたモミジバフウ(紅葉楓,マンサク科,別名:アメリカフウ)の枝を見ました.丸い実の形は似ていますがスズカケノキ(鈴掛の木,スズカケノキ科,別名:プラタナス,モミジバスズカケノキ)とは違うという説明がありました.モミジバフウの実の表面はとがっているのが特徴のようです.3つ目に,赤い小さな実が房状になったサンゴジュ(珊瑚樹,スイカズラ科)の枝を見ました.今年は日当たりが悪いので,実は真っ赤にならず黒く腐った部分もありました.最後に,10cm長の実のついたキササゲ(楸または木?豆,ノウゼンカズラ科)を見ました.利尿剤に使われるキササゲの細長い実はジュウロクササゲ(十六大角豆,マメ科)の実に似ていますが,キササゲはマメ科ではありません.
集合場所の銀杏が黄色くなり始めていました.関連してイチョウ(銀杏,イチョウ科)の葉エキスなどは認知症の予防に効くという話がでました.ただし,医療情報は時代とともに変わるので,本当によいかどうかは分からないという注釈つきでした.たとえば,ギランバレル症候群は昔は直るとされていましたが,大原麗子さんがそれで亡くなったように,必ずしも直るとは限らないというように医学書の記述は変化したそうです.
歩道上でクマゼミの雌を捕まえ,頭,胸,腹の部位がどこかということで,脚は胸からでており,頭はほんの少ししかないという説明がありました.最近の日経新聞の記事の中で,アブラゼミが減った理由の1つとして,クマゼミよりアブラゼミの方がヒヨドリ(鵯,ヒヨドリ科)に食べられやすいと言う記述があったそうです.
平和公園に入ってすぐに,ピンク色の花をつけたハナトラノオ(花虎尾,シゾ科)がありました.その反対側の場所は,鉛汚染土壌を除去する作業が進んでいました.このあたりは,5mの深さの池になる予定だそうです.除去土壌を三角錐状に積み上げてありました.袋に詰めて運搬できるようにしたものもありました.この場所のクロバナロウバイ(黒花蝋梅,ロウバイ科)は,保存する予定でしたが,植え替えた所をブルド−ザが通ってしまって,なくなってしまったそうです.
湿地の畦を通っているときに,ジョロウグモ(女郎蜘蛛,ジョロウグモ科)の網についたシロガネイソウロウグモ(白銀居候蜘蛛,ヒメグモ科)を2匹見つけて写真を撮りました.かなり大きくなっていました.それでも1mm大程度でしたが,クリアな写真が初めて撮れました.湿地には,サギソウ(鷺草,ラン科)やミソハギ(禊萩,ミソハギ科)の花が咲いていました.シラタマホシクサ(白玉星草,ホシクサ科)は,まだ見つかりませんでした.
新池に戻る途中で,トウネズミモチ(唐鼠黐,モクセイ科)とハリギリ(針桐,ウコギ科)を見つけました.ハリギリには,茎の節に鋭い棘がついていました.ウラジロノキ(裏白木,バラ科)とイソノキ(磯の木,クロウメモドキ科)の実も観察しました.まだ,十分には熟していませんでした.それでもイソノキの実を食べた人が多くいました.生臭いという感想がでました.ウスノキ(臼木,ツツジ科)も近くにありましたが,赤い実はついていませんでした.
最終的に新池横の集合場所に戻って感想会をしました.これまでの観察会で初めての経験でした.観察した項目を確認しましたが,参加者が2つのテーブルに分かれて座ったので,順番に言う感想は省略されました.日差しがなかったので,8月の観察会としては楽だったという感想が個人的にありました. 観察項目:ギョリュウ,ミノムシ,ホルトノキ,サンゴジュ,キササゲ,モミジバフウ(アメリカフウ),マツバラン,ソメイヨシノの幹から出た根,アリの行列,アリの巣になっているサルノコシカケのついた切り株,クマゼミ,アブラゼミ,ツクツクボウシの鳴き声,ニイニイゼミとアブラゼミの抜け殻,ツユクサ,ノブドウ,エビズル,クロバナロウバイのあった場所,イチョウ,シロガネイソウロウグモ,シロバナサクラタデ,サギソウ,ナナフシ,マンネンダケ,トウカイコモウセンゴケ,ハイイロチョッキリ,シャクトリムシ,ウコンカギバの幼虫,ウラジロ,イソノキ,ツルウメモドキ,オニユリのムカゴ,ソヨゴ,タカサゴユリ,ジンガサハムシ(概ね観察順) |
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観察記録0908
2009年8月の観察記録です。
| 2009-11-3 | 523 | |
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